気候変動による影響には、温室効果ガス削減の国際的枠組みに基づいたCO2排出規制の強化、平均気温の上昇や渇水・洪水などの物理的な影響、疾病構造の変化や健康への影響などが考えられます。第一三共グループは第5期中期環境経営方針において「気候変動をはじめとする資源循環、水リスク、生物多様性など、環境課題に先進的に取り組むことで持続可能な社会を実現する」を掲げ、気候変動に対する緩和策や適応策、水リスクへの対応などに積極的に取り組んでいきます。

気候変動リスク

第一三共グループは、地球温暖化や異常気象などの環境問題について、私たちの生活や仕事に影響する重要な課題と認識しています。気候変動をはじめ様々な環境問題に対し責任ある企業活動を行うために、第一三共グループ企業行動憲章および第一三共グループEHSポリシーに基づき、環境経営を推進しています。 また、2019年5月にTCFD*1提言への賛同を表明し、2020年にはガバナンスやシナリオ分析結果など、TCFDの開示枠組みに沿った情報開示を行いました。さらに2021年10月に改訂されたTCFD提言に対応した情報開示を進めると共に、グローバルな課題である気候変動に積極的に応えていくため、気候変動に関するガバナンスや事業戦略の更なる強化を目指します。

*1TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures):主要国の中央銀行や金融規制当局などが参加する国際機関である金融安定理事会 (FSB) によって2015年12月に設立されたタスクフォース。

TCFDの提言に基づく情報開示
<ガバナンス>

企業活動全般において、環境 (Environment) の保全と健康と安全 (Health & Safety) の確保に努めマネジメントを一体的に運営・推進するため、EHS経営最高責任者を委員長とし、関係本部長 (取締役含む) 、グループ会社社長を委員として構成する「EHS経営委員会」を設置しています。年2回グローバルEHS経営に関する方針や目標設定、活動の審議・報告を実施しており、審議・報告事項については、取締役会に報告され監督される体制となっています。2022年度は、Scope3削減に向けたビジネスパートナーエンゲージメントの推進およびインターナルカーボンプライシングの導入検討などについて審議しました。

コーポレートガバナンス

環境経営推進体制の運用

<リスク管理>

気候変動や水に関するリスクなど、事業活動の変更を余儀なくされる可能性のあるリスクを把握し、その対策を講じるよう努めており、当社グループのリスクマネジメントシステムの一環としてリスク対応策を実施しています。EHS経営委員会では、気候変動による影響が当社ビジネスにどのようなリスクと機会をもたらすのか、その財務的なインパクトを評価・管理し、レジリエンスを高める重要な役割を果たしており、重大リスクの懸念がある場合は取締役会に報告され、総合的リスク管理に統合されます。加えて、長期的なカーボンニュートラルへの移行を目指し、中期および短期での目標・実施計画を審議・決定しています。

リスク
1.5℃シナリオ
  IEA SDS (WEO2021)
  IEA NZE 2050
炭素税導入、再エネ設備導入コスト増、不十分な開示によるレピュテーショナルリスク発生
4℃シナリオ
  IPCC RCP8.5
サプライチェーン寸断、自社拠点の一時操業停止、気温上昇に伴う空調コスト増、取水リスクによる操業困難化、天然化合物由来製品の生産性低下
機会
1.5℃シナリオ SBT達成に向けた各種施策によるコスト削減や負担回避・投資家からの評価向上
4℃シナリオ 気候変動に伴い増加する疾患への貢献

TCFDの分析に使用したスコープ別CO2排出量比率

<戦略>

地球への環境負荷が増大する中、持続可能な社会が実現されなければ、企業活動を行っていくことはできません。特に、生命関連製品である医薬品は、気象災害の激甚化に伴うサプライチェーンの寸断や医薬品供給能力の低下は大きな事業リスクであり、社会リスクでもあります。したがって、当社事業の環境負荷低減・脱炭素化を推し進めていくと同時に、ビジネスパートナーとの協働によりサプライチェーン全体の脱炭素化も推進し、カーボンニュートラルの達成と物理的影響を緩和することが重要であると考えています。
一方で、CO2排出量は事業から直接排出される排出量 (Scope1、Scope2) は少なく、サプライチェーンから排出される排出量(Scope3)が多いことが特徴です。このような認識に基づき、気候変動に伴う当社ビジネスへの影響を把握し、レジリエンスを明確にするため、シナリオ分析を実施しました。

シナリオ分析の実施

2021年度には部門横断のタスクチームを立ち上げ、関係部門に対し、シナリオ分析の概要及びIEA (国際エネルギー機関)・ IPCC (気候変動に関する政府間パネル) が公表するネットゼロシナリオなどに関する勉強会を実施し、2030年以降の事業リスクおよび機会について検討を行いました。IEA・ IPCCのシナリオを用い、「移行」および「物理」双方について、バリューチェーン全体のリスク・機会を洗い出し、洗い出されたリスク・機会については、2022年度にEHS経営委員会で審議・評価を行い、承認を受けています。具体的には「調達」「直接操業」「製品・サービス需要」の観点からリスク・機会を洗い出し、6つに分類しました。IEA・IPCCの脱炭素化シナリオ (1.5℃) と、脱炭素化が達成されないシナリオ (4℃) について選択したのは、物理的リスク・移行リスクの両方において、その極端なケースを想定し、予め備えることが重要であると判断したためです。それぞれについて、「発生頻度」「事業影響」「投資家の関心有無」の観点から事業への潜在的影響およびレジリエンス (強靭性) を整理し、財務影響に投資家の視点も加えて2030年と2050年までを対象に総合的なリスク・機会の評価を実施しました。

シナリオ分析の結果と第一三共のレジリエンス
1. 5℃シナリオ (移行が進んだ世界)
環境の変化 リスク・機会 第一三共への潜在的影響 影響度 第一三共のレジリエンス 事業リスク
脱炭素関連の政策・法規制強化 炭素税導入 2030年時点の炭素税が130$/t-CO2に上昇すると想定しても、年間のコスト負担は約15億円~30億円。 財務的インパクトは限定的であり、1.5℃目標に引き上げた気候変動対策を推進することで更に軽微なものにしていく。
再エネ導入に伴う炭素税負担回避 将来的な炭素税導入・上昇の対策として、再エネ調達による排出量削減が重要。 再生可能エネルギーを積極的に活用することにより、2030年時点の年間の炭素税負担回避額は約16億円~32億円。国内外事業所の電力は、2030年度までに100%再生可能エネルギー由来に転換する。 機会
再エネ設備導入コスト増 エネルギー源は電気・ガスが中心。地域によっては既に再エネ電力を調達。既存の電力をすべて再エネにした場合、年間のコスト負担は約3~6億円。 再エネ・省エネ設備の追加費用は低下傾向であり、対策の推進によりコスト削減に繋げる。 低 / 機会
エネルギーコスト等増加 エネルギー事業会社の脱炭素対策が実施され、対策自体の導入・運用コストが増加すると将来的なエネルギー調達コスト増が予想される。 化石燃料由来のエネルギーコストの上昇が予想されるが、現時点では影響は限定的。
調達コストへの価格転嫁 ビジネスパートナーが自らの炭素税負担を価格転嫁することで調達コストが上昇する可能性があり、供給網全体での排出量削減が重要。 ビジネスパートナーとの協働により、スコープ3の削減を進め、炭素税負担の回避に繋げることで調達コストの上昇を抑える。 低 / 機会
企業評価に対する脱炭素への取組の影響増大 企業価値の増加 脱炭素への取組がESG投資家から評価され、株価上昇など企業価値向上に繋がる。 脱炭素社会に向けた取り組み、TCFD提言への積極的な対応、株主・投資家の期待に応える情報開示を行うことで評価向上に繋げる。 機会
4℃シナリオ (物理的影響が大きくなる世界)
環境の変化 リスク・機会 第一三共への潜在的影響 影響度 第一三共のレジリエンス 事業リスク
気象災害
(大雨・洪水・台風) の発生頻度増、規模拡大
サプライチェーン寸断 安定供給に支障をきたすリスクの高まり。生産・出荷不能により、工場停止や売上減などのリスク。 在庫管理を強化し、災害時でも安定供給に努める複数社からの購買を実施、複数社から購買できていない原料については今後検討していく
自社拠点の一時操業停止 重要な研究・製造拠点が浸水する可能性 (水災リスクは総計約94億円)。
製造拠点の一部は河川に近くとも浸水の可能性は低いが、交通寸断などにより一時操業停止の可能性。
BCPの観点から拠点の水災リスク評価を実施し、強靭化を進めている。緊急事態訓練における洪水対応・減災対策を強化し、水災マニュアルの整備・実証を担保してレジリエンスを高める。
異常気象 (浸水) による不良在庫化 物流拠点などの浸水に伴い、操業停止に加えて製品在庫も被害を受ける可能性。
気温上昇 気候変動に伴う疾患増加等 悪性黒色腫、循環器、呼吸器疾患、各種熱帯病などに対する関連医薬品の需要拡大と社会からの要請・期待の高まり。疾病構造の変化に伴う既存製品の需要減少の可能性。 需要拡大に応える生産ラインの確保、在庫管理強化に努める。疾病構造の変化やパンデミックも含め、アンメットメディカルニーズ・社会要請の高い疾患に対する研究開発を外部リソースとの連携も合わせ検討する。 中 / 機会
空調設備コスト増 本社、研究開発、製造拠点ともに屋内作業が基本であり、気温上昇に伴い空調コスト増が予想されるが影響は限定的。 軽微 コスト増は吸収可能な範囲であり、財務影響は軽微であるが、引き続きエネルギー効率改善に努める。
保険料 / BCPコストの増加 気温上昇に伴う風水害の激甚化により、現在でも火災保険料が上昇傾向にある。ただし、将来的な保険料の上昇見通しは限定的。 軽微 日本では4℃上昇時、洪水発生頻度が4倍上昇すると予想されているが、その結果、保険料が数倍に上昇したとしても財務影響は軽微である。
水不足 自社拠点の一時操業停止 最も取水リスクの高い工場である中国とブラジルでの操業停止の可能性。その他地域で想定を超える短期的な渇水の可能性。 雨水タンク設置・リサイクル水活用などの渇水対策を推進する。長期に渡り渇水となった場合、薬事規制の動向をみつつ、他拠点活用・製造委託などの緊急時供給対応を検討する。
生物多様性の喪失 天然化合物由来製品の生産低下 生物多様性の喪失により原料が入手できず生産が止まってしまった場合、約20億円/年の損失が予想される。 数年分の原料在庫は確保されており、リスクが顕在化する前に迅速な対応を実施する。

*影響度は、軽微 (1億円未満)、小 (1億円~50億円)、中 (50億円~100億円)、大 (100億円~300億円)を基準に評価
*事業リスクは影響度と発生頻度を考慮し総合的に評価

事業活動に対する直接的な移行リスクは限定的であると認識していますが、サプライチェーンについては、今後、炭素税や移行対策などのコスト上昇がリスクとして考えられます。また、物理的リスクについては、気象災害などの激甚化による安定供給についての懸念があります。このような分析結果に基づき、移行リスクについてはこれまでの省エネ対策の推進に加え、再生可能エネルギーの活用や脱炭素技術の導入、ビジネスパートナーとの協働により、炭素税などの負担回避によるコスト低減を機会として創出していきます。また、物理的リスクについては、水害対策を含めたBCPの深化、サプライチェーンの安定性を高める予防策の実施、多様性の確保、支援策の確保、代替策の確保等の対策を実施することで、当社グループにおける毀損を回避し、持続的な企業価値向上を目指していきます。 シナリオ分析で評価・特定された重要なリスク対策については、EHS経営委員会および取締役会でグループ全体の進捗管理を行っていきます。

<指標と目標>

バリューチェーンごとに事業への潜在的影響および気候関連のリスク・機会を評価・管理する指標と目標として、第5期中期経営計画におけるKPIおよび環境に関する目標を定めています。第5期中期経営計画の進捗を踏まえ、2021年度に気候変動に関わるKPIの見直しを行った結果、Scope1およびScope2については1.5℃の世界に対応した目標水準へ引き上げを行うとともに、Scope3についてもサプライヤーエンゲージメント目標として、サプライヤーに要請するCO2排出量削減目標の設定を「1.5℃水準」へと更新しました。

CO2排出量 (Scope1+Scope2) 2025年目標:2015年度比42%減
2030年目標:2015年度比63%減
CO2排出量 (Scope3、Cat1) 2025年目標:2020年度比売上高原単位15%減
ビジネスパートナー・エンゲージメント (Scope3、Cat1) 2025年目標:ビジネスパートナーの70%以上が1.5℃水準の目標を設定
再生可能電力利用率 2025年目標:60%以上
2030年目標:100%
CO2排出量
単位:t-CO2
2020年 2021年 2022年
Scope1 86,785 88,249 86,006
Scope2 96,080 103,150 23,729

*2022年度から国内自社拠点における使用電力を再生可能エネルギー化し、Scope2のCO2排出量を大幅に削減

また、当社取締役は気候変動を含むESG指標の目標達成度等に応じた中計業績連動株式報酬を採用しています。

当社役員報酬制度の概要

内部カーボンプライシングについては、仮想炭素価格の形式で費用対効果を検証する仕組み (国内グループ会社において、特に大きな省エネ効果が期待できる施設を対象として、ランニングコスト、消費電力量、CO2排出量、炭素税などを考慮) から、国内のカーボンクレジット市場導入を見据えた新しい仕組みへの変更を検討していきます。

CDP 2022気候変動 において「A リスト」に選定

2022年12月、国際環境非営利団体CDP*2より、気候変動に関するコーポレートサスティナビリティにおいて、透明性とパフォーマンスにおけるリーダーシップが認められ、最高評価である「Aリスト」企業に3年連続で認定されました。

当社グループは、カーボンニュートラルへの社会要請の⾼まりを受け、2022年6⽉にCO2排出量を2025年度に2015年度⽐42%減、2030年度に63%減とパリ協定の1.5℃目標に整合したより野⼼的な⽬標に変更しました。そのために、2025年度⽬標である再⽣可能電⼒利⽤率60%以上を達成させ、さらに、RE100*3で掲げた再⽣可能エネルギー由来の電⼒利⽤率100%を2030年度での早期達成を⽬指します。なお、この目標は2023年6月にSBTi*4から認証を受けており、さらに2023年8月には2050年度までに温室効果ガス (GHG) 排出量を実質ゼロにするネットゼロ達成に向けて、SBTiへコミットメントレターを提出しました。引き続き、水素利用、ZEB (ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)、電気自動車や次世代蓄電池など実装可能な脱炭素技術を積極的に活用し、脱炭素社会の実現に貢献することで、2030年ビジョンである「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」を目指します。

*2環境問題に高い関心を持つ世界の機関投資家や主要購買組織の要請に基づき、企業や自治体に、気候変動対策、水資源保護、森林保全などの環境問題対策に関して情報開示を求め、また、それを通じてその対策を促すことを主たる活動としている非営利組織
*3国際環境NGOであるThe Climate Groupと企業に気候変動対策に関して情報開示を促しているCDPによって運営される、企業の再生可能エネルギー100%を推進する国際的イニシアチブ
*4CDP、国連グローバル・コンパクト、世界資源研究所 (WRI) 、世界自然保護基金 (WWF) による国際的イニシアチブ。気候科学に沿った排出削減とネットゼロ目標のベストプラクティスを定義し、推進している。

「RE100」に加盟

2021年7月、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す国際的イニシアチブである「RE100」に加盟しました。当社は、「世界中の⼈々の健康で豊かな⽣活に貢献する」というパーパスと「⾰新的医薬品を継続的に創出し、多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」というミッションに基づき、事業活動を通じて社会やステークホルダーの皆さまへ持続的に価値を提供し、同時に当社グループの成⻑と発展を図っています。第5期中期経営計画では、事業基盤に関わるマテリアリティの⼀つとして「環境経営の推進」を特定し、「脱炭素社会」、「サーキュラーエコノミー」、「⾃然共⽣社会」の実現に向け、バリューチェーン全体で、環境負荷の低減に向けた様々な取り組みにチャレンジしていきます。

水リスク

第一三共グループが事業を推進・継続するにあたり、十分な量の良質な淡水がすべての事業所およびバリューチェーンにおいて利用可能であることは、非常に重要であると考えています。水に関するリスクとしては、物理的リスク、規制リスク、評判リスク等が考えられ、世界的に関心が高まっています。第一三共グループでは、工場・研究所を対象とし、事業に影響をおよぼすと考えられるリスクについて状況を把握しています。
具体的には、WWF-DEG Water Risk Filterを用いて、立地する地域固有の水リスクを分析した結果と、各工場・研究所からの水リスクに関する調査結果を基に、総合的にリスク評価を実施しています。その結果、上海工場、ブラジル工場が当社グループの中で最も水リスクが高い地域に立地する事業所であると評価し、取水制限等の規制強化を主なリスク要因として特定しています (表1)。現状ではこれらの工場を有するグループ会社の売上に占める比率は5%未満となっていますが、これらの工場では、規制動向に注意すると共に、水使用量の更なる適正化に努めています。具体的には、上海工場でリサイクル水の散水利用、ブラジル工場では雨水を生活用水に利用などの施策を実施しています。国内ではアンケート調査により、水質悪化、水不足、排水の水質/排水量の規制、水の効率的使用など、物理的・規制および評判リスクが要因となる事業への影響について把握に努め、その結果に基づき分析、評価を進めています (表2)。国内工場では工業用水の使用量低減などの施策に加え、昨今の気候災害の激甚化への対策として、2022年度は、品川研究開発センターおよび葛西研究開発センターにおいて水害リスク評価と水災対策マニュアルの整備、設備浸水の軽減策を計画しました。さらに、第一三共ケミカルファーマ小名浜工場、第一三共バイオテック北本工場では浸水リスクは極めて低いことを確認したことで、国内の研究所および工場における水害リスク対策を完了しています。 なお、水使用量、排水量については第三者保証を受けています。

水リスクの高い地域にある事業所の状況(表1)

工場立地 流域河川 取水量
(1,000m³)
排水量
(1,000m³)
使用量
(1,000m³)
上海工場 Yangtze River
(揚子江)
42.6 31.8 10.8
ブラジル工場 Parana
(パラナ川)
10.8 10.8 0.0
合計 53.4 42.6 10.8

水リスク要因と主な影響(表2)

リスク要因 主な影響
水不足 水の供給が停止・制限された場合の研究・生産活動の低下
水質悪化 製造用水への影響(水浄化費用の増加等)
洪水・高潮・豪雨:河川氾濫による設備等の浸水 浸水による操業停止・生産、出荷不能による工場停止や売上減
水の効率化、リサイクル等に関する義務化 再生水利用の義務化による設備設置等のコスト増加
排水の水質/排水量の規制強化 下水道代上昇によるコスト増加、排水の水質規制強化による設備設置等のコスト増加
干ばつ 原材料となる農作物被害
水供給の季節変動/経年変動 変動による安定操業への影響

水資源の適正利用

水資源は医薬品の生産に欠くことのできない重要な資源であり、持続的な利用を推進すべき生態系サービスの一つであると考えています。事業所が位置する国あるいは地域の水資源の状況、水使用にかかわるリスクや課題を把握するとともに、適正かつ効率的な利用、浄化装置による再利用の推進、使用量の削減などの対策を行っています。第5期中期経営計画では、2020年度の売上高当りの水使用量 (861㎥/億円) を2025年度までに10%削減することを目標としています。2022年度の水使用量は646㎥/億円 (2020年度比 25.0%減少) となりました。また、グループ全体の水使用量は、8,261千㎥) と2020年度比で0.3%減少しました。
なお、当社グループによる取水によって著しい影響を与える水源はありません。

水使用量(取水量)・排水量(グループ全体)

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