オンコロジー臨床開発グローバルヘッド・シニアバイスプレジデント Mark Rutsteinさん

専門性も視野の広さも必要不可欠。医療や製薬にビジネス分野の学問も活かす、リーダーの貫く想いと姿勢

2023年05月31日
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第一三共でオンコロジー臨床開発グローバルヘッドを務めるMark Rutsteinさん。これまでは医師として治療と研究にあたってきた一方で、ビジネス分野も学び、医療とのつながりを見出してきました。なぜ医療以外の分野にも足を踏み入れたのか、大切にしてきた想いや仕事への姿勢についても語ります

新しいがん治療の創薬に欠かせない「複合顕微鏡」のレンズ

がん治療薬の創薬に携わるMarkさんにとって、「複合顕微鏡」は臨床開発に欠かせない相棒だそうです。その理由は、サイエンスのあらゆるプロセスで通用する高い拡大倍率を備えているから、と語りました。

「複合顕微鏡は、新しいがん治療薬を創製するためにすべきことの手掛かりを与えてくれます。疾患の背後にある生物学的要因を認識するためには、高い拡大倍率によって、細胞シグナル伝達経路を理解することが重要です。一方で、解明して得た詳細な知識を、戦略パラダイムのどこに当てはめるべきかを理解するためには、時として『ズームアウト』するバランスも欠かせません」

~Mark Rutstein、オンコロジー臨床開発グローバルヘッド・シニアバイスプレジデント~

顕微鏡のレンズのように高倍率と低倍率を切り替えることは、Markさんがこれまでの人生とキャリアを通じて一貫してとってきた姿勢であり、その時々での役割を果たすために彼自身を支えてきたものでもあります。

人に手を差し伸べられる医学の道へ

Markさんは「人々を助けたい」という想いを長年抱き続けており、ニューヨーク市のコロンビア大学に入学した当初は、その想いを法学によって実現しようと、ロースクールの準備に向けて学んでいました。しかし大学3年生のとき、当時医学部で腫瘍外科の研修を受けていた姉の影響を受け、医学の道に進もうと決意。地元のハーレム地区にある病院でのボランティア活動を見つけて参加します。

「救急科やICUでボランティアをした時、可能な限りのあらゆる手段を駆使して患者さんたちを救うことこそが、自分の想いに合致すると分かりました。力を尽くすなら、人々に手を差し伸べることのできる職業にフォーカスすべきだと思い、それは医学だという考えに至りました」

マサチューセッツ大学の医学部に進み修了すると、ボストンのBrigham and Women’s Hospitalで内科の研修医として勤務。同じくボストンにあるDana Farber Cancer Centeから転院してくるがん患者さんの治療を通じ、幅広い経験を積みました。その中で腎臓病学の研究職への道を検討していましたが、医療制度や医療経済に留まらず、医学とは別の分野にも関心を広げていきます。最終的に、地元の病院で集中治療医として勤務しながら、コーネル大学でビジネスを学ぶことを決めました。

「マクロ経済学やミクロ経済学、財務諸表分析、財政学など、あらゆるビジネス分野の学問を学んだ結果、臨床医学や患者ケアに関して私が知っていることと、ビジネスの世界に関して私が学んでいることには、接点や相乗効果があるとわかってきたのです」

医薬品開発によりさらに多くの人を救いたい

MarkさんはAmgen社へ入社し、メディカルアフェアーズ部門で製薬業界の一員となり、その後オンコロジー臨床開発分野へと転向し、ImClone/Eli Lilly社、Bayer社、Bristol Myers Squibb社などで責任ある職務に従事します。

「医薬品開発は、私にとって大変大きな意味を持つものでした。医師として、個々の患者さんとそのご家族を助けられることに喜びを感じてきた私は、革新的な医薬品の開発ができればさらに何十万もの人々を助けられる可能性があり、より大きな規模で人々の命を助けることができると考えたのです」

現在は、第一三共でオンコロジー医薬品ポートフォリオのグローバル臨床開発の指揮を執っているMarkさん。当社の現在と未来のための新薬開発パイプラインの充実や、がん患者さんの新たな標準治療を創るというビジョンに熱意をもって取り組んでいます。

「医薬品開発はチームスポーツだと考えています。パイプライン実現のために第一三共に必要なものを考える際には、部門を超えた協力体制を築くことや、明確なビジョンを備えた『One Team』アプローチに重点を置くことが極めて重要です」

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