EHS経営推進体制

第一三共グループでは、EHS*経営委員会にてグローバルでの健康・労働安全に関する方針・目標・施策を定めています。国内グループ会社においては、最高健康経営責任者をトップとした健康経営推進体制を敷き、会社と労働組合で合意した安全衛生管理の中期方針に基づいた安全衛生施策を推進しています。

* EHS:Environment, Health and Safety(環境・健康・安全)

第一三共グループの健康経営推進体制

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健康については、「ウェルビーイングを育むことにより、社員が活力に満ち、成長できる環境を醸成する」というピープルフィロソフィーに基づき、第一三共グループ健康保険組合・第一三共グループ労働組合連合会と連携して、国内グループ会社社員の健康保持・増進に取り組んでいます。

健康宣言・安全宣言

「第一三共グループの企業理念およびビジョンの実現に向けて会社と従業員が共に成長を遂げるためには、従業員の心と体の健康・安全が不可欠であり、第一三共グループは、全ての従業員が安全に就業し、健康を保持・増進するための環境づくりに積極的に取り組むことをここに宣言します。」

安全衛生管理の中期方針

第一三共グループでは、グローバルで健康・労働安全戦略を策定し、社員の健康増進と安全の確保に取り組んでいます。
国内グループ会社でも、経営課題に対応した施策とその期待成果を図示化した健康・労働安全戦略マップに基づき、安全衛生施策を推進しています。

健康・労働安全戦略マップ

健康労働安全戦略マップ図

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健康・安全に関する取り組み

第5期中期EHS経営方針(2021~25年度)に基づき、「働きがいのある職場づくり」の実現を目指して取り組んでいます。
健康に関する国内グループ方針:
①社員の健康増進
②快適な職場・作業環境の整備
③労働安全衛生対策の強化
④教育・コミュニケーション

健康増進については、重点領域を「生活習慣病、がん、メンタルヘルス、運動機能」に設定し、社員の健康増進を図っています。また労働安全については、2021年4月より、全拠点で労働安全衛生マネジメントシステムを導入し、労働災害の未然防止および労働災害発生時の被害の最小化を推進し、社員の安全の確保に取り組んでいます。

健康経営の推進にあたっては、2017年に国内グループ会社における健康課題を把握するため、各種健康関連データを多面的に分析しました。その結果、定期健康診断における各種検査項目の有所見率(臨床検査値が正常範囲外にある社員の割合)が一般に比して高い状況のなか、健康上の課題に対して改善のための行動を自発的に起こさない、または改善する意識がないという社員が少なからずいるということが明らかになりました。この結果は「将来的に社員に健康障害が発生するリスク」であり、会社・社員の双方にとって早急に改善する必要がありました。

そこで、国内グループ会社では「健康意識の向上」を重要課題とし、社員が自身の健康状態を正しく理解し、自ら健康保持・増進に取り組める環境を整備すべく、評価指標・目標を設定したうえで、目標達成に向けて保健指導や社員啓発などの取り組みを強化してきました。こうした2020年度までの取り組みにより、健康施策の実行状況や受診率など、一定に行動が定着したと判断し、2021年度からは社員の生産性向上を目指し、健康保持・増進に係る新たな評価指標(下図参照)・目標を設定し、さらなる健康経営の推進を図っています。

評価指数(2021-2025年度)



評価指標

基準値
(年度)

2022年度
実績 
目標値
2021年度 2022年度 2025年度 備考
アブセンティーイズム
(30日以上の私傷病休業者)
99人
(2019)
120人 設定なし
中期的な目標設定とし、単年では設定しない
 80人 基準値から20%減
プレゼンティーイズム*1
18.3%
(2020)
 16.8% 14% 基準値から20%減
有所見者率 脂質 40.6%
(2019)
 39.8% 30%


一般平均(健保連 2019年データ)以下に改善
血圧 22.9% (2019)  23.9% 16%
肝機能 21.3% (2019) 20.0% 15%
転倒・転落労災発生数 24件 (2018)  20件 12件 基準値から50%減
高ストレス者率 4.0% (2020)  5.2% 3.0%  
健康イベント参加率 8.1% (2020)  37.0% 15% 35% 40% イベント参加者数/全社員数
特定保健指導実施率 39.6% (2019)
 実施なし
健康診断と人間ドッグの統合運用に伴う健康診断受診時期の変更のため
50% 65% 70%  
喫煙率 16.9% (2019) 10.8% 13% 11% 8% 2030年度には0%
  • *1SPQ(東大1項目版)で測定

上記評価指数以外の数値はESGデータを参照 

社員一人ひとりの健康づくりを促進する、第一三共グループオリジナル体操「One DS 体操」を制作・展開

世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」という当社グループのパーパスを実現するため、そして社員一人ひとりが健康でいられることを目的に、第一三共オリジナル体操「One DS 体操」を制作しました。

One DS 体操
OneDS体操ロゴ

【VOICE】従業員の健康保持・増進に関する評価指標の設定


第一三共株式会社
人事部 労政グループ
秋本 大介

当社グループでは、社員が健康障害の予防を目的とした自律的な取り組みを実施する環境を整備することにより、社員の行動変容を促し、結果として将来的な健康障害の発生を防止することができると考え、安全衛生活動を推進しています。
具体的には、社員の健康保持・増進に関する評価指標・目標値を設定しPDCAを実践しています。
2021年度からは社員の生産性向上を目指し、健康保持・増進に係る新たな評価指標を設定し、目標達成に向けて保健指導や社員啓発などの取り組みを強化し、さらなる健康経営の推進を図っています。

日本国内の労働安全衛生に関する制度・取り組み

制度・取り組み 概要
社内健康サイト 社内イントラネットに健康に関する情報サイトを開設し、全社員へ健康経営の推進状況、会社制度、各種健康情報を紹介しています。
DSけんしん これまでの定期健康診断と人間ドックを統合し、法定健診項目とがん検診項目の両方を包含した当社グループ独自の検査体制を「DSけんしん」とし、全社員を対象に実施しています。(2022年度 定期健康診断受診率 100%、有所見者における医療機関受診率 85%)
安心して受診できる環境を整備するために「DSけんしん休暇」を新設し、全従業員へ受診を勧奨しています。
また、健康保険組合と協力して被扶養者にも受診を推奨しています。
健康診断結果管理 健康診断結果を一元管理するデータベースを導入しています。
長時間労働対策 長時間労働者に対する医師面接を実施し、事後措置対象者には、産業医・上長と連携し個別指導を徹底しています。また、長時間労働を抑制するために、年間所定外労働時間の上限設定、勤務間インターバルの確保、有給休暇取得促進にも取り組んでいます。
がん対策 仕事と治療の両立を目的として、通院型がん治療における療養休暇の一日単位または半日単位での分割取得を導入しています。また、がんについての基本的な知識や安心して働くための会社の支援制度を紹介する「がんと向き合うガイドブック」を作成し、提供しています。また、がん以外の治療についても分割取得制度を導入しています。
禁煙推進 2021年4月にCEOから2030年に喫煙率ゼロを目指す禁煙宣言を社内外に発表しました。敷地内、就業時間内禁煙などの環境整備に加え、役員や組織長の率先垂範により、積極的な禁煙推進を図っています。また、オンライン禁煙外来プログラムの費用を補助(総額約150万円)し、参加者の94%が禁煙を達成しています。
からだの健康づくり 社員の健康増進を図るため、多様な対策を実施しています。
●One DS 体操
第一三共グループオリジナル体操「One DS 体操」を制作し、2022年度に国内外に展開しました。各事業場ごとに体操イベントを実施し、開催後のアンケートでは、とても満足・満足と回答した社員は83%、今後も体操を実践しようと回答した社員は87%で、社員が前向きに取り組んでいることが分かりました。
●ウェアラブルデバイスの活用
ウェアラブルデバイス(Fitbit)を活用し、健康の見える化を図り積極的に社員の健康増進を支援しています。
●女性の健康課題に関する施策
女性の健康サイト「DSフェムケア」を立ちあげ、社内サイトで情報提供をしています。セミナーや産婦人科専門医の解説動画を通じてリテラシーを向上および行動変容を促すとともに、周囲も理解を深め多様な社員が健康で働きやすい職場環境の整備に努めています。2022年度は7%の社員がセミナーまたは動画を視聴しました。
●健康保険組合との連携
健康保険組合とも協力したウォーキング、個人向けの健康情報提供ポータルMY HEALTH WEB(マイヘルスウェブ)を含め、多様な健康施策を提供しています。

社員のヘルスリテラシーについては、運動や食生活等の生活習慣の改善に取り組んでいる社員は38%、これから取り組む意思のある社員は39%であり、多くの社員が健康に関する高い意識を持ち、改善や維持向上を目指せるよう継続して支援を行っています。
心の健康づくり ストレスチェックを実施し、高ストレス者・高ストレス組織に対しては個別のフォローを実施しています(2022年度国内グループ会社 ストレスチェック受検率 97.2%)。また、セルフケア*1・ラインケア*2に関する研修を実施するなど、不調者発生の予防に取り組んでいます。外部のメンタルヘルスカウンセリングと契約し、いつでもカウンセリングが受けられる体制を取っています。また、ストレスに対する対応力を高める方法を習得する研修を実施し、各自の心の健康づくりを推進しています。さらに、全従業員に対し心身の状態変化を早期に把握、対応する体制を整えています。2022年度のエンゲージメント調査結果平均は74でした(21年度平均は80。ただし対象者は22年度と異なる)。
職場復帰支援制度 傷病による療養休暇や休職に対する円滑な復職と再発防止を目的として、職場復帰支援制度を運用しています。この制度に基づき、産業医や産業保健スタッフの関与のもと、体調不良者の復職中におけるフォロー・復職判定・復職後のフォローを実施しています。
団体長期障害所得補償制度(GLTD) 万が一の就業不能リスクに備え、病気やケガで働けなくなった人に、最長、定年まで一定の割合で収入補償を行う制度を導入しています。
安全衛生研修 【化学系安全教育】
開催:年2回の全体研修
対象:合成系研究者
内容:法規制に沿った適切な試薬の管理、事故防止、および化学系コンプライアンスの遵守の徹底を目的とした教育研修を実施
【動物実験】
開催:初回登録時、及び年1回の全体研修
対象:動物実験施設内の構成員
内容:動物実験関連法規に則った適正な動物実験実施、動物福祉、および職業安全衛生の徹底を図る教育研修を実施
【RI】
開催:初回登録時、及び年1回の全体研修
対象:放射線業務従事者
内容:放射線障害を防止するために必要な教育および訓練を実施
  • *1社員自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを適切に対処して、予防・軽減につなげること
  • *2部下と日常的に接する上司が、心の健康のために職場環境などを改善することや部下からの相談に対応すること

「健康経営銘柄2024」、「健康経営優良法人2024~ホワイト500~」に認定

当社は、経済産業省が実施する「健康経営度調査」において、「健康経営銘柄2024」に選出されました。また、当社は2018年から7年連続で、「健康経営優良法人~ホワイト500~」に認定されました。(当社グループとしては4年連続となります)



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