研究統括部長兼リサーチプラットフォームグローバルヘッド 高橋亘さん

生物学を医薬品開発に活かす。研究部門を率いるリーダーが抱くイノベーションへの想い

2022年10月06日
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第一三共の執行役員、研究統括部長およびリサーチプラットフォームのグローバルヘッドとして、研究部門を率いる高橋亘さん。長年にわたり、分子生物学およびタンパク質工学の研究で、医薬品開発に貢献してきました。生物学に打ち込むようになったきっかけや、それを第一三共で医薬品開発に活かそうと尽力する想い、これからについて語ります。

ふぐ釣りの様子

生物への関心が創薬に

幼いころから植物や昆虫などに魅了され、今も釣り、特にふぐ釣りが趣味だという高橋さんは、生き物への好奇心が尽きません。ふぐはご存知の通り、有毒部分を正しく除去して適切に調理するため、長年の厳しい訓練を受けた料理人だけが、調理して客に提供することができます。高橋さんも、分子生物学およびタンパク質工学の専門家になるための長年にわたる厳しい訓練と実務経験を経て、現在のキャリアを築きました。

タンパク質工学を医薬品開発に活かすため、三共に入社

中学校の理科の教員であった父親の影響もあり、学生時代はその情熱を農学、特に植物ウイルス学の高度な研究へ注ぎ、北海道大学で博士号を取得しました。そして1990年に、第一三共の前身のひとつである三共株式会社に入社。その志望理由となったのは、三共がホルモンの一種であるアドレナリンの分離や精製、真菌からのスタチン抽出など、生物からの医薬品開発で実績を残していたことです。

「三共は化学合成だけではなく、天然物にも着目しており、その分野で幅広い経験を持つ研究者が多く在籍していました。私もタンパク質工学を通じて医薬品開発へ貢献したいと、三共への入社を決断しました。」

高橋さんのタンパク質工学における業績は高く評価され、1993年に、抗体医薬の開発研究を担う初の研究者グループのメンバーに抜擢されました。タンパク質工学という土台と、第一三共のカルチャーが結びつき、その後の抗体薬物複合体(ADC)研究へと繋がったのです。

その後、アメリカのイリノイ大学とオハイオ州にあるクリーブランド・クリニックで、分子生物学の客員研究員となり、がん抑制遺伝子に関する生物学について研究し、より高度な専門知識を習得。2013年には、タンパク質、ペプチド、抗体、および核酸を利用するマルチモダリティ戦略の一環として設立された、モダリティ研究所長に就任しました。

患者さんを助けるために、最先端のサイエンスを探求し続ける

現在高橋さんが率いる研究部門には、創薬・有機・生体分子化学研究、ヒット化合物探索や細胞加工等を行う生物学研究、生化学・薬理学・タンパク質生成などを行う複数の専門チームがあり、多くの研究員が日々研究に励んでいます。

「私のチームは、患者さんへの次のブレイクスルーを探すために尽力しています。少し俗物的な言い方かもしれませんが、次の”金の卵”を産むガチョウを探している、とも言えます。それは、未来の医薬品開発に向けたイノベーション実現のため、グローバルサイエンスの次の傾向を見出す責務を負っているということです。」

- 第一三共 研究統括部長兼リサーチプラットフォームグローバルヘッド 高橋亘さん

高橋さんのチームは、オンコロジー領域や、中枢神経系(CNS)、希少疾患などのスペシャルティメディシン領域の新たな創薬標的を特定し、アンメットメディカルニーズを抱える患者さんに役立つ科学的イノベーションの次の柱を確立することに挑戦しています。

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