総務本部 人事部長* 松本 高史 *取材当時

社員一人ひとりが最大限能力を発揮できる職場環境を

2020年10月09日
Sustainability
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社員の適性や意欲をしっかりと受け止め、ポテンシャルを開花させる

科学技術やデジタルテクノロジーの進歩に伴い、医療のあり方や医薬品を取り巻く環境は常に変化しています。私たち第一三共グループでは、2025年へ向けて「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」というビジョンを掲げ、一大改革を進めてきました。人事部門としては、変革に必要な人材を獲得・育成・配置し、トランスフォーメーションを推進すること、そして生産性の高い健全な組織を作ることでイノベーションを促進することを使命として取り組んでいます。 現在、第一三共グループは日・米・欧・アジア・南米に拠点を置き、グローバルで1万5千名以上の社員が働いています。全ての社員が安全かつ健康的に働くことができる労働環境づくりはもちろんのこと、企業理念およびビジョンの実現に向け、多様なバックグラウンドを持つ社員一人ひとりが独自の洞察力とアイデアを活かし、会社と共に成長できる風土をつくることに注力しています。人事施策のひとつとして、毎年、自己成長申告制度による本人との面談を通じて、個々人のキャリア志向(専門性を高めたい、異なる役割・職種に挑戦したいなどの将来構想)も踏まえ、会社と個人が持続的に成長するためのプランを描き、実践しています。また、将来を担う人材が、グローバルにビジネスを理解し、知見を広めることができるよう、海外グループ会社との双方向異動や留学を積極的に実施しており、2020年4月時点ではグループ全体で105名が異国での生活と就業における重要な経験を積んでいます。

グローバルとローカル、二つの視野を持った人材マネジメントを推進するために

私は人事の責任者として、世界中の第一三共グループの社員が、当社グループの社員であることに誇りを持てる環境を提供することが自らの重要な使命だと認識しています。グローバルには人材の流動性が高い国が多く、日本でも昨今中途採用も増えており、さまざまなキャリアや国、文化背景をもつ社員に対し、会社の使命や価値を言語化して発信し、それを社員が理解し体現することは一筋縄ではいきません。社員同士がグローバルで連携し、組織として迅速な意思決定を行い実行に移していくためには共通した価値基準をもつことが重要です。ベースとなるコア・バリュー「Innovation・Integrity・Accountability」を共有し、グローバル共通の企業文化の醸成を意識すると共に、各国それぞれの価値観や文化、そして一人ひとりの個性も大切にした職場環境を醸成する取り組みを行っています。がん製品をはじめとして、バリューチェーンや地域を横断した、グローバルプロジェクトが進んでいて、国や地域・領域という枠を超えたダイバーシティへの理解促進も重要な課題の一つとなっています。先に挙げた海外グループとの双方向の出向や短期派遣で異国や異文化を学ぶことは、社員同士のダイバーシティ理解にもつながっています。現在はグループとしてのグローバルで取り組む方向性を定め、各地域の特性や課題に応じて施策を行い、ベストプラクティスを共有しています。日・米・欧・ASCA(Asia,  South & Central America)の人事担当責任者が定期的にミーティングを開催しているのもそのためです。毎回、各国から人事課題を持ち寄り、活発に議論を交わし、課題を一つひとつ解決してきました。2020年のコロナ禍によってミーティングはオンライン化されましたが、かえって対面より機動的かつスピード感を持って行えるようになっています。今後は、ONE DS(Daiichi Sankyo)としてグローバル共通の企業文化(カルチャー)を実感しながら働けるよう、カルチャーの言語化と浸透施策を進めていく予定です。ひとつのカルチャーのなか、お互いの多様性を受け入れ、更なるイノベーションの創出に繋げられる環境をグローバルで一丸となって作っていきたいと考えています。

オンコロジー領域のグローバル企業として新たなフェーズに向かう人事戦略

「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」というビジョンを達成するため、当社は今後もさらに優秀な人材を獲得していく必要があり、同時にグローバルな視野を持ったリーダー育成にもいっそう力を入れていきます。 日本では2017年から2019年にかけて「Create Our Future(COF)」というプロジェクトに取り組み、2025年ビジョン実現・第4期中計達成に向けて、社内の人材に積極的に投資し、戦略に沿って強化分野への十分な要員配置を適時に実現することで、組織の持続的な成長に繋げてきました。現在はそれをグローバルに拡張し、オンコロジー領域におけるグローバルな競争力を発揮できる人づくりと組織づくりに注力しています。特に将来の各分野のリーダー育成は重要であり、グローバルな人材交流を積極的に展開しています。 世界中の社員に私と同じく第一三共グループで働く喜びを実感してもらい、ともに素晴らしいカルチャーを築く仲間になってもらえるよう、私たち人事にできることはまだたくさんあると思います。企業理念やビジョンの実現に向けた会社の長期的な成長は、社員の高い参画意欲と貢献なしには達成できないというのが私たち人事の信念です。今後も社員一人ひとりが最大限能力を発揮できる企業文化の醸成に努め、世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献し続けます。

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松本 高史
執行役員 人事管掌 
取材(2020年10月)当時、総務本部 人事部長(Global Head of HR)

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