研究開発本部長 高崎 渉

既存の枠にとらわれないリーダーシップで、科学を前進させる道を切り開く

2022年03月28日
Our Science
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~科学を前進させる道を切り開くため、既存の枠にとらわれることのない独自のリーダーシップを発揮し、36年にわたって研究開発に尽力してきた研究開発本部長の高崎渉さん。オープンマインドな姿勢で、パフォーマンス向上に挑み続ける高崎さんのリーダーシップとは~


「科学の進歩のためには、年齢、性別、国籍、民族、さらには組織内での立場といった境界を越えて、互いに刺激し合うことが重要です」第一三共 研究開発本部長 高崎渉


高崎さんは、日本の研究開発本部長として1,000人以上の社員を率いています。高崎さんのリーダーシップのもと、第一三共の革新的なオンコロジーパイプラインから4つの新薬が、過去3年間の間に国内で承認され、がん患者さんの新たな治療の選択肢となりました。そのインスピレーションの源とリーダーシップについて、お話を伺いました。

 

科学に対するオープンマインドな姿勢

高崎さんの信条は、決して現状に満足することなく、勇気を持って新たな挑戦を受け入れること。この前向きな姿勢によって、独自の道を切り開き、第一三共のトップリーダーの一人となりました。

1986年に分析代謝研究所へ入所。医薬品の有効性と安全性の評価に不可欠であり、投与~排泄までの過程(ADME)における薬の動きを研究する、薬物動態評価に従事しました。当時、非臨床的なADME研究は、健康な成人を対象とした第1相臨床試験の開始に向けた意思決定や、最終的な新薬承認申請の提出において極めて重要なものでした。現在、この分野は、創薬、特に適切な治療を適切な患者さんに施すための、新たなモダリティの開発において、さらに重要性が増しています。

その後、客員研究員として米国のペンシルベニア大学に2年間留学。そこでペプチド創薬に携わり、当時の最先端技術であるコンピューターグラフィックスを用いた分子設計技術に取り組みました。「これは私にとって、元々の専攻分野である薬物動態研究の枠を越え、科学的な専門知識を広げる、ユニークでエキサイティングな機会となりました。分子設計・合成から薬理評価まで、実践的で貴重な洞察を得られたのです。創薬や開発研究を進め続けるために必要な科学的知識、経験を広げるのに役立ちました」

帰国から5年後、薬物動態評価の専門知識にさらに磨きをかけた高崎さんは、科学者として成長し続けたいという自らのモチベーションをさらに高めるため、安全性研究所への異動を申し出ました。「『安全性研究』とは単純な用語ですが、複雑で高度に専門化された分野です。投与や観察をする人、臨床検査値を評価する人、解剖や病理を見る人、薬物動態を評価する人というように細分化されていて、それぞれがすごく専門性が高いんです。自分にはない知識や経験を持っている方々と一緒に仕事ができて本当に勉強になりました」

近寄りやすいリーダーでありたい

高崎さんのリーダーシップにおけるキーポイントは、オープンコラボレーションの精神と、互いに信頼し合える関係の構築です。「話しかけやすい雰囲気を作るだけではなく、すべてのチームメンバーに対し、考えをオープンに共有するよう促しています。シニアリーダーに皆が同意ばかりしていると、新しいアイデアは決して生まれないと考えています。科学の進歩のためには、年齢、性別、国籍、民族、さらには組織内での立場といった境界を越えて互いに刺激を与え合うことが重要です。皆の意見を聞いて一緒に考えていこうというのが、私なりのやり方ですね」

パンデミックの影響でこの2年間は対面での交流が著しく減少しましたが、高崎さんはポジティブにとらえています。「現代のテクノロジーのおかげで、世界中の同僚たちと1対1でつながり、新しい革新的なアイデアを模索する。クリエイティブな議論の機会は、かつてないほど増えています」

科学者としての飽くなき成長意欲と、ユニークなリーダーシップ。それは患者さんに向け、新しい革新的な薬を作るための一つのアプローチなのです。


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高崎 渉
Wataru Takasaki
第一三共株式会社
研究開発本部長

1986年、三共(株)入社。2012年、安全性研究所長、2016年、研究開発企画部長、2019年、執行役員・研究開発本部長、2020年、常務執行役員・研究開発本部長就任(現職)

<功績>
東北大学で薬学の学士号、修士号、博士号を取得。日本毒性学会(JSOT)の会員、認定トキシコロジストとして、毒物学の進歩への貢献が認められ、2009年にJSOTの田邊賞、2016年にファイザー賞を受賞。これまでに50本以上の学術論文を執筆・投稿し、「Nature Biotechnology」、「Drug Metabolism & Disposition」、「Toxicology Letters」などの学術誌に掲載。

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