コンプライアンス体制の継続的運用
第一三共においては「コンプライアンス推進規程」により、ヘッド オブ グローバル コンプライアンス・リスクがコンプライアンス・オフィサーを務め、当社のコンプライアンス行動基準や関連規程、年度目標等のコンプライアンス・プログラムを統括するとともに、当社グループのコンプライアンスに関する審議・決定機関である「企業倫理委員会」の委員長を務めています。企業倫理委員会は、社内委員14名のほかに、委員会運営の透明性、信頼性を確保するために、社外弁護士1名を加えた計15名で構成され、原則として年2回開催されています。オブザーバーとして常勤監査役及び監査部長、事業管理部長が参加しています。
当社の各組織におけるコンプライアンス・プログラムの推進については、各本部長・部所長がその責務を負っています。
国内外のグループ会社においても、各社のコンプライアンス・プログラムの統括等に責任を持つコンプライアンス・オフィサーなどが任命され、各社のコンプライアンスを推進しています。
また、当社グループのグローバル・コンプライアンス体制の実効性を確保するため「企業倫理委員会」の諮問機関として「グローバル・コンプライアンス諮問委員会」を設置し、当社法務部長が委員長を務め、欧米グループ会社のコンプライアンス・オフィサーを常任委員として、グローバル・ポリシーや当社グループの年度目標などを検討しています。
「企業倫理委員会」、「グローバル・コンプライアンス諮問委員会」の審議内容については「年度コンプライアンス推進活動」として当社CEO及び取締役会に報告しています。
2021年度コンプライアンス推進活動に関する取締役会報告事項
- 企業倫理委員会審議・報告事項概要
- コンプライアンス推進活動概要(グローバル・国内)
- コンプライアンス抵触案件への対応
- 2022年度グローバル・コンプライアンス目標
第一三共グループ個人行動規範の周知徹底
近年、グローバルに事業を展開する企業においては、各組織における個人の行動規範について、幅広い方針を策定することが求められています。当社グループでは2015年4月に、当社グループの役員および社員の行動面におけるグループ共通のポリシーとして、「第一三共グループ個人行動原則」を制定しました。2020年4月には、当社グループの役員および社員が遵守すべき行動のグローバルな統一基準をより幅広く、かつ明確にするため、「第一三共グループ個人行動原則」を廃止し、「第一三共グループ個人行動規範」を制定、運用しています。また、当該ポリシーに関し、研修を定期的に行う等、周知徹底に取り組んでいます。
なお、「第一三共グループ企業行動憲章」および当該ポリシーに基づき、当社および国内グループ各社は、日本製薬工業協会の「製薬協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」の内容も踏まえた共通の「コンプライアンス行動基準」を制定しています。海外グループ会社も、必要に応じてそれぞれの国・地域の法規制や特性に応じた社内規程を制定しています。引き続き、同規程等の一層の遵守・実践に努めてまいります。
第一三共グループ個人行動規範(参考訳付き)
コンプライアンス行動基準(420KB)
贈賄および腐敗防止に関するグローバルポリシーの浸透
贈賄等に関する規制は世界各国で年々強化されており、グローバルに事業を展開する企業にとって、贈賄および腐敗防止に対する取り組みがますます重要になっています。
当社グループでは、贈賄および腐敗行為の防止について、「第一三共グループ個人行動規範」においても明記していますが、一層の徹底を図るため、公務員や医療関係者に対する現金払いの禁止等、より詳細な内容を定める「第一三共グループ贈賄及び腐敗防止ポリシー」を運用しています。
当社グループでは、今後も贈賄及び腐敗行為の防止について研修を行うことで、贈賄・腐敗行為防止体制の更なる強化に取り組んでいきます。特に贈賄等のリスクの高い国におけるビジネスについては、当社法務部のコンプライアンス担当者によるグループ会社への定期的な面談などを通じて、引き続き対策を講じていきます。
第一三共グループ贈賄及び腐敗防止ポリシー(参考訳付き)(260KB)
通報制度の活用
2021年5月から、グループ共通の社外における内部通報窓口としてグローバル・ホットラインを新たに導入しました。従来は、それぞれの地域における通報制度を構築・運用していましたが、社外の受付窓口を統一することで、これまで以上にグループ全体のコンプライアンス違反を適時に把握し、より適切な対策を構築することができ、また風通しの良い職場環境を築くことに繋がると考えています。
グローバル・ホットラインは、コンプライアンスに関する通報・相談を24時間/365日受け付けており、当社グループ各社が所在する国/地域の言語で利用することが可能です。また、社員のみならず、各社のウェブサイト上において、社外の方からの通報・相談も受け付けています。
グローバル・ホットラインに加え、当社および国内グループ会社においては、それぞれ社内に専用電話やeメール等による内部通報窓口を設置・運用しています。また、ハラスメントに関する通報・相談窓口として、当社人事部、各事業場及び社外において、ハラスメント相談窓口も設置しています。
さらに、海外グループ会社のSenior Executiveの不正行為に関する疑いを各社コンプライアンス・オフィサーが把握した場合、当社General Counselに直接通報・相談する制度(SEMRP:Senior Executive Misconduct Reporting Procedure)を導入し、運用しています。
なお、2022年6月1日施行の公益通報者保護法改正にともない、当社および国内グループ会社では公益通報等対応規程の改正を適時に行い対応しています。今後も継続してホットラインの意義や重要性だけでなく、通報者・相談者の保護についても伝えることで、ホットラインの実効的な運用に努めていきます。
2021年度コンプライアンス関連データ(グローバル)
- 通報の受付数:157件
- 対応策:受け付けた通報のうち、調査が必要と判断した案件については適切に調査を実施しました。そのうち、コンプライアンス違反と認定された案件については、行為者に対し、解雇を含む必要な懲戒処分を科しています。
注記:2021年度の本情報に含まれるデータは、各関連会社により、法律、雇用慣行および現地の方針・手順の地域差の影響を受けた個別の基準に基づき計算されたものです。
【VOICE】グローバルでのコンプライアンス推進にあたって

第一三共株式会社
総務本部
法務部
エシックス&コンプライアンスグループ
島津 佳奈
私の所属する法務部エシックス&コンプライアンスグループは、当社グループ全体のコンプライアンス推進活動における中心的な役割を果たしています。推進活動において、各種施策やルールの整備・教育、コンプライアンスリスクの早期発見等が必要ですが、その基盤として風通しの良い職場風土の醸成が重要と考えます。2021年度に行った企業風土に関する社員調査では、84%の肯定的な回答を得られましたが、コンプライアンス推進を担う上で、社員の皆さんにとって職場風土をより良いものにしたいと思っています。私が話をした国内外のコンプライアンス担当者も皆、同様の考えであったため、2022年度は改めて職場風土醸成の重要性に向き合うことをグループ共通目標に掲げました。社員一人ひとりが他者への傾聴を心がけることで、自分の意見や考えを安心して発信できる職場風土を定着させるため、コンプライアンスを推進する国内外の仲間とともに各地域のカルチャーを尊重の上各種施策を実施していきます。
コンプライアンス研修・意識啓発活動
コンプライアンス推進には、コンプライアンス研修や教育・啓発活動の継続的な実施が不可欠です。
当社および国内グループ各社の各部所では、当社グループにおけるコンプライアンス意識の向上および高い倫理観や風通しの良い職場風土の醸成のため、共通のオリジナル研修資材を活用した少人数グループによる討議形式の研修(対話式研修)を実施しています。
また、当社取締役、監査役、執行役員、国内グループ会社の社長およびコンプライアンス・オフィサー等を対象に、外部講師を招いたコンプライアンス研修を定期的に実施しています。国内グループ各社の新入社員、新任マネジメント職等については、それぞれ階層別に毎年コンプライアンス研修を実施しています。
海外グループ会社では、各地域の状況に応じて、ケーススタディーやeラーニングによるコンプライアンス研修等を実施しています。
さらに、国内外の全てのグループ会社に対し、コンプライアンスの重要性に関する当社CEOのメッセージを定期的に発信するなどの啓発活動を行うことで、当社グループにおけるコンプライアンス意識の一層の向上に努めています。
コンプライアンス意識調査の実施
当社および国内グループ会社では、役員および社員を対象として定期的にコンプライアンス意識調査を実施しています。直近では2020年度に約9,500名を対象としてコンプライアンス意識調査を実施し、当社グループにおける企業理念、コンプライアンス関連規範等の理解度やコンプライアンスの実践状況、社内体制の整備状況などを分析し、強みと課題を把握しました。今後も定期的にコンプライアンス意識調査を実施し、調査結果を、当社及び国内グループ会社におけるコンプライアンス推進活動に役立てていきます。