第一三共と米国Sarah Cannon Research Institute協働の「ドリームチーム」メンバー

新たながん治療薬開発を加速する。第一三共と米国Sarah Cannon Research Institute協働の「ドリームチーム」創設とその成果

2023年01月30日
Our Science
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2018年末、第一三共と米国のSarah Cannon Research Institute(サラ・キャノン研究所/以下SCRI)は、「ドリームチーム」を編成する戦略的提携を発表しました。このチームは、初期臨床試験の実施におけるSCRIのリーダーシップにより、第一三共のサイエンス&テクノロジーの強みを活かす布陣となっています。

その目的は、がん患者さんの標準治療を改善するための新薬開発を加速することです。

新薬をいち早く患者さんへ届けるための提携先探し

当時、第一三共はグローバルオンコロジー企業への転換の初期にあり、また、当社にとって3つ目の革新的抗体薬物複合体(ADC)の重要なPOC(Proof of Concept、医薬品開発において新薬候補物質の有用性・効果が認められること)が完了した直後でした。その他にも、少なくとも4つの新薬候補が臨床開発に入るのを待っているという、とても重要な時期でした。

第一三共のVP、グローバルオンコロジースペシャルプロジェクトのArnaud Lesegretainさんはこう語ります。

「私たちは可能な限り速やかに、それらの新薬候補を患者さんに届ける義務があると考えています。しかし、当時の第一三共のオンコロジー領域における臨床開発能力はまだ限られており、それを強化するための取り組みを始めたばかりでした。そのため、強固な提携関係を築く相手として、従来の開発業務受託機関(CRO)とは異なる、特に抗体薬物複合体の臨床開発経験がある他に類のないパートナーを求めていたのです。」

SCRIは、オンコロジーの初期臨床研究における広範な専門知識により、600以上のFirst in Human試験を牽引してきた実績(提携開始当時)があり、がん患者さんのニーズの理解において最先端に位置していました。そんなSCRIは第一三共にとって、最適なパートナーでした。

「医薬品開発はチーム戦であり、そこには、医薬品開発を行うだけでなく、運営管理や治験実施施設との関係維持といった機能も必要です。製薬会社、CRO、及び治験施設支援機関(SMO)が協力することで開発を加速し、業務を円滑に進めることができます。SCRIと第一三共との提携においては、これらの組織がいずれもベンダーとしてではなくパートナーとして協働しています。」

-Howard A (Skip) Burris, III博士、MD, SCRI社長

Burris博士のリーダーシップの下でSCRIは成長し続け、現在はUS Oncology Research, LLCとの新たな合弁事業を通し、全米50州のうちの26州、250以上の施設で数千名の患者さんの治験に携わっています。

強固な関係により、記録的な速さで被験者登録に成功

SCRI Development Innovations担当バイスプレジデント
Marcy Valloneさん

提携開始から4年を経て、第一三共とSCRIの関係は強固になり、多くの成功も経験してきました。

SCRIのDevelopment Innovations担当バイスプレジデントのMarcy Valloneさんはこう話します。

「第一三共の、ある抗体薬物複合体の第I相試験の被験者登録は、当初の想定及び予定を超えて記録的な速さで完了し、First in Humanから次の開発段階に移行しました。」

Marcyさんは、さらに、次のように語ります。「日米共同でFirst in Human試験を実施する初の機会をSCRIに提供してくれたことにも、私たちは感激しました。国を超えて協力し、満足できる業務を行うためのモデルを構築できたことは大変有意義です。複数の試験において、このオペレーションモデルを高いレベルで成功させるために、第一三共の専門知識や提携ビジョンを活用できたことに感謝しています。」 

相互の文化の理解や個々の親交も、成功の鍵に

第一三共とSCRIは、日本とSCRIのある米国テネシー州ナッシュビルの文化や伝統についての考えを互いに共有しました。メンバーたちは、互いの国への訪問時には食事を共にして自国の食文化を紹介しあい、家庭や家族のことも話題にし、個人レベルでも特別な関係を築くことができました。そして、がん患者さんへ薬を届けるために日々可能な限り、最善を尽くそうというチームの意欲向上へと繫がりました。

Burris博士はこう述べています。

「チーム間での仲間意識、信頼関係、及び連帯を築く上で、体験談や文化的な経験を共有することは重要です。この4年間で私たちは第一三共の皆さんと密接な関係を築き、子どもや孫の誕生、昇進等の出来事を祝いあえるようになりました。」

第一三共とSCRIの協力は、それぞれが単独で行うよりも大きな影響をがん研究の分野へ、もたらしています。

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