2019年03月18日
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タンザニアにおいては、医療アクセスの拡大に資する活動として、乳幼児死亡率と妊産婦死亡率が高く、医療アクセス上の課題がある地域(キサラウェ県)において、2011年から移動診療サービスを5年間展開した後、いまなお課題がある地域が存在することに鑑み、新たな活動地域としてキロンベロ県を選定し、2017年2月から移動診療サービスを継続実施しています。
本活動は、国際NGOである「プラン・インターナショナル」と協働しており、2019年1月、現在の活動状況のモニタリングを目的に現地を訪問しました。

活動概況

プロジェクト開始以降、実施計画に則り、キロンベロ県35区のうち医療サービスへのアクセスが非常に困難であった18区48ヶ所の巡回医療ポイント(アウトリーチポイント)の移動診療サービスを継続実施しています。また、3ヶ月毎にアウトリーチポイントにおいてヘルスデイを設定し活動毎に参加人数が増加しています。

移動診療サービスと住民に対する意識啓発活動を同時に実施する日

ヘルスデイの視察

ヘルスデイにおいては、医師による意識啓発活動(性と生殖に関する知識、HIV/エイズ、産前健診/医療機関での出産の奨励、子どものケアと育児等)が行なわれた後、移動診療サービス(予防接種、体重測定、妊産婦健診など)が実施されていました。

クリニカルオフィサーによる啓発活動

クリニカルオフィサーによる妊産婦へのコンサルテーション

ラボテクニシャンによる検査

体重測定による成長測定

ナースによるワクチン接種

ラ栄養食(大豆、ピーナツ、コーン、砂糖など)の配布

住民へのインタビュー

  • ここまで自転車で2時間と徒歩で1時間かけてきました。同サービスが開始される前は約5時間かかる別の医療機関に行っていました。遠くても子どもの健やかな成長のために必ず毎月来ています。同じ立場のお母さんたちとの情報交換も楽しいです。
  • 近くの村から産前健診に夫婦で来ました。妻は学校を修了できなかったので知らないことが多い。夫である私がいつも守ってあげなければと思い、毎月の産前健診には私も一緒に来ています。ここでは毎月必ずお医者さんの健診を受けられるので安心です。

ヘルスセンターの建設

本プロジェクトにおいて実施してきた妊産婦健診や地域住民への啓発活動の成果として簡易保健施設の建設が、住民自らによって行なわれるようになりましたが、それが他の地域へも波及してきています。
訪問した地区には、近くに医師、ナースが常駐するヘルスセンターがなく、60Km離れた私立病院への照会しかできませんでした。簡易保健施設の完成によって予防接種率のさらなる向上や妊産婦や新生児死亡率の大幅な低下が見込まれています。

住民活動によるヘルスセンター建築現場

まとめ

タンザニアキロンベロ県における本活動は3年目にはいっており、活動対象地域においては、活動計画に則ったアウトプット(移動診療活動、医療関係者へのトレーニング、予防接種、産前健診の実施)によるアウトカム(住民の知識レベルのアップ、予防接種率の向上、産前健診率の向上)が見られています。また、移動診療サービスを通じて住民への保健に対する啓発活動が進み、住民自らの健康意識も高くなっていることが感じられました。

本活動は、「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」の達成に焦点をあてた活動で、Access Acceleratedのプログラムに採用されています。

撮影協力:プラン・インターナショナル

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