環境経営の考え方

第一三共グループは、地球温暖化や異常気象などの環境問題について、私たちの生活や仕事に影響する重要な課題であるとともに、長期的なビジネスそのものにも影響を及ぼすリスク要因であると認識し環境経営を推進しています。環境経営を推進することでサステナブルな社会の発展に貢献し、企業の長期的な成長基盤になると考えています。

私たちは、環境の保全と健康と安全の確保に関する各国の法令および国際的な取り決めを遵守するとともに、より高い目標を定め、その達成を目指します。
私たちは、環境の保全と健康と安全の確保を推進するため、組織の役割と責任を明確にし、継続的な改善を行うためのEHSに関するマネジメントシステムを構築します。
私たちは、環境の保全と健康と安全の確保に関する教育・啓発活動を通じて、EHSに関する知識や意識の向上に努めます。
私たちは、環境の保全と健康と安全の確保について積極的な情報開示とコミュニケーションを行い、ステークホルダーへの説明責任を果たします。
上記に則り、以下をEHS基本方針として定め、実施します。

EHS基本方針

(1)製品の研究開発から生産、流通、使用、消費、廃棄に至る当社グループの業務プロセスおよびサプライチェーンにおける環境負荷の低減
(2)従業員が安全に就業し、健康を保持・増進するための労働環境の整備
(3)EHSマネジメントシステムの構築、運用、評価および改善
(4)環境および安全衛生関連法規制等の遵守
(5)EHSリスク低減および危険原の除去
(6)資源・エネルギーの効率的利用、温室効果ガス排出量削減、水の適正利用と排水管理、廃棄物の削減およびリサイクルの推進、生物多様性の尊重、化学物質の適切な管理、森林破壊の防止
(7)健康障害および労働災害の防止
(8)EHS教育・啓発活動
(9)社内外のステークホルダーとのEHSコミュニケーションおよび協議等への参加

ビジョン及び目標

第一三共グループ環境経営ビジョン2050

  • 当社グループは、革新的な医薬品の創出と提供を通じて人々の健康に貢献することを使命としています。一方で、その事業活動が環境に負荷を与え、結果的に人々の健康や生活を脅かす可能性があることも認識しています。また、生態系サービスの持続可能な利用は、医薬品事業を継続するうえで欠かせない基盤です。だからこそ私たちは、「人々の健康を支えるための活動が、地球環境の健全性を損なうことがあってはならない」という考えのもと、事業成長と環境負荷の最小化を両立する環境経営を推進しています。
  • 私たちは2050年に向けて、地球と人々がともに健やかであり続ける「プラネタリーヘルス」の実現を長期ビジョンとして掲げています。プラネタリーヘルスとは、地球環境の健全性と人間の健康が相互に影響し合うという考え方です。当社のパーパス「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」に基づき、事業活動による環境負荷を最小化しながら、地球環境の健康にも貢献できる取り組みを積極的に進め、持続可能な社会の実現を目指していきます。

ビジョン実現のために目指す3つの将来像

  • 私たちはプラネタリーヘルスの実現のために、脱炭素社会、サーキュラーエコノミー、自然共生社会の3つの将来像の実現に貢献します。

長期目標2050

  • 2050年の長期目標として、脱炭素社会に向けた「カーボンニュートラル」、サーキュラーエコノミーを目指す「リサイクル率100%」、自然共生社会への責任を果たす「環境リスクの最小化」を定めています。
  • カーボンニュートラル:2050年までにバリューチェーン全体でネットゼロを達成します。Scope1,2,3排出量を2015年度比90%削減し、残余排出量は相当量の炭素除去により実質ゼロ(中立化)にします。これはScience Based Targets initiative(SBTi)より認定されたネットゼロ目標と同義となります。
  • リサイクル100%:資源循環への継続的な取り組みやリサイクルの可能性を追求し、リサイクル可能なものに対して100%リサイクルを行います。
  • 環境リスクの最小化:環境目標の達成やEHSマネジメントを通じて、バリューチェーンの環境リスクを最小化します。

中期目標2030(第6期中期EHS経営方針・目標)

  • 長期目標の達成に向けて、そのマイルストーンとして2030年を目標年とした第6期中期EHS経営方針・目標を定めました。
  • 第6期中期EHS経営方針・目標では、気候変動緩和、資源循環、ネイチャーポジティブ、EHSマネジメントのテーマごとに方針・目標を設定しています。

ビジョン実現に向けた重要なポイント

  • 事業と一体となった取り組み:より多くの医薬品を患者さんに届けることを目的とした研究・生産体制の強化に伴い、環境負荷が過大にならないよう、事業と一体となった施策を推進します。
  • ステークホルダーとの連携:プラネタリーヘルスは当社グループだけでは実現できません。ビジネスパートナーや顧客、社会等の幅広いステークホルダーと戦略的に連携し、施策を推進します。
  • 統合的視点を持った取り組み:各環境課題や関連する対策間に存在する相乗効果やトレードオフを十分に考慮し、統合的な視点で施策を推進します。
  • ダブルマテリアリティへの対応:環境・社会課題が当社グループの財務・経営に与える影響と、当社グループの企業活動が環境・社会に与える影響の両側面から重要課題を評価し、戦略的に施策を推進します。
  • 環境投資の推進:エネルギー効率化や再生可能エネルギーの導入、技術革新など、環境負荷の低減に向けた積極的な環境投資を推進します。

第一三共グループ環境経営ビジョン2050・長期目標2050

中期目標2030(第6期中期EHS経営方針・目標) 



2030年度方針 2030年度目標
環境 気候変動緩和
  • バリューチェーン全体での脱炭素施策を推進し、気候変動緩和に貢献する
  • CO2排出量(Scope1+Scope2):2030年度までに2015年度比▲63%削減
  • 再生可能電力利用率:2030年度までに100% 
  • 2028年度までにScope3の優先カテゴリーを対象とした総量目標を設定
  • 2026年度までに出張に関するグローバルポリシーを策定
  • 2030年度までに排出量ベースで70.6%のサプライヤーが1.5℃水準の目標を設定(対象カテゴリ:カテゴリ1、2、4)
資源循環
  • 省資源化および再資源化の促進を通じて資源循環に取り組み、サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行を推進する
  • 産業廃棄物排出量の売上高原単位:2030年度までに2025年度比10%減
  • 廃棄物発生抑制および再資源化の推進
  • 有害廃棄物排出量の売上高原単位:2030年度までに2025年度比10%減
  • 廃プラスチックリサイクル率:2030年度まで75%以上を維持
  • 医薬品包装分野における環境配慮の推進
ネイチャーポジティブ
化学物質汚染防止
  • 有害な化学物質を適切に管理・処理し、水質汚染や土壌汚染を防止する
  • 新製品の製造プロセスにおける高懸念物質の使用削減
  • 懸念物質・高懸念物質に関するデータ開示体制の構築
  • 排水中の原薬濃度を予測無影響濃度(PNEC)以下に抑える
  • 土壌汚染状況の適切なモニタリングと対策の実施
水資源確保
  • 当社および主要サプライヤーの水利用効率向上のための取り組みを推進し、水資源の保全に貢献する
  • 取水量の売上高原単位:2030年度までに2025年度比10%削減
  • 水ストレス地域に立地するサイトにおける水使用効率向上の推進
  • 主要サプライヤーの水使用効率向上の推進
森林減少ゼロ
  • 当社が製造・販売する医薬品の原材料調達に関連する森林破壊をなくし、持続可能な原材料調達を実現する
  • 2027年度までに森林破壊ゼロの計画策定
  • 計画に基づく森林破壊のない原材料調達の実施
生態系保全
  • 生態系保全の取り組みを全社に浸透させる努力を続け、豊かな自然を未来の世代に引き継ぎ、持続可能な未来を築くことに貢献する
  • 2030年までに全ての拠点で生物多様性にプラスの影響を与える取り組みを実施
健康
  • 健康対策の重点領域を「生活習慣病対策、メンタルヘルス向上、健康診断受診環境整備、運動機能の向上、がん支援」とし各領域の対策を強化することで、社員の健康増進を図る
  • 健康推進計画の実行
  • アブセンティーイズムの改善
    (指標:30日以上の私傷病休業者率)
安全
  • 労働災害の未然防止および労働災害発生時の被害の最小化を推進し、従業員の安全の確保に取り組む
  • 関連法令の遵守およびマネジメントシステムの継続的な改善により、環境・労働安全衛生のリスクを最小化する
  • 全拠点での労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)の定着
  • 労働災害の発生頻度の改善
    (指標:度数率)
  • 労働災害の重さの改善
    (指標:強度率)
EHSマネジメント
  • 関連法令の遵守およびマネジメントシステムの継続的な改善により、環境・労働安全衛生のリスクを最小化する
  • グローバルEHSマネジメントシステムの確立
  • 定期的なEHS監査の実施
  • サプライチェーンとの連携によるEHSリスクの低減 
  • 環境教育、健康・安全教育、啓発活動などの社内コミュニケーションを推進し、社員の実践に繋げる
  • EHSに関する全従業員および関係者への教育 
  • EHSに関する従業員のモチベーション向上策の推進
  • 開示情報の充実とステークホルダーとの対話を通じ、社会からの信頼を獲得する
  • EHS関連情報の開示(SSBJ、CSRDなど)
  • 持続可能な開発に向けたパートナーシップの推進

中期目標2025(第5期中期EHS経営方針・目標)

2025年度方針 2025年度目標
省エネルギー・省資源、温室効果ガス・廃棄物の削減に取り組み、サプライチェーン全体の環境負荷の低減を実現する
  • CO2排出量(Scope1+Scope2):2015年度比42%減
  • CO2排出量(Scope3、Cat1):2020年度比売上高原単位15%減
  • ビジネスパートナー・エンゲージメント(Scope3、Cat1):ビジネスパートナーの70%以上が1.5℃水準の目標を設定
  • エネルギー使用量:2015年度比売上高原単位30%減
  • 産業廃棄物排出量:2020年度比売上高原単位10%減
  • 廃棄物発生抑制および再資源化の推進
気候変動を始めとする資源循環、水リスク、生物多様性など、環境課題に先進的に取り組むことで持続可能な社会を実現する
  • 再生可能電力利用率:利用率60%以上
  • 水消費量:2020年度比売上高原単位10%減
  • 廃プラスチックリサイクル率:70%以上を維持
  • 水災マニュアルの整備率:日本国内の研究所・生産事業場100%
  • 脱炭素社会に向けた先進的環境技術等の導入を推進
  • 大気および水域への汚染物質排出量の把握および継続的な削減
  • 生態系サービスおよび資源の持続可能な利用の推進
関連法令の遵守およびマネジメントシステムの継続的な改善により、環境・労働安全衛生のリスクを最小化する
  • 有害廃棄物排出量:2020年度比10%減
  • ISO14001取得率:生産事業場100%
  • EHSマネジメントシステムの確立
  • 定期的なEHS監査の実施
  • サプライチェーンとの協働によるEHSリスクの低減
環境教育、健康・安全教育、啓発活動などの社内コミュニケーションを推進し、社員の実践に繋げる
  • 環境事故の未然防止のための教育・啓発
  • EHSに関する全社員教育および専門教育
  • EHSに関する社員モチベーション向上施策
開示情報の充実とステークホルダーとの対話を通じ、社会からの信頼を獲得する
  • 第三者保証のカバー率:100%
  • TCFD*3提言に基づく定期的な検証および情報開示
  • 持続可能な開発に向けたパートナーシップの推進

SBTiより認定を受けた当社のGHG排出削減目標

第一三共は、2025年12月1日付で、Science Based Targets initiative(SBTi)※1により、温室効果ガス(GHG)排出削減目標の「ネットゼロ目標」について認定を取得しました。これは、当社の目標が、SBTi Net-Zero Standardに基づき、パリ協定の1.5℃目標と整合した科学的根拠に基づくGHG排出削減の長期目標であると認められたことを意味します。
第一三共グループは、地球温暖化や気象災害の激甚化をはじめとする環境問題を、サステナブルな社会の実現や人々の健康を脅かす重大な課題であるとともに、医薬品の安定供給など長期的な事業基盤に影響を及ぼすリスク要因と認識しています。こうした認識のもと、当社グループは環境経営を積極的に推進しています。今後も省エネルギー対策の推進や再生可能エネルギーの活用、脱炭素技術の導入、ビジネスパートナーとの協働による脱炭素社会の実現に向けて積極的に取り組んでいきます。

SBTiより認定を受けた当社のGHG排出削減目標

第一三共グループのGHG削減目標
ネットゼロ目標
  • 2050年までにバリューチェーン全体でネットゼロを達成
短期目標 Scope1+2
  • GHG排出量:2030年までに2015年度比63%削減
  • 再生可能電力利用率:2030年までに100%
Scope3
  • サプライヤーエンゲージメント:2030年までに排出量ベースでサプライヤーの70.6%がSBTを設定※2
長期目標 Scope1+2
  • GHG排出量:2050年までに2020年度比90%削減※3
Scope3
  • GHG排出量:2050年までに2020年度比90%削減※3
  • ※1企業や金融機関が気候危機に対応し、パリ協定の1.5℃目標達成とネットゼロの実現に貢献することを目的とした国際的イニシアティブ。科学的根拠に基づくGHG削減目標の設定を進め、その目標が国際基準に沿っているかを確認・認定する組織。 CDP、国連グローバル・コンパクト、We Mean Business Coalition、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)がパートナー。
  • ※2 カテゴリ1(購入した製品・サービス)、カテゴリ2(資本財)、カテゴリ4(上流輸送・配送)に該当するサプライヤーを対象とする
  • ※3長期目標を達成した上で、削減できずに残る排出量(残余排出量)は相当量の炭素除去により中立化する

第5期中期経営計画(2021年度 - 2025年度)

第6期中期経営計画(2026年度 - 2030年度)

マテリアリティとKPI

生物多様性基本方針・行動指針

グローバル調達方針

EHSマネジメント推進体制

ヘッド オブ グローバル コーポレートアフェアーズがグローバルEHSマネジメント責任者としてグループ全体のEHSマネジメントを統括し、ヘッド オブ グローバル サステナビリティがグローバル環境責任者、ヘッド オブ グローバル トータルリワード&ウェルビーイングがグローバル健康・安全責任者としてグローバルEHSマネジメントを推進しています。サステナビリティコミッティは、ヘッド オブ グローバル コーポレートアフェアーズが委員長を務め、EHS(環境・健康・安全)、サステナビリティ情報開示、社会貢献について原則年2回議論しています。EHSについては、EHSマネジメントに関する短中長期の方針や目標、計画、活動の審議・報告を行い、その結果をEMC(Executive Management Committee)に上申します。重要事項は取締役会に報告されます。

第一三共グループEHSマネジメント推進体制図

 

社員の健康と安全に関するページはこちら

環境監査(EHS内部監査)

ISO14001/45001認証取得状況

環境マネジメントシステム(EMS)の最適化

第一三共グループは、「第一三共グループ環境マネジメントシステム基本文書」に基づいて、EMSの最適化を推進しています。
特にエネルギー使用量の大きい生産機能を有する事業所(生産事業所)では、EMSの国際規格であるISO14001認証を取得しています。(下表参照)

2024年度は当社グループ国内事業場(平塚工場・小田原工場・小名浜工場・館林工場・北本工場)において労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるISO 45001:2018のマルチサイト認証を取得しました。当社グループ国内事業場(平塚工場・小田原工場・小名浜工場・館林工場・北本工場)では環境マネジメントシステムの国際規格ISO 14001:2015認証(マルチサイト認証)を既に取得しており、ISO 45001:2018認証取得により、EHS(環境・労働安全衛生)マネジメントシステムとして、環境と労働安全衛生の統合マネジメントシステムを構築し、更なる環境負荷と環境リスクの低減、社員の健康と職場の安全の管理に取り組んでいます。
第一三共グループEHSポリシーに基づいて、EHSマネジメントシステムの最適化を図り、環境・労働安全衛生課題に対応し、責任ある企業活動を推進していきます。

ISO14001/45001認証取得事業所一覧(2025年4月末現在)

会社名 事業所 ISO14001 初回登録 ISO45001 初回登録
第一三共グループ
(マルチサイト認証)
第一三共株式会社 サステナビリティ部 1998年1月 2024年12月
製薬技術本部(平塚)
バイオロジクス本部(館林)
平塚工場
技術部
小名浜工場
館林工場
バイオ技術部(館林)
小田原工場
技術部(小名浜、平塚、小田原)
第一三共バイオテック株式会社 北本事業所
第一三共ハピネス株式会社 平塚
第一三共アルトキルヒ アルトキルヒ工場 2019年3月 2025年3月
第一三共製薬(上海) 上海工場 2019年3月 2024年3月
第一三共ブラジル アルファビレ工場 2012年3月 2024年3月

ISO14001認証取得事業所一覧(2025年4月末現在)

会社名 事業所 初回登録
第一三共ヨーロッパ パッフェンホーフェン工場 2019年12月
生産事業所のISO14001取得率
(2024年度のCO2排出量ベース)
国内 100%
グループ全体 89.1%

海外生産拠点におけるPSCIに基づくEHS監査

当社グループでは、海外生産拠点に対し、3年周期でPSCI*4に基づくEHS監査を実施しています。2020年度から2024年度に実施した監査では、重大な指摘事項はありませんでした。結果概要は以下の通りです。

  • 実施時期:2021年3月~2025年3月
  • 対象事業所:12拠点
  • 指摘事項があった事業所(軽微なものを除く):8拠点
  • 指摘事項の件数:37件

これまでの指摘事項への対応

項目 主な対応
マネジメントシステム
  • グローバルBCP*5ポリシー、および、各拠点のBCPを判定
  • グローバルEHSポリシーに基づくローカル文章の判定
環境
  • 液体有害廃棄物の廃棄管理を強化
  • 音響障壁の新設による騒音軽減
労働安全衛生
  • SOPの制改定を通じた安全衛生管理強化
  • 研修などを通じた初期対応者の体液暴露リスク軽減

*4 Pharmaceutical Supply Chain Initiatives、医薬品業界におけるサステナブル調達の推進を目的とする非営利団体

*5 Business Continuity Plan

EHS内部監査

EHSマネジメントに関する監査は、事業所が実施する内部監査、担当部門(サステナビリティ部、人事部)による内部監査、ISO認証機関による審査の3つのアプローチにより、事業所の状況に応じた相補的な環境監査を実施しています。サステナビリティ部、人事部による監査は、環境、安全衛生関連法令遵守を主なテーマとして、3年に1回を目処に全ての事業所を対象に監査しています。2024年度は、第一三共 館林サイト、第一三共バイオテック 北本サイト、アメリカン・リージェントを対象に実施しました。その結果、環境、安全衛生関連法令の遵守状況は良好であり、重大な環境リスクにつながる事項はありませんでした。

EHS内部監査の様子

事故・緊急事態への対応

特に環境リスクの高い各工場・研究所では、災害・事故などによる環境汚染の防止および緩和も含め、緊急事態への準備および対応の手順を定め、定期的な教育・訓練を行うとともに、関連設備の維持・保全を行っています。
なお、周辺環境に大きな影響を及ぼす2024年度の環境事故は0件でした。

環境教育・啓発活動

環境担当者研修会

国内グループの環境業務担当者の専門教育および情報共有を目的に、その時々の相応しいテーマを設定し「環境担当者研修会」を毎年開催しています。2024年度は「事業所における化学物質管理」をテーマに開催しました。

温暖化対策研修会

工場・研究所の施設・エネルギー担当者を対象に省エネルギー・温暖化対策の専門教育と情報共有を目的とした「温暖化対策研修会」を毎年開催しています。2024年度は「ペロブスカイト太陽電池」をテーマに開催しました。カーボンニュートラルに向けた最先端の知識、技術について情報を得ることができ、当社の省エネルギー対策を含めた新たな知見やネットワークを得ることができました。引き続き研修会等を企画・開催し、省エネルギー・温暖化対策を推進していきます。
当社は「地球温暖化対策の推進に関する法律」や「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」を遵守していきます。

環境eラーニング

グループ全社員を対象とした「環境eラーニング」を実施しています。2024年度は、「カーボンニュートラルの実現に向けた企業の取り組み」をテーマに実施しました。国内グループ会社の受講率は97.6%でした。新入社員などの未受講者には、自主的なeラーニングを周知し、実施しました。また、グループ全体(グローバル)での受講率は94.7%でした。

「環境を感じる作品」コンテスト

社員の環境意識の向上を目的に環境コミュニケーション施策を実施しています。毎年6月の環境月間にあわせ、「環境を感じる作品」コンテストを開催し、国内外のグループ社員や家族を対象に作品を募集しています。2024年度は国内外のグループ会社から、総数568作品の応募がありました。画像部門で国内グループから126作品、海外グループから35作品、また、国内グループで実施した川柳部門では337作品、海外グループで実施したスローガン部門では70作品と多数の応募がありました。優秀賞とSDGs特別賞を選出し、オンラインにて表彰式を行いました。

One DS Climate Action プログラム

脱炭素社会に向けた社内浸透プログラムとして、One DS Climate Action プログラムをグローバルに実施しています。2024年度は1,584名が参加しました。毎年6月~9月の夏季の期間に実施しており、2013年度からのCOOL CHOICEプログラム開始以来、のべ約15,000名の社員が参加しています。

サプライチェーンマネジメント

サステナブルな調達

当社グループでは、第一三共グループ企業行動憲章の改正に合わせて、2019年4月に第一三共グループ調達ポリシーに関連し、ビジネスパートナー行動規範が制定されました。
これは、製品・サービスを提供いただくビジネスパートナーへの持続可能な調達を推進していくための期待をまとめたものです。この中で、環境に関する項目は以下(4.環境経営の推進)です。

ビジネスパートナー行動規範
4. 環境経営の推進
  • (1)温室効果ガス排出量の削減
  • (2)廃棄物および排出物の適切な管理・削減
  • (3)漏洩および漏出の防止と軽減
  • (4)省エネルギー・省資源の推進
  • (5)生物多様性への対応

主要なビジネスパートナーに対して、ビジネスパートナー行動規範にもとづき作成した「サステナブル調査」を3年毎に依頼し、当社グループの考え方に対する理解を求めると共にコミュニケーションの強化を図っています。詳細はこちら。

CDP「サプライヤー・エンゲージメント評価」

国際環境非営利団体CDP*6より、サプライチェーンを通じた気候変動対策に取り組み、温室効果ガス排出量の削減活動を実施していることが評価され、「サプライヤー・エンゲージメント評価(SEA)」において最高評価である「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に6年連続で選定されました。この評価は、CDPの気候変動アンケートを通じて、企業のガバナンス、目標、スコープ3排出量、バリューチェーンエンゲージメントに関するパフォーマンスをもとに行われています。

*6 環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買組織の要請に基づき、企業や自治体に、気候変動対策、水資源保護、森林保全などの環境問題対策に関して情報開示を求め、また、それを通じてその対策を促すことを主たる活動としている非営利組織

サプライチェーンにおける環境配慮

環境フットプリントの少ない原材料や部品の選択


(1) 医薬品製造プロセスにおける環境影響評価 : 当社は、医薬品製造プロセスにおける環境影響を評価するため、2つの異なるプラットフォームを運用しています。まず、合成原薬製造において、開発段階から環境影響評価を製造プロセス設計に取り入れています。開発段階ごとに毒性・有害性、エネルギー消費量、廃棄物発生量等を評価し、環境影響の大きい項目を把握した上で、環境影響の小さい製造プロセスを開発しています。 次に、バイオ製造向けのコストと持続可能性の指標プラットフォーム「BioSolve」 によりプロセスのCO2排出量を定量化することで、プロセス設計を通じた環境影響改善に貢献しています(適用例:連続精製プロセス)。

(2)包装資材のバイオマスプラスチックへの転換 : 環境負荷低減のため、注射剤の内袋や注射剤のプラスチックトレイ、ガラスバイアルの破瓶防止包装、プラスチックボトル、PTP (Press Through Package)シート等の包装原料において、石油由来からバイオマスプラスチックへの切替えを推進しています。


直接操業、生産、製造


(1) 環境マネジメントシステム(EMS)の運用を通じた環境パフォーマンスの向上 : 第一三共グループは、「第一三共グループ環境マネジメントシステム基本文書」に基づいて、環境マネジメントシステム(EMS)の運用を通じた環境パフォーマンスの向上に取り組んでいます。特にエネルギー使用量の大きい生産機能を有する事業所(生産事業所)ではEMSの国際規格であるISO14001認証を取得しており、ISO14001未取得の生産事業所でも取得に向けた取り組みを進めています。これらの生産事業所を含む全サイトにおいて、エネルギー、水、廃棄物、汚染等について、年度ごとに環境目標を設定し、削減に取り組んでいます。


(2) 包装資材のバイオマスプラスチックへの転換 : 環境負荷低減のため、注射剤の内袋や注射剤のプラスチックトレイ、ガラスバイアルの破瓶防止包装、プラスチックボトル、PTP (Press Through Package)シート等の包装原料において、石油由来からバイオマスプラスチックへの切替えを推進しています。
・共通原材料を用いて異なる臨床試験材料を製造可能なmAb製造プラットフォームの開発
・期限切れの製造用原材料の研究用途への再利用
・連続精製プロセスのような生産性の高いmAb製造プロセスの開発 ・高結合力・長寿命の精製樹脂の選定
・バッチあたりの生産量増加や試薬
・シングルユース素材の使用量削減のための、mRNA合成プロセスの最適化

(3) 排水による環境影響低減 : 工場排水に含まれる高活性医薬成分を、人体や生態系への影響を与えないレベルに保つために「排水ガイドライン」を制定しました。この排水ガイドラインに基づき、日本の全ての工場・研究所では、原薬を含む法令の対象物質に含まれない多くの化学物質や複合的な生態系への影響を評価するため、毎年WET試験(Whole Effluent Toxicity試験。魚、ミジンコ、藻の生物応答を利用して、排水の総合的な毒性影響を評価する試験)を実施し、環境に重大な影響がないことを確認しています。 また、平塚サイトや小名浜サイト では、これまで生産に伴い発生する高活性物質が多く含まれる廃水を敷地外で焼却処分していましたが、輸送や焼却時の環境負荷を考慮し、敷地内で生物処理(廃水処理)ができるよう設備投資を進めています。

(4) 原料の化学物質情報の確認 : 品質契約締結時に、原料メーカーに対してSDS(安全データシート)の提出を求め、原料中の化学物質情報(性質や危険性・有害性及び取扱い等)を確認しています。

流通、保管、輸送


物流においては、以下の取り組みを推進しています: (1)保管拠点における太陽光発電システム利用、(2)共同配送による輸送時のCO2排出量削減、(3)再生利用可能なパレットへの切替、(4)出荷ラベルのサイズ縮小(紙/インク使用量の削減)、(5)グローバルセキュリティ基準を考慮した物流拠点の設備更新、(6)輸送におけるモーダルシフト
製品の安全な取り扱いのために、製品を運搬するドライバーや取引先にSDS(安全データシート)を共有しています。

使用、運用、サービス/メンテナンス


複数プロトコール間で治験薬を共有することによって、試験進捗の遅れや治験薬の使用期限切れ等による廃棄率を低減させています。治験における対照薬調達の適性化により、対照薬を少量・高頻度で調達、また、可能な限り使用期限が長い薬剤を調達することで、試験進捗の遅れなどの際に発生する、使用期限切れ等による廃棄率を低減させています。

使用済み製品の管理

第一三共ヘルスケア株式会社は、使用済の「おくすりシート」(PTP シート)を回収、リサイクルする実証実験を横浜市において2022年10月から約一年間実施し、目標を大きく上回る108万枚相当(1,077kg)が集まりました。その後も活動を継続し、2025年4月末時点で1,086万枚相当(10,859kg)を集め、回収拠点もスタート時の30拠点から100拠点以上に拡大しています。現在はアップサイクル品として文房具や板材などを製作するとともに、横浜市に続く新たな都市での実施を進めています。本プロジェクトは、使用済みの 「おくすりシート」がリサイクル可能な資源であることの認知向上と資源循環の仕組みづくりを目指しています。

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