2021年02月04日
研究開発情報

報道関係者各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

U3-1402のEGFR変異を有する非小細胞肺がん患者を対象とした
第2相臨床試験の開始について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、U3-1402(HER3に対する抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)について、EGFR変異を有する切除不能な非小細胞肺がん患者を対象とした第2相臨床試験(試験名:HERTHENA-Lung01)において、最初の患者への投与を開始しましたので、お知らせいたします。

本試験は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤と化学療法による治療後に病勢進行したEGFR変異を有する切除不能な非小細胞肺がん患者を対象に、本剤の有効性と安全性を評価するグローバル第2相臨床試験です。
主要評価項目は客観的奏効率*2で、副次評価項目には奏効期間*3、病勢コントロール率*4、無増悪生存期間*5、全生存期間*6、安全性や忍容性等が含まれます。米国、欧州、日本を含むアジアにおいて最大約420名の患者を登録する予定です。

当社は、EGFR変異を有する切除不能な非小細胞肺がん患者さんに新しい治療の選択肢を提供できることを期待しております。

以 上

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 客観的奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。

*3 奏効期間とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上減少(部分奏効)のどちらかの基準が最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。

*4 病勢コントロール率とは、客観的奏効率に腫瘍が安定している状態(腫瘍が30%未満減少~20%未満増加)の患者の割合を加えたものです。

*5 無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

*6 全生存期間とは、原因を問わず死亡するまでの期間です。

非小細胞肺がんについて
肺がんは、世界中で最も多く見られるがんであり、がんの主要な死亡原因となっています。
2020年には、新規患者は世界で220万人/年、死亡数は180万人/年と推定されています。肺がんのうち80~85%は非小細胞肺がんで、このうちEGFR遺伝子変異を有する患者の割合はおよそ25~30%程度との報告があります。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤が登場し、進行性・転移性の非小細胞肺がんの治療は改善していますが、既存治療が適応できない患者やがんの進行が見られる患者において、新たな治療法が必要とされています。
HER3は、正常および異常な細胞増殖と関連する受容体であるHERファミリーのひとつであり、非小細胞肺がん患者の83%に発現しており、がん転移の増加や生存率の低下に関係していると言われています。現在、非小細胞肺がんを含むがん患者を対象に承認されているHER3を標的とした治療法はありません。

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