価値創造プロセスの循環

第一三共のパーパスを実現し、社会の持続的発展に貢献

2021年03月03日
Sustainability
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第一三共が目指す「価値創造プロセス」とは

第一三共のパーパス(存在意義)は、企業理念に明示されている「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献すること」です。このことは、新薬事業に限らず、ジェネリック事業、ワクチン事業、OTC*事業といった第一三共のすべての事業で共通です。「価値創造プロセス」とは一般的に、企業が社会やステークホルダーのニーズに対し、企業活動を通じて価値を創出し、それを社会の持続的発展に向けて循環させることを意味します。これを図式化してみると、私たちがどのように取り組んでいるかをご理解いただけると思います。第一三共は、アンメットメディカルニーズ(未充足な医療ニーズ)への対応、高品質な医薬品の安定供給、医薬品アクセスの向上、ESGに関連する課題解決等の多様な社会からの要請に対し、財務・非財務の資本を投入し、医薬品提供における創薬・生産・品質管理・営業活動等全てのバリューチェーンを通じて、投入した資本を新たな価値に変換してステークホルダーに還元しています。そうして豊かになった社会の資本をさらに活用することで、当社はさらに成長し、社会も益々豊かになっていくというサイクルです。このサイクルを通じて、私たちのパーパスである「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献」していくのが第一三共の価値創造プロセスの大枠です。

強みであるサイエンス&テクノロジーを生かし、創薬に挑み続ける

私たちは、人材や資金といった資本を投入するとともに、医療関係者との信頼関係やアカデミアとの共同研究のような人的ネットワークに係る資本も活用しています。こうした資本に私たちの強みである「サイエンス&テクノロジー」「グローバル組織&人材」「日本でのプレゼンス(日本において積み重ねてきた実績と信頼) 」と各バリューチェーンにおける活動を組み合わせることで、第一三共で創出された価値を社会に提供しています。
3つの強みの中でも最も重要なのがサイエンス&テクノロジーです。最先端の研究技術だけでなく、お互いの技術や知識を適切な形で共有しながら共に技術力を高めていこうという自由闊達な組織風土が、その強みを支えています。当社が過去に、高脂血症治療剤や抗菌薬といった、現在でも世界中の患者さんに届けられている画期的な医薬品を作り出すことができたのも、自社の創薬力を信じて前に進んできたからであるといえます 。しばらく新薬が出なかった時期もありますが、自社の創薬力を信じ続け、乳がん治療薬を始めとするADC*の創製につながりました。私は、自社の力を信じ、社員一人ひとりがそれぞれの職場で自らの責務を果たしていることが成果に繋がっているのだと考えています。これからも個々が為すべきことを考え、行動する組織風土の下、3つの強みを活かしてパーパスを実現させ、価値創造プロセスを循環させていきます。

8つの「マテリアリティ」に取り組み、社会に新たな価値を提供する

価値創造プロセスの中に「マテリアリティ」というワードがありますが、マテリアリティとは、持続的に価値を創造するために特に重要な課題のことです。当社グループでは、事業そのものに関わるものを4つ、事業基盤に関わるものを4つ、計8つのマテリアリティを設定しています。

「事業に関わるマテリアリティ」は、私たちのパーパスに直結し、当社グループの価値創造の根幹を成すものです。革新的な医薬品を継続的に創出し、高品質な医薬品を安定的に供給し、高品質な医療情報を提供する。これによって、アンメットメディカルニーズを満たすことができ、医療へのアクセスを拡大させることが可能となり、当社のパーパスの実現に近づくことができるのです。一方、そうした課題に取り組むために、企業として  果たさなければいけない社会的責任や事業活動の競争力、優位性を生み出すための基盤づくりも重要であり、これを「事業基盤に関わるマテリアリティ」として定義しています。具体的には、コンプライアンス経営の推進、企業理念の実現に向けたコーポレートガナバンス、環境経営の推進、多様な人材の活躍推進と育成の4つです。社会に新しい価値を生み出していくために、両方のマテリアリティに取り組んでいます。

私たちの強みである世界最先端のサイエンス&テクノロジー。これを活用して画期的新薬や新しい治療ソリューションを提供し、患者さんとそのご家族、ひいては社会全体に貢献していくことが私たちの存在価値であり使命です。「イノベーションに情熱を。ひとに思いやりを。」の精神を大切にし、世界各国の社員と力を合わせて世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献し続けていきます。
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*1 OTC:薬局、ドラッグストア、コンビニエンスストアなどで販売されている一般用医薬品
*2 ADC: Antibody Drug Conjugate(抗体薬物複合体)

眞鍋 淳
代表取締役社長 兼 CEO

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