オンラインで実施した患者さんとの交流セッション(DIA日本年会2020)

病気の先にある「患者さんの生活」を考える

2021年04月28日
Patient Centricity
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COMPASSメンバー
第一三共株式会社 研究開発本部

 

「患者志向の創薬」を目指すCOMPASS

 

COMPASSとは、「患者志向の創薬」実現を推進する第一三共の取り組みで、2014年に品川研究開発センターを中心とした研究開発本部内の組織横断的な活動としてスタートしました。活動名のCOMPASSは、“Compassion for Patients Strategy”に由来し、患者さんに求められる医薬品を創出するための羅針盤(Compass)という意味が込められています。

活動は大きく分けて2つで、1つ目は患者さんによる講演や社員との対話セッションを通じてお互いのことを知り合う交流活動、もう1つは医療現場の体験から知る活動で、私たちが医療現場を訪問し、臨床現場のニーズを理解するとともに、製薬企業人として自らが果たすべき役割を再認識する機会となっています。



2020年度の活動 患者さんの声を聴くワークショップを企画

DIA日本年会2020で描かれた先天代謝異常症患者さんのiPJM

2017年から、社外の団体と協力して、患者さんに寄りそうことの大切さを発信するワークショップを開催し、 “Patient Journey Map (PJM) ”の作成に取り組んできました。

Patient Journeyとは、患者さんが疾患や症状を認識してから、最終的に病院での受診や服薬などの治療に至るまでの、患者さんの「行動」「思考」「感情」などのプロセスを表したもので、「病気を抱えた人の旅」という意味で名付けられています。それを可視化したものがPJMです。

当社のCOMPASSが作成したPJMは、患者さんの疾患情報の記録に留まらず、その経験や感情までを可視化し、その病気を経験したことがない人でも患者さんと同じ気持ち、すなわち「自分ごと」として疾患に向き合うきっかけとなったことから、新たに“insightful(洞察的な) PJM (iPJM)”と名付けました。

 

 



Graphic Facilitation by しごと総研・山田夏子さん

DIA日本年会2020は当初、対面イベントとして企画されていましたが、COVID-19の影響で、オンライン配信に変更されたことから、リモート環境においても患者さんと参加者が相互的に交流できる方法を模索することになりました。そして、関係者とも相談した結果、「iPJMの作成を通じて『患者さんの声』を見て、感じるセッション」(第1部)と「参加者同士が意見交換し想いを共有し、次のアクションに繋げるセッション」(第2部)の2部構成にしました。

第2部では、パネリストとして参加頂いた患者家族会の代表者、国立医療研究センターの医師、PMDA審査担当者、および製薬企業社員に、 それぞれの立場で普段考えている患者さんへの想いをお話しいただいた後、セッション参加者の皆さんに①患者さん、②患者さんのご家族、③医師、④製薬企業、⑤規制当局、⑥世の中・社会のそれぞれの立場で患者さんのために何が出来るのかを考えていただき、明日から自分に何が出来るかについてパネリストを含め全員で話し合っていただきました。
 

 

第2部セッション終了後にCOMPASSメンバーと参加者で撮影

ワークショップで生まれた、iPJMのさらなる価値

参加者へのアンケートでは、「病気という現象に目を向けがちだったのが、その病気にかかった患者さんが何に困るのかというところまでより意識できるようになった」という声を多くいただきました。また、「違う立場の人たちとしっかり話し合うことで、日常の業務の中では気づけなかったことにも気づけた」という意見もあり、企画の目的がうまく達成されたと感じています。他社から参加いただいた方から、「自社でもこのような取り組みをしてみたい」と連絡をいただいたのも印象的でした。

さらに患者さんのご家族の方からは、「こんな風に製薬企業が向き合ってくれるのは初めての体験で、聞いてもらえてよかった」という意見や、「今後も自身の病気について理解いただくために発信していきたい」という声をいただきました。“話しやすい雰囲気づくり”と“「自分ごと」として捉えること”を意識したことで、参加者全員が同じ目線で話せたのではないかと考えています。

患者さんの声を見て、感じ、その理解に努められたという点はもちろん、様々な立場にいる人が、何ができるか一緒に考えることができたという点で、今回のイベントは大きな意味がありました。社内だけでiPJM作成のイベントを実施していたいた時より、DIAへの参加によって社外の方々とも共有できたことでiPJMの意義がさらに広がったように感じています。

私たちは、COMPASSのような取り組みを通して育んできた患者さん目線のマインドや「患者さんの生活を支え、命を救いたい」という想いをイノベーションへの情熱にして、今後も活動を継続していきます。

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* DIA日本年会:一般社団法人ディー・アイ・エイ・ジャパン(DIA)が主催するフォーラム。DIAは、医薬品、医療機器、再生医療製品をはじめとする医療用製品の研究開発、ライフサイクルマネジメントにおけるイノベーションの実現をサポートするために教育活動および規制当局・企業・アカデミア・患者さんとの間の立場を超えた情報交換やディスカッションの場を提供する、米国に拠点を持つグローバルな非営利団体の日本法人。

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