社長兼CEO 眞鍋 淳

サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニーを目指して

2021年09月08日
Our People & Culture
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2021年4月、第一三共は第5期中期(2021-2025年度)経営計画と2030年ビジョン「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」を発表しました。
その背景や思いを、第一三共 社長兼CEO 眞鍋 淳が語ります。

パーパス(存在意義)、ミッション、企業理念、2030年ビジョンの関係について

近年特にパーパスとか存在意義という言葉が世の中で使われるようになって、そのような中、改めて第一三共の企業理念を見ると「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」とあり、この企業理念の最後の部分が我々のパーパス(存在意義)そのものだと再認識したのです。そして企業理念の残りの部分「革新的医薬品を継続的に創出」し、「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」する、これがミッション(何をするか)です。ビジョンはパーパスを果たすために「ありたい姿」です。

2030年ビジョン「サステナブルな社会の発展に貢献する先進的グローバルヘルスケアカンパニー」について

前回の第4期中計では2025年ビジョン「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を掲げてきましたが、その先の2030年の我々を取り巻く環境を考えると、「Healthcare as a Service(HaaS)」の時代が本格的に到来しているのは間違いないでしょう。
そのように環境が変化する中で第一三共グループ(DSグループ)に何ができるのかを考えると、サイエンス&テクノロジーを強みとするところは変わらない一方で、医薬品に限らず「患者さん目線」を軸として、核酸医薬、メッセンジャーRNAワクチン、第二世代ADC(抗体薬物複合体)、バイスペシフィック抗体、遺伝子治療、細胞治療やデジタルソリューションなど、多様なモダリティへの挑戦を続け、幅広い治療ソリューションを社会に提供できる会社でありたいと願っています。こうした想いから、2030年ビジョンを打ち出しました。 また、ESG経営に一層注力し、DSグループならではの価値を継続的に生み出していくことにより社会への貢献を目指します。

中期経営計画の数値目標について

2005年の統合以来、最も成長が期待できる中期計画となっています。現在計画している3つの主要ADCの臨床試験が順調に進行し、想定した効能・効果が得られ、副作用が想定の範囲内に収まれば2025年度計数目標は十分達成可能と考えています。臨床試験の質を維持・向上させ、日々の試験の進捗確認や管理を徹底することで質の高いデータを導き出し、それぞれの製品の力を見極め、いち早く上市へつなげていくことが極めて重要です。

製薬企業のように研究開発費が大きい会社では、研究開発費の増減により単年度の営業利益の振れ幅が大きく変わります。しかし、単純に営業利益だけをターゲットにして研究開発費を減らせばいいというものではありません。製品ポートフォリオを見ながら、その時々の状況に応じて柔軟に研究開発費を動かしていくことで、企業の持続的な成長につなげたいと考えます。

第一三共第5期中期経営計画の戦略の柱

更なる成長に向けた柱と既存事業の成長について

核酸医薬、メッセンジャーRNAワクチン、第二世代ADC、バイスペシフィック抗体、遺伝子治療、細胞治療など、多様なモダリティの中から将来性のあるものを見極めていきます。またデジタルトランスフォーメーション(DX)もモダリティの一つととらえ、DXの活用や他のモダリティとの組み合わせにより、新しい治療ソリューションを生み出すことも視野に入れています。例えば、CureApp社と共同開発を進めているがん治療支援アプリは、がん患者さんの状態をモニタリングしてQOL向上に貢献するという新たな試みです。これを第一歩とし、今後もさまざまなヘルスケアソリューションを形にしていきたいと考えています。
また、ワクチンの研究開発にも注力しており、特にメッセンジャーRNAの技術を応用した新型コロナワクチンの開発を進めています。開発を進めて承認を取得し、安定供給を図るとともに、メッセンジャーRNA技術の特長を生かし、他の新興感染症にも対応可能なプラットフォーム技術の構築を図りたいと考えます。
現在はがんにフォーカスしていますが、重要なことはアンメット・メディカル・ニーズに応える新薬をいかに生み出すかですので、多彩なモダリティの中から、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患の治療ソリューションとなる新薬をいち早く創出することに期待を寄せています。

また、DSグループのすべての事業は、「Healthcare as a Service(HaaS)」として新たな治療ソリューションを生み出すことにつながっています。アメリカン・リージェントはジェネリック注射剤を、第一三共エスファはジェネリック事業を、第一三共ヘルスケアは店舗販売や通販事業の更なる成長を図っており、DSグループとして適切な投資を続けていきます。

 

 

Patient Centric Mindsetによる患者さんへの貢献について

DSグループにはさまざまなステークホルダーがいますが、最も重要なのが患者さんです。真に患者さん中心の考え方に立つためには、患者さんが何を望んでいるのか、何に困っているのかをこれまで以上に深く知り、考えていかねばならないという想いからこのキーワードを掲げました。グローバル製薬企業や規制当局や患者団体の多くは「Patient Centric Mindset」を重視していますが、日本は遅れをとっているのが現状です。日本の研究開発本部で実施している患者さんによる講演や対話、病院研修を通じて患者さんの声や臨床現場のリアルを知る活動は国内では先駆的な取り組みの一つであると自負していますが、こうした姿勢や取り組みをバリューチェーン全体で強化し、より患者さんの目線に立った製品開発や分かりやすい情報提供などに結び付けていきたいと思います。

One DS Cultureの醸成に向けたCore Behaviorの実践

がん事業の拡大に伴う急激なグローバル化や人材の多様化に対応すべく、国・地域の垣根を越えたグループ共通の企業文化(One DS Culture) 醸成に向けて3つの行動様式(Core Behavior) を策定しました。Be Inclusive&Embrace Diversityは国、人種、性別などの多様性を理解し認め合うこと、Collaborate&Trustは仲間への尊敬を大切にして支え合うこと、Develop&Growは前向きに自己成長を図る姿勢を示しています。One DS Cultureは一朝一夕に醸成できるものではなく、私をはじめ経営陣がロールモデルとなり、日々実践することでOne DS Cultureを育てていきたいと思います。




第一三共は2030年ビジョンの実現に向け本中期経営計画を実行することで様々な社会的な課題に取り組み世界中の人々の健康で豊かな生活、そしてその先にあるSustainable Development Goals (SDGs)の実現にも貢献していきます。強みであるサイエンス&テクノロジーに基づく、革新的なソリューションを継続的に創出することに挑戦し続けます。

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眞鍋 淳

社長兼CEO
第一三共株式会社

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