第一三共グループは、第一三共グループ企業行動憲章の第2条で「各国・地域の法令・規制の遵守はもとより、各種の国際規範および多様な文化や慣習を尊重し、公正かつ自由な競争を通じ、適正な取引を行うとともに、責任ある調達を行う」と規定し、あわせて第一三共グループ調達ポリシーの中で、「持続可能な調達」(サステナブル調達)を掲げています。
当社グループは、企業理念「革新的医薬品を継続的に創出し、多様な医療ニーズに応える医薬品を提供することで、世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」を実践し、より良い社会、環境、経済発展の実現を目指した持続可能な調達活動を推進します。

ビジネスパートナー行動規範

第一三共グループは第一三共グループ調達ポリシーに基づき、以下のビジネスパートナー行動規範を定めています。これは、製品・サービスを提供いただくビジネスパートナーへ、持続可能な社会を実現していくための期待をまとめたものです。当社グループは本規範に理解いただけるビジネスパートナーとコミュニケーションを図ると共に、ビジネスパートナーと一体となり社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現を目指します。

第一三共グループ調達ポリシー(参考訳)
ビジネスパートナー行動規範(参考訳)

サステナブル調達活動の推進

第一三共グループは、主要なビジネスパートナーに対して、「サステナブル調査」を3年1サイクルで実施し、当社グループのサステナビリティに関する考え方への理解と協力を求め、双方向のコミュニケーションの強化を図っております。
本調査では、ビジネスパートナー行動規範やグローバル製薬企業で構成される非営利団体PSCIの原則に準拠し、「倫理観に基づいた誠実な事業活動」、「人権尊重と労働」、「安全衛生」、「環境経営の推進」、「最適な品質とコストおよび安定供給の確保」、「マネジメントシステム」などに関連する設問に回答いただいています。 第2回目となった2020-22年度の調査では、国内外の主要なビジネスパートナー403社様へ調査票を送付し、2023年3月末時点で399社様(99%)の回答を得るとともに、調査結果をもとに選定した取引先20社と面談によるコミュニケーションを実施しました。
2023年度は、第3回調査実施に向け、前回調査を振り返り、設問内容の見直し等に取り組みます。
本調査及びコミュニケーションを通じて、サステナビリティの重要性及びサステナブル調達の取組についての相互理解を促進し、社会的責任を果たしてまいります。

前回調査の設問

項目 設問数
 1.倫理観に基づいた誠実な事業活動  14
 2.人権尊重と労働  8
 3.安全衛生  8
 4.環境経営の推進  10
 5.最適な品質とコストおよび安定供給の確保  7
 6.マネジメントシステム  10
 合計  57

サステナブル調査の進捗

第2回調査
(2020-2022年度)結果
調査対象社数 回収率  コミュニケーション
実施社数
合計 403 399(99%) 20
直接材 263 262 16
間接材 140 137 4

 

また、ビジネスパートナーに起因した問題による当社グループの企業価値毀損のリスクを回避するため、当社グループでは、ビジネスパートナーとの取引開始時の「腐敗行為」「機密情報・個人情報」「人権」「環境」を含んだリスク評価とその後の継続的なモニタリングをベースとしたビジネスパートナーマネジメント体制の構築を進めています。取引前・取引中に高リスクと判断されたビジネスパートナーは、第一三共グループの事業や社会的信用への影響等を考慮し、取引可否を判断しています。 国内においては、2021年9月にビジネスパートナーマネジメントの業務プロセスをまとめたビジネスパートナー管理ガイドライン(日本版)を制定し、グローバルでは2022年10月に第一三共グループビジネスパートナーマネジメントガイドライン(グローバルガイドライン)を制定しました。以降、国内外でITシステムを用いたリスク評価に加え、①ビジネスパートナーの国や業種などの属性、②質問票の回答結果、の組み合わせによって各リスク領域における評価を実施しており、取引中のビジネスパートナーが高リスクと判断されたときはリスクの内容と程度に応じたリスク低減策を講じています。これらの施策を通して第一三共は、リスクを管理し、長期的かつ持続可能な社会の実現を目指します。

調達コンプライアンスの徹底

第一三共グループは、責任ある調達活動を実現すべく、2020年度に公正かつ健全な取引を推進するため、調達購買システムを導入し、2020年10月より一部物品のカタログ取引より運用を開始させました。調達購買システムの取引対象の拡大を進め、取引の透明性を高め、調達コンプラアンスのさらなる徹底に取り組んでいます。また、調達業務に従事する社員を対象とした教育を定期的に実施しています。独占禁止法の補完法である下請代金支払遅延等防止法(下請法)に関する講習会も毎年開催しており、2023年5月には国内主要グループ会社を含む9社を対象として各部門に設置している下請法担当者131名がオンラインにて受講しています。今後も同様の教育を継続し、コンプライアンス徹底への意識向上に努めていきます。

パートナーシップ構築宣言

第一三共グループは、内閣府や中小企業庁など官民一体で推進されている「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し、2023年1月30日付で「パートナーシップ構築宣言」に参加しました。サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を越えた新たな連携や「振興基準」の遵守に重点的に取り組み、サプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者と新たなパートナーシップを構築することを目指します。

パートナーシップ構築宣言

安定調達への取り組み

近年、多くの企業はこれまでにない自然災害、感染症、また地政学的リスク等に直面しており、一次サプライヤーに限らない上流の二次、三次サプライヤーを含めたサプライチェーンの維持・安定が課題となっています。当社グループでは、平塚、小田原、小名浜、館林、北本の主要5工場の原材料約1,600品目を対象としたサプライヤーの遡及調査を行い、地理的なリスク把握に努めています。また、特に重要な原材料のNon-tier1サプライヤー(当社と直接契約関係にない上流の原材料サプライヤー)に対して、前述の「サステナブル調査」を実施しています。今後も、双方向のコミュニケーションを通じ、当社グループの考え方へ理解を求めるとともに相互理解にもとづく共創関係を構築するなど、安定調達強化へ取組んでいきます。

主要5工場における一次サプライヤーの地理的分布*

主要5工場(平塚、小田原、小名浜、館林、北本)の直接材の一次サプライヤー所在地域の分布を示している。2021年度調達金額実績ベース

原材料等のサプライヤーへの品質監査の実施

当社グループは医薬品の品質を確保するため、国内外の原薬及び製剤の製造業者のみならず、原材料等のサプライヤーに対しても計画的に監査を行い、必要な場合には現場の立ち会いを行うなどにより、製造管理及び品質管理の状況を確認しています。 COVID-19禍のような特殊なケースにも対応できるようリモート監査を新たな手法の1つとして取り入れており、監査の対象・手法・頻度は、品質に対するリスク評価の結果に基づいて決定しています。高品質な医薬品を安定的に患者さまへお届けするために、Quality firstの精神で、日々、品質の維持・向上に努めています。

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