当社グループでは、第5期中期EHS経営方針において「省エネルギー・省資源、温室効果ガス・廃棄物の削減に取り組み、サプライチェーン全体の環境負荷の低減を実現する」を掲げ、資源・エネルギーの効率的利用に努めています。気候変動に対する責任ある企業活動として、パリ協定の目標(世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えること)と整合した「Science Based Targets(SBTi)*1」の考え方に基づき、2025年度のCO2排出量目標として2015年度比▲42%、2030年までのCO2排出量目標として2015年度比▲63%を設定しました。 第一三共ケミカルファーマ 小名浜工場では新管理棟が2023年3月に竣工し、第一三共グループ初となる建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)*2の「Nearly ZEB*3認証」を取得しました。太陽光発電設備については小名浜工場、第一三共ヨーロッパのパッフェンホーフェン工場に続き、第一三共製薬(上海)有限公司の上海工場においても稼働を開始しています。2022年4月より国内の本社ビル、生産事業所、研究所、研修所など13拠点の電力について、実質的な再生可能エネルギー(トラッキング付FIT非化石証書)への転換を行いました。さらに欧州やブラジルの事業所でも、再生可能エネルギーの活用を拡大することでCO2排出量削減を実現しています。国内外事業所における一層の再生可能エネルギーの活用に向けた取り組みを継続しています。

2022年度のCO2排出量は109,735t(2015年度比▲49.6%)となりました。CO2排出量削減等の「緩和」のみならず、気候変動により顕在化した影響や中長期的に避けられない影響に対する「適応」についても取り組みを推進しています。

  • *1 パリ協定の目標である世界の平均気温上昇(2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目指す)の達成に向け、科学的根拠と整合したCO2削減目標を企業に求める国際的イニシアチブ
  • *2Building-Housing Energy-efficiency Labeling System
  • *3消費するエネルギーと創出するエネルギーの収支をゼロにするZEB(Net Zero Energy Buildingの略称)に限りなく近い建築物として、エネルギーの収支を75%以上削減した建築物

CO2排出量の削減目標と実績

2022年度のCO2排出量は109,735tで、2015年度比で49.6%の減少となりました。2021年度実績の191,399tから81,664tの削減となりましたが、これは国内の電力の再生可能エネルギー(トラッキング付FIT非化石証書)への転換が主な要因となっています(約67,500t)。スコープ別では、スコープ1およびスコープ2のグループ全体の2022年度実績はそれぞれ86,006tおよび23,729tであり、2021年度比でそれぞれ3.8%減少および75.3%減少となりました。2022年度のスコープ3 CO2排出量は2,122,492tとなり、2021年度の1,947,668tから9.0%の増加となりましたが、購入した製品・サービス(カテゴリー1)の増加が大きな要因です。CO2排出原単位(売上高)は、2021年度の161.5から141.5(t-CO2/億円)へ12.4%改善しました。

CO2排出量の要因別増減量(グループ全体)

 

CO2排出量の内訳(グループ全体)

スコープ別CO2排出量

地域別CO2総排出量(スコープ1およびスコープ2)

(t-CO2

  SCOPE1 SCOPE2 合計
日本地域 64,388 2,409 66,797
日本以外 21,618 21,320 42,937
合計 86,006 23,729 109,735

CO2排出量削減への取り組み

工場・研究所の取り組み

国内、海外グループともに、設備更新時は省エネルギー性能にすぐれた高効率冷凍機・ボイラーを選択、導入するとともに、蒸気配管の断熱工事、空調運転の効率化、光ダクトを使用した太陽光利用など、CO2排出量削減に取り組んでいます。

オフィスの取り組み

オフィスビルでは、全館LED照明や人感センサーを採用し、省エネルギー化を推進しています。その他、通年ビジネスカジュアル、未使用会議室の消灯・空調オフの徹底、スケジュール管理の適正化による定刻退社の推奨など、オフィスでのエネルギー削減も積極的に展開しています。また、社員の事業所間移動については、テレビ会議システムのさらなる充実と活用により、国内外の出張を削減するよう努めています。

エネルギー使用量

エネルギー使用量の内訳(グループ全体)

 

再生可能エネルギーの活用

第一三共ヨーロッパ パッフェンホーフェン工場(ドイツ)では、2014年より購入電力をすべて再生可能エネルギーによる電力に転換していますが、同工場の敷地内に自家消費型 太陽光発電設備(年間発電量580MWh)を建設し、2022年2月より稼働開始しています。さらに、第一三共製薬(上海)有限公司の上海工場においても同工場の事務棟で消費される年間電力相当を賄うことのできる太陽光発電設備(年間発電量約540MWh)が2023年1月より稼働を開始し、年間300トンのCO2削減効果を見込んでいます。また、2020年12月から年間発電量約4,000MWの太陽光発電設備を稼働を開始した第一三共ケミカルファーマ 小名浜工場では、第一三共グループ初となる「Nearly ZEB認証」を取得した新管理棟が2023年3月に竣工しました。この管理棟は、太陽光発電によりエネルギーを創り、高効率な空調・給湯・照明機器を効果的に組み合わせて省エネを実現することで、基準建築物のエネルギー消費量の78%削減(省エネ:51.9%、創エネ:26.9%)を達成しました。 2022年度4月からは国内の本社ビル、生産事業所、研究所、研修所など13拠点の電力について、実質的な再生可能エネルギー(トラッキング付FIT非化石証書)への転換を行うなど、積極的な再生可能エネルギーの活用を推進しています。

第一三共ケミカルファーマ 小名浜工場

第一三共製薬 (上海) 有限公司 上海工場

第一三共ヨーロッパ パッフェンホーフェン工場

再生可能エネルギー量と内訳

種類 エネルギー量
(MWh)
備考
太陽光発電 4,676 工場・研究所等に設置した太陽光発電設備による電力です。
水力発電 31,120 日本、ドイツおよびブラジルのグループ会社で購入しています。
バイオマス熱 6,540 ドイツのグループ会社で購入しています。
その他
再生可能エネルギー
144,658 日本、スペイン、イギリス、ポルトガル、オーストリア、ブラジルなどのグループ会社で購入しています。

排出権取引等

品川研究開発センターと葛西研究開発センターは東京都環境確保条例に、第一三共バイオテックは埼玉県地球温暖化対策推進条例に基づく総量削減義務と排出量取引制度の対象事業所となっています。地球温暖化対策の推進の程度が特に優れている事業所として、品川研究開発センターは2019年度に、葛西研究開発センターは2020年度に準トップレベル事業所に認定されています。

サプライチェーン排出量(スコープ3)(グローバル)

カテゴリ 2021年度
排出量
(t-CO2
2022年度
排出量
(t-CO2
対前年
増減率(%)
算出方法
購入した
製品・サービス
1,687,965 1,892,504 12.12% 原料、材料および仕入製品の重量もしくは購入金額に、ガイドライン等による排出原単位を乗じて算出した。
資本財 148,989 161,326 8.28% 固定資産の取得金額に、ガイドライン等による排出原単位を乗じて算出した。
Scope1,2に含まれない
燃料およびエネルギー
関連活動
20,133 24,051 19.46% 電力使用量、蒸気使用量に、ガイドライン等による排出原単位を乗じて算出した。
輸送、配送(上流) 29,281 47,270 61.43% ガイドライン等にもとづき、当社グループの物流センターから配送先(医薬品卸等)までの輸送距離から燃費法にて算出した。
事業から出る廃棄物 8,147 10,517 29.08% 工場・研究所から排出される廃棄物の種類別の重量値に、ガイドライン等による排出原単位を乗じて算出した。
出張 13,329 34,473 158.62% 交通費・宿泊費に、ガイドライン等による排出原単位を乗じて算出した。なお、交通に関しては、航空機の排出原単位を使用している。
雇用者の通勤 9,546 10,624 11.29% 雇用者が使用する公共交通機関別の通勤費用に、ガイドライン等による排出原単位を乗じて算出した。なお、雇用者が通勤のために使用する自動車からの排出量は、使用するガソリン使用量にもとづき算出した。
リース資産(上流)貸借 自社利用の賃借資産の操業に伴う排出量はスコープ1,2に含まれている。
輸送、配送(下流) 13,817 14,163 2.51% 主要医薬品卸の売上高とCO2排出量から卸売業界の売上高排出原単位を推算し、医薬品卸全体の売上高とその中における当社の割合をもとに算出した。
販売した製品の加工 医薬品の特性上、製品使用にもとづくエネルギー使用はない。
販売した製品の使用 医薬品の特性上、製品使用にもとづくエネルギー使用はない。
販売した製品の廃棄 2,501 2,747 9.85% 販売または輸出した製品の容器・包装の材料別重量に、ガイドライン等による排出原単位を乗じて算出した。リサイクルが含まれている。
リース資産(下流) 2,913 2,820 △3.19% 賃貸している保有資産(建物)の用途別の建物床面積に、ガイドライン等による排出原単位を乗じて算出した。一部の建物については、賃借主から直接エネルギー使用量情報を入手して算出した。
フランチャイズ フランチャイズ店を運営していない。
投資 6,134 5,485 10.59% 保有株式の当社の持ち株比率に基づき、CO2排出量を按分して算出した。
合計 1,942,756 2,205,979 13.55%  

その他補足事項

換算係数とその出典

二酸化炭素換算係数およびエネルギー換算係数については、地球温暖化対策の推進に関する法律(以下、温対法)での換算係数(算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧)を使用しています。また、日本以外の国々の係数に関しては、排出源地域の当局等の基準あるいはGHGプロトコールに基づいています。

算定除外対象について

排出量データの内、スコープ1、スコープ2ともに、日本を除くスモールオフィスの排出量は算定対象に含んでいません。また、CO2以外の温室効果ガス等についても排出量が少ないことから含んでいません。

販売製品の温室効果ガス排出量について

販売製品のうち、その利用により温室効果ガスの排出量を削減するものはありません。

換算係数一覧表(国内)

種 別 換算係数
単位発熱量 二酸化炭素排出量
電力 一般電気事業者(昼間) 9.97 GJ/千kWh 電気事業者別排出係数
(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)
-令和元年度実績-
t-CO2/千kWh
一般電気事業者(夜間) 9.28 GJ/千kWh 電気事業者別排出係数
(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)
-令和元年度実績-
t-CO2/千kWh
その他 9.76 GJ/千kWh 電気事業者別排出係数
(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)
-令和元年度実績-
t-CO2/千kWh
A重油 39.1 GJ/KL 2.71 t-CO2/KL
軽油 37.7 GJ/KL 2.58 t-CO2/KL
灯油 36.7 GJ/KL 2.49 t-CO2/KL
プロパンガス(LPG) 50.8 GJ/t 3.00 t-CO2/t
都市ガス(13A) 44.8 GJ/千m3 2.23 t-CO2/千m3
天然ガス(LNG) 54.6 GJ/t 2.70 t-CO2/t
ガソリン 34.6 GJ/KL 2.32 t-CO2/KL
産業用蒸気 1.02 GJ/GJ 0.06 t-CO2/GJ

※電力排出係数のみ令和1年度実績

環境パフォーマンスデータの信頼性向上

ステークホルダーへの情報開示の信頼性の向上を目的として、環境パフォーマンスデータの第三者保証を受けています。環境パフォーマンスデータの集計は、購買伝票など第三者が発行する証憑に基づき、客観性の高いデータ入力を基本とし、開示データの精度向上、信頼性向上に努めています。

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