2020年04月22日
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第一三共は、Drugs for Neglected Diseases initiative(顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ、以下「DNDi」)と顧みられない熱帯病であるシャーガス病の革新的な治療薬開発に向けた新たな研究プログラム「リード化合物最適化プロジェクト」に関する共同研究契約を締結しました。なお、本プロジェクトはグローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund、以下「GHIT Fund」)の「製品開発プログラム」に採択され、2年間で約4.3億円の研究資金の提供を受ける予定です。

シャーガス病(別名:アメリカトリパノソーマ病)はクルーズトリパノソーマという寄生原虫が昆虫(サシガメ)の媒介によりヒトや動物に感染し、放置すると死に至ることもある病気です。主にラテンアメリカで流行し、感染者は世界中で600~700万人と推定されていますが、ワクチンや副作用の少ない治療薬はなく、新薬が切望されています。

当社の創薬力、DNDiの顧みられない病気に関する高い専門性、そしてGHIT Fundの投資力やグローバルネットワークを活用して、三者がone teamとなって創薬研究に取り組むことで、シャーガス病で苦しむ世界中の患者さんに革新的新薬を一日も早くお届けできることが期待されます。

今回のシャーガス病治療薬創製に関する共同研究など、当社は、医薬品の創出や開発途上国における医療アクセスを改善する取り組みを通じ、国連加盟国が採択した持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」に資する活動を継続しています。引き続き、これらの活動を通じ、当社の企業理念でもある世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献してまいります。

当社とDNDiとの共同研究の経緯

当社とDNDiは、2016年2月に、当社が保有する約4万化合物のリーシュマニア症およびシャーガス病に対する活性を調べる「ハイスループットスクリーニング(HTS)プロジェクト」を開始し、活性を持つ3つの化合物シリーズを得ました。2017年4月より、これら3つの化合物シリーズの誘導体展開を行う「リード化合物探索プロジェクト」へと移行し、新規リード化合物を得ることに成功しました。この結果、2020年4月より、新規シャーガス病治療薬の臨床候補化合物の創出を目的とした「リード化合物最適化プロジェクト」へと進展させることとし、本契約を締結しました。なお、本プロジェクトは研究開始当初からGHIT Fundより研究資金の提供を受けています。

Drugs for Neglected Diseases initiative, DNDi:顧みられない病気の新薬開発イニシアティブについて

DNDiは顧みられない病気で苦しむ患者さんのニーズに基づき、新薬開発に協同で取り組む非営利の研究開発組織です。アフリカ睡眠病(ヒトアフリカトリパノソーマ症)、シャーガス病、リーシュマニア症、フィラリア感染症、マイセトーマ (菌腫) 、および小児HIVやC型肝炎の治療薬開発に取り組んでいます。2003年の設立以来、顧みられない病気に対する8つの新たな治療を開発し、研究開発パイプラインには複数の新たな候補化合物を有しています。2023年までに16~18種類の新たな治療を開発し、それらへの公平なアクセスの実現と新規候補化合物による強固なパイプライン構築を目指しています。

https://www.dndi.org/

グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)について

公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業などの民間企業、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム、国連開発計画が参画する、グローバルヘルス分野の製品開発に特化した日本初の国際的な官民ファンドです。世界の最貧困層の健康を脅かすマラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症と闘うための新薬開発への投資、ならびにポートフォリオ・マネジメントを行っています。GHIT Fundは、治療薬、ワクチン、診断薬を開発するために、日本の製薬企業、大学、研究機関等の参画を促進しています。

http://www.ghitfund.orgをご参照ください。

共同研究チーム

共同研究チーム

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