大気汚染・水質汚濁防止

さまざまな化学物質を扱う製薬企業において適切な化学物質管理は、重要な取り組み課題と考えています。大気汚染・水質汚濁防止のため、国内グループの各工場・研究所では法規制より厳しい自主管理基準値を設定し、モニタリングによる適正管理を実施しています。同様に第一三共製薬(北京)や第一三共製薬(上海)、第一三共ヨーロッパ(ドイツ)、第一三共ブラジルなど海外グループ会社の工場も、各国・地域の法規制を遵守するため、定期的なモニタリングを行っています。

土壌・地下水の汚染防止および対策

工場・研究所では、土壌・地下水の汚染防止に努めています。また、土壌汚染対策法および条例に基づき調査義務が発生した場合には、行政と協議の上、法令に則った調査を適切に実施しています。
さらに、事業所閉鎖・用途の変更など法的な規制を受けない場合でも、同様に法令に準拠した方法で調査を実施しています。
万が一、汚染が判明した場合には、行政に報告するとともに近隣の方々に対しても、適切に情報を開示し、汚染状況に応じた適切な対応(拡散防止、浄化対策など)を行います。すでに浄化対策等を終了した事業所では、継続的にモニタリングを行い、分析結果を行政、近隣の方々に報告しています。

土壌浄化対策の進捗状況

事業所 概要
品川研究開発センター(東京都品川区) 新たな研究施設等の建設や道路拡幅整備工事に伴い、東京都条例に則った土壌調査を実施しました。その結果、一部の土壌に汚染が確認されたため、行政と協議し、適正に浄化工事を実施しました。
旧野洲川工場跡地(滋賀県野洲市) 行政の指導に基づき適切に管理していた汚染土壌の埋設保管施設を、地元行政や自治会の要望等を踏まえ、撤去することとしました。撤去に際しては、環境法令を遵守し、地域の安全・安心を最優先に実施します。

騒音・振動・悪臭防止

騒音・振動・悪臭防止に関する法令遵守のため、適切な対策と継続的なモニタリングを実施しています。

化学物質の取扱量の削減と排出量・移動量の抑制

人の健康や生態系に有害な影響をおよぼす恐れのある化学物質については、化学物質排出把握管理促進法のPRTR*①制度に基づき適正な管理を行っています。PRTR制度の対象となる化学物質の取扱量は、生産量が増加した影響で2018年度2,301トンから2019年度1,798トンへ減少しました。また、大気および水域への排出量も2018年度に比べ2.1トンの減少となりました。引き続き適正な化学物質管理により、環境中への排出抑制に取り組みます。
なお、バーゼル条約附属書I、II、III、VIIIに定める有害廃棄物の輸送、輸入、輸出、処理重量、および国際輸送した廃棄物はありません。

*1 Pollutant Release and Transfer Register(環境汚染物質移動排出登録)

拡大可能な画像が別ウインドウで開きます

PCB汚染物質等の保管・使用状況

医薬品の環境影響評価

当社グループは各国のガイドラインに基づき医薬品の環境影響評価を実施し、適切に対応しています。
医薬品とその分解物が環境に対し、ネガティブな影響を与える可能性を事業活動に伴うサステナビリティリスクの一つとしてとらえており、河川などの自然環境から検出されているという事実とそれらが自然環境に及ぼす影響について、社会的な関心が高まりつつあり、欧州製薬団体連合会(EFPIA)がEPS*2への取り組みを推進するグローバルな流れもあり、当社グループとして、その動向に注視しています。
引き続き、行政、業界団体、研究機関などと連携し、より適切なリスク評価・リスク管理の在り方について検討することも課題であると考えています。

*2 EPS(Eco-Pharmaco-Stewardship):医薬品のライフサイクルを通じた環境影響対策への自主的な取り組みや環境を意識した製品管理

製造プロセスの環境影響評価

生産開始後の医薬品製造プロセスの変更は、薬事関連法令の制約があるため、多くの時間と労力が必要となります。従って、製造プロセスの研究開発段階において、品質やコストだけではなく環境への影響も含めた幅広い視点で検討・評価することが重要です。
当社グループでは、新製品の製造プロセスの設計にあたり、独自の評価指標*3を用いて、環境への影響を評価しています。この方法は、環境へ配慮した“グリーンケミストリー”と呼ばれるコンセプトに基づいた取り組みであり、新しい合成反応の開発に取り組み、環境汚染防止や原料・エネルギーの消費量を削減するなど、地球環境の持続可能性に配慮した製造プロセスを目指すものです。
一方、製造工程から排出される廃棄物を回収再利用する方法や安全性が高くかつ環境負荷を低くする処理方法も検討し評価しています。
これらの研究の結果により、最終的な製造プロセス(工業化製法)の環境への負荷は、研究開始時と比較し大きく改善(低減)します。

*3 溶媒や試薬の安全性・毒性、操作条件、廃棄物量などについて点数評価を行い、指標化したもの

生物多様性保全への取り組み

環境経営基本方針と中期環境経営方針において、生物多様性と生態系サービスに配慮した事業活動を行う旨を明記しています。これらの方針などに基づき、「生物多様性基本方針・行動指針」を策定しています。策定にあたっては、当社グループの生物多様性に関する取り組みや生物資源の利用状況、カルタヘナ議定書への対応状況などを国内外で調査し、当社グループと生物多様性との関係性評価、リスク・機会分析による課題抽出を行いました。(下記、生物多様性関係性マップをご参照ください。)
当社グループは、生物多様性の保全および生態系サービスの持続可能な利用が、事業を遂行する上で重要な要素であると考えています。社員の意識向上と理解促進をはじめ、取引先および民間団体との連携による環境保全活動の強化、環境負荷の少ない原材料の調達推進、生物多様性保全に資する社会貢献施策などを推進しています。

生物多様性基本方針・行動指針

拡大可能な画像が別ウインドウで開きます

生物多様性関係性マップ

拡大可能な画像が別ウインドウで開きます

エコロジカル・フットプリント

国内グループの事業活動における全ての環境負荷について、NGOであるGlobal Footprint.Networkの専門家と協業し、生物多様性に係る指標である「エコロジカル・フットプリント(EF)」を算定しています。算定したEFは、当社グループの「環境負荷の低減と生物多様性保全との関係(トレードオフ)」の経年変化を確認しモニタリングすることで、生物多様性を含む総合的な環境負荷の指標として活用しています。
この取り組みは、COP10(第10回生物多様性条約締約国会議:名古屋)で決定した、愛知ターゲット(20目標)の達成に寄与する活動であることが認められ、「にじゅうまるプロジェクト」に登録されました。また、環境省の「生物多様性民間参画ガイドライン(第2版)」に生物多様性に関するモニタリングの取組事例として紹介されました。

エコロジカル・フットプリント

にじゅうまるプロジェクト登録証

生物多様性保全への取り組み

希少植物の保護

希少植物のキンラン(絶滅危惧Ⅱ類:環境省レッドデータブック)・ギンランの保護のため、館林バイオ医薬センターにある雑木林の自生地域(約1,000㎡)を立入禁止とし、貴重な自然植物の保護に努めています。継続的な保護活動によって、個体数の増加や繁殖範囲の拡大が成果として現れています。

キンラン

ギンラン

周辺環境との一体感のある緑化

第一三共バイオテック北本事業所は周辺の自然環境・生態系に配慮した環境保護に取り組み、防音工事や隣接する北本自然観察公園との一体感のある緑化に取り組んでいます。
新棟建設にあたり、様々な生物多様性に配慮した施策が認められ、2015年には「第7回 彩の国みどりのプラン賞」を受賞しています。この賞は、埼玉県が、特に優れた緑化を行い維持管理が優良な施設を表彰するものです。
当事業所は引き続き、緑化整備をはじめ生態系保護に取り組み環境保全に努めています。

WET試験の実施

事業所からの排水の生態系への影響を評価する目的で、昨年度に続き、2019年度も国内全ての工場・研究所(8事業所)において、WET試験*による環境影響評価を行いました。その結果、河川等における水生生物への影響は懸念されるレベルにないことを確認しました。なお、2020年度も国内全ての工場・研究所を対象にWET試験を実施し、排水の適切な管理および水質改善に努めてまいります。

Whole Effluent Toxicity試験。魚、ミジンコ、藻の生物応答を利用して、排水の総合的な毒性影響を評価する試験

WET試験採水状況

to Page Top