
原田 径子
Head of Global Sustainability
世界は今、かつてない速度で変化しています。気候変動の深刻化、地政学的リスクの高まり、医療格差の拡大など、社会課題は複雑さを増し、医薬品の安定供給や医療アクセス、そして私たちが日々向き合う患者さんの生活に直接的・間接的に影響を及ぼしています。これらの変化は、当社グループにとってリスクであると同時に、価値創造の機会でもあります。
このような変化の中でこそ、生命関連企業としての責任が問われます。「現在の患者さんだけでなく、将来の患者さんにも貢献し続けるために、何をすべきか。」この問いに向き合うことが、私たちのサステナビリティの出発点です。
当社グループでは、外部環境の変化に伴うリスクと機会を認識し、その重要性を評価し、第6期中期経営計画に反映しています。その中核には、抗がん剤をはじめとする患者さんへの価値提供があります。当社グループの製品および研究開発パイプラインは、病とともに生きる患者さんの希望そのものであり、革新的な医薬品を通じて、がんをはじめとする疾病の治療、予後の改善、そして生活の質(QOL)の維持・向上に貢献し続けることが事業の根幹です。
そして、その価値を持続的に社会に届け続けていくための基盤として、「Be a Trusted Partner for Sustainable Society」を定め、患者さんを中心に考える企業文化の醸成、高い倫理観を持った企業活動、人材育成・強化、企業文化・労働環境の更なる向上、コンプライアンスの徹底、環境負荷の低減を6つの重点課題として、事業活動と一体的に取り組んでいます。この取り組みを通じて、事業リスクの低減と事業競争力の強化を図り、当社グループが社会課題の解決に貢献することは、同時に多様なステークホルダーからの信頼を醸成すると考えています。
例えば、環境の領域では、バリューチェーン全体を通じた環境負荷の低減に取り組んでいます。こうした環境への貢献は、将来の気候変動リスクへの対応力を高め、医薬品の安定供給や疾病構造の変化への迅速な対応につながります。その結果、企業としての事業継続性を強化するとともに、患者さんやご家族への価値提供をより持続的なものとします。
最後に、信頼の構築において重要となるのは、取り組みの実践に加え、ステークホルダーとの対話と透明性の確保です。当社グループは、取り組みの内容や進捗が適切に理解・評価される信頼性の高い情報開示を目指しています。さらに、多様なステークホルダーとの対話を通じて期待や懸念を把握し、当社グループの取り組みの妥当性を継続的に検証するとともに、その結果を経営の意思決定へ反映していきます。こうしたプロセスを通じて、取り組みの透明性と一貫性が高まり、ステークホルダーとの信頼関係が形成されます。そして、その積み重ねが当社グループの事業の持続可能性を支えていくものと考えています。