当社グループでは、第5期中期EHS経営方針において「省エネルギー・省資源、温室効果ガス・廃棄物の削減に取り組み、サプライチェーン全体の環境負荷の低減を実現する」を掲げ、資源・エネルギーの効率的利用に努めています。
気候変動に対する責任ある企業活動として、パリ協定の「2℃目標」と整合した「Science Based Targets(SBTi)*1」の考え方に基づき、2030年までの長期的なCO2排出量目標▲37.5%(2℃を十分下回る目標*2)に向け、第5期中期経営計画の最終年度である2025年度のCO2排出量目標として2015年度比▲25%を設定しました。このCO2目標設定はSBTにより承認されており、また、第一三共は環境省のSBT促進活動にも協力しています。
2020年度は、第一三共ケミカルファーマ 小名浜工場で、医薬品業界において自家消費型として国内最大級となる太陽光発電設備(3.3メガワットの発電出力)が2020年12月に稼働を開始し、2020年度中に約470t-CO2の削減効果を達成しており、年間で約1,800tのCO2削減効果を見込んでいます。また、第一三共ヨーロッパのパッフェンホーフェン工場でも太陽光発電を建設し、2021年10月に稼働を開始、年間約350tのCO2削減効果を期待しています。さらに欧州やブラジルの事業所でも、再生可能エネルギーの活用を拡大することで大幅なCO2削減を実現しています。海外事業所における一層の再生可能エネルギーの活用に向けた取り組みを続けています。
2020年度のCO2排出量は182,865 t(2015年度比▲19.4%)となりました。CO2排出量削減等の「緩和」のみならず、気候変動により顕在化した影響や中長期的に避けられない影響に対する「適応」についても取り組みを推進しています。
*1パリ協定の目標である世界の平均気温上昇「2℃未満」の達成に向け、科学的根拠と整合したCO2削減目標を企業に求める国際的イニシアチブ。
*22℃を十分下回る目標:2019年にSBTiが定めた2度目標より厳しい水準の目標
CO2排出量の削減目標と実績
2020年度のCO2排出量は、182,865トンと第4期中計目標の214,234トンを下回ることができ、2015年度比で19.4%の減少となりました。これは、電力排出係数の改善による効果が約12.1%と最も大きく寄与しましたが、事業所の統廃合に伴う事業プロセスの効率化、高効率機器などの設備投資、日々の省エネ活動による削減努力なども約7.3%と大きな成果を達成しています。2019年度実績の197,641tからも、14,776tの削減となりましたが、これは新型コロナの影響によるMR車両の移動量減少を含む生産量・活動量の減少(約9,000t)が主な要因となっています。
スコープ別では、スコープ1およびスコープ2のグループ全体の2020年度実績はそれぞれ86,785トン、96,080トンであり、2019年度比でそれぞれ6.7%の減少および8.1%の減少となりました。2020年度のスコープ3 CO2排出量は753,511トンとなり、2019年度比で1.3%の増加となりました。要因は設備投資による資本財(カテゴリー2)の増加が大きく影響しました。また、CO2排出原単位(売上高)は、2019年度0.201から0.190(t-CO2/百万円)へ、5.6%改善しました。
CO2排出量の要因別増減量(グループ全体)

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CO2排出量の内訳(グループ全体)

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スコープ別CO2排出量
地域別CO2総排出量(スコープ1およびスコープ2)
(t-CO2)
CO2排出量削減への取り組み
工場・研究所の取り組み
国内、海外グループともに、設備更新時は省エネルギー性能にすぐれた高効率冷凍機・ボイラーを選択、導入するとともに、蒸気配管の断熱工事、空調運転の効率化、光ダクトを使用した太陽光利用など、CO2排出量削減に取り組んでいます。
オフィスの取り組み
オフィスビルでは、全館LED照明や人感センサーを採用し、省エネルギー化を推進しています。
その他、通年ビジネスカジュアル、未使用会議室の消灯・空調オフの徹底、スケジュール管理の適正化による定刻退社の推奨など、オフィスでのエネルギー削減も積極的に展開しています。
また、社員の事業所間移動については、テレビ会議システムのさらなる充実と活用により、国内外の出張を削減するよう努めています。
エネルギー使用量
エネルギー使用量の内訳(グループ全体)

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再生可能エネルギーの活用
第一三共ケミカルファーマ 小名浜工場に建設した自家消費型 太陽光発電設備が2020年12月から稼働を開始しています。同設備は、医薬品業界においては自家消費型として国内最大級となる太陽光発電設備で、同工場内で使用する電力用に3.3メガワットの発電出力(想定年間発電量:約4,155メガワット時)を見込み、2020年度は約480tのCO2削減を達成し、年間では同工場のCO2年間総排出量の約20%に相当する、約1,800トン/年のCO2削減を見込んでいます。
また、品川研究開発センターや研修所(NEXUS HAYAMA)において、太陽光発電パネルや太陽光集熱パネルを採用するなど、積極的に再生可能エネルギーの活用を推進しています。また、品川研究開発センターではサトウキビの搾りかす(バガス)を利用したバイオマス発電によるグリーン電力(50万kWh)を継続購入しています。
海外グループ会社では、第一三共ヨーロッパ本社(ドイツ)、パッフェンホーフェン工場(ドイツ)で太陽光発電設備を建設し、2021年10月より稼働開始、年間約350tのCO2削減を見込んでいます。

第一三共ケミカルファーマ 小名浜工場

第一三共ヨーロッパ パッフェンホーフェン工場
さらにアルトキルヒ工場(フランス)、アルファビレ工場(ブラジル)では、再生可能エネルギーによる電力を購入しています。
再生可能エネルギー量と内訳
排出権取引等
品川研究開発センターと葛西研究開発センターは東京都環境確保条例に、第一三共バイオテックは埼玉県地球温暖化対策推進条例に基づく総量削減義務と排出量取引制度の対象事業所となっています。地球温暖化対策の推進の程度が特に優れている事業所として、品川研究開発センターは2019年度に、葛西研究開発センターは2020年度に準トップレベル事業所に認定されています。
また、2020年度は環境マネジメントに関する活動のうち、国内外の環境監査および環境ミーティング、環境業務担当者研修会等の出張に関わるCO2排出量を、購入したカーボンクレジットによりオフセットしました。
カーボンオフセット
サプライチェーン排出量(スコープ3)(国内グループ)
その他補足事項
換算係数とその出典
二酸化炭素換算係数およびエネルギー換算係数については、地球温暖化対策の推進に関する法律(以下、温対法)での換算係数(算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧)を使用しています。
また、日本以外の国々の係数に関しては、排出源地域の当局等の基準あるいはGHGプロトコールに基づいています。
算定除外対象について
排出量データの内、スコープ1、スコープ2ともに、日本を除くスモールオフィスの排出量は算定対象に含んでいません。また、CO2以外の温室効果ガス等についても排出量が少ないことから含んでいません。
販売製品の温室効果ガス排出量について
販売製品のうち、その利用により温室効果ガスの排出量を削減するものはありません。
換算係数一覧表(国内)
※電力排出係数のみ令和1年度実績
環境パフォーマンスデータの信頼性向上
ステークホルダーへの情報開示の信頼性の向上を目的として、環境パフォーマンスデータの第三者保証を受けています。環境パフォーマンスデータの集計は、購買伝票など第三者が発行する証憑に基づき、客観性の高いデータ入力を基本とし、開示データの精度向上、信頼性向上に努めています。