2020年12月04日
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第一三共は、Medicines for Malaria Venture (以下「MMV」)とマラリアの新規治療標的分子に対する化合物スクリーニングに関する共同研究契約を締結しました。

本プロジェクトには製薬企業が複数社参加し、各社の化合物ライブラリーを用いて新規メカニズムに基づく抗マラリア活性を有する新規化合物の取得を目指しています。なお、本プロジェクトはグローバルヘルス技術振興基金 (Global Health Innovative Technology Fund、以下「GHIT Fund」) の「スクリーニングプログラム」に採択されています。

マラリアは蚊が媒介するマラリア原虫によって引き起こされる感染症で、激しい高熱を繰り返し、適切に治療しないと死に至ることもある病気です。2018年には世界人口の約半数がマラリア感染の脅威に直面していますが、アフリカにおける疾病負荷が大きい特徴があります。2018年には年間約2億2千8百万人が感染し、約40万5千人が死亡していると推定されています。既存薬に対する耐性を獲得した原虫の出現も報告されており、マラリア制圧への取り組みにとって脅威となっています。このような薬剤耐性マラリアの拡大を食い止めるために、新規のメカニズムに基づく新薬の開発が望まれています。

本プロジェクトでは、参加各社がそれぞれ約2万の化合物ライブラリーをMMVに提供し、マラリア原虫の標的分子2種(熱帯熱マラリア原虫CLK3及びアセチルCoAシンセターゼ)に対して作用する化合物のスクリーニングを実施します。これらの標的分子は近年抗マラリア活性との相関が確認されたもので、本スクリーニングから新規メカニズムに基づく次世代抗マラリア薬のシード化合物を見出すことを目指します。

当社は今回の抗マラリア薬探索に関する共同研究など、医薬品の創出や開発途上国における医療アクセスを改善する取り組みを通じ、国連加盟国が採択した持続可能な開発目標 (SDGs) の目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」に資する活動を継続しています。引き続き、これらの活動を通じ、当社の企業理念でもある世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献してまいります。


公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)について

GHIT Fundは、日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業などの民間企業、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム、国連開発計画が参画する国際的な官民ファンドです。世界の最貧困層の健康を脅かすマラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症と闘うための新薬開発への投資、ならびにポートフォリオ・マネジメントを行っています。治療薬、ワクチン、診断薬を開発するために、GHIT Fundは日本の製薬企業、大学、研究機関の製品開発への参画と、海外の機関との連携を促進しています。
https://www.ghitfund.org

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