2020年12月15日
研究開発情報

報道関係者各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

DS-1062のActionable遺伝子変異の無い非小細胞肺がん患者を対象とした
第3相臨床試験の開始について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)とアストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ)は、DS-1062(TROP2に対する抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)について、Actionable遺伝子変異*2の無い切除不能な非小細胞肺がん患者を対象とした、第3相臨床試験(試験名:TROPION-Lung01)を開始しましたので、お知らせいたします。

現在の治療ガイドラインでは、Actionable遺伝子変異の無い切除不能な非小細胞肺がん患者は、化学療法や免疫チェックポイント阻害剤の併用による治療が推奨されています。それらの治療後にがんが進行した患者に対しては治療の選択肢が限られており、アンメット・メディカル・ニーズがあります。

本試験は、化学療法と免疫チェックポイント阻害剤による治療後に病勢進行した、Actionable遺伝子変異の無い切除不能な非小細胞肺がん患者を対象に、本剤とドセタキセルの有効性と安全性を直接比較するグローバル第3相臨床試験です。
有効性の主要評価項目は無増悪生存期間*3と全生存期間*4で、副次評価項目には全奏効率*5、奏効期間*6や病勢コントロール率*7等が含まれます。安全性の評価項目は有害事象等です。北米、南米、欧州及びアジアにおいて約590名の患者を登録する予定です。

当社とアストラゼネカは、がん患者さんに新しい治療の選択肢を提供できるよう、本剤の開発を加速させてまいります。

以 上

 
*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 Actionable遺伝子変異とは、EGFR変異等の治療ターゲットとなりうる遺伝子変異を意味します。

*3 無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

*4 全生存期間とは、原因を問わず死亡するまでの期間です。

*5 全奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。

*6 奏効期間とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上減少(部分奏効)のどちらかの基準が最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。

*7 病勢コントロール率とは、客観的奏効率に腫瘍が安定している状態(腫瘍が30%未満減少~20%未満増加)の患者の割合を加えたものです。


非小細胞肺がんについて
肺がんは、世界中で多く見られるがんであり、がんの主要な死亡原因となっています。2018年の調査において、新規患者は世界で210万人/年、死亡数は180万人/年と推定されています。肺がんのうち80~85%は非小細胞肺がんです。近年、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤が登場し、非小細胞肺がん患者の治療の選択肢は広がってきましたが、進行性の非小細胞肺がん患者においては、新たな治療法が必要とされています。
TROP2は、非小細胞肺がんを含む複数の固形がんに高発現するたんぱく質の一種で、非小細胞肺がんの大多数に発現しており、がんの進行や生存率の低下に関係していると言われています。現在、非小細胞肺がん患者を対象に承認されているTROP2を標的とした治療法はありません。

アストラゼネカとの提携について 
当社とアストラゼネカは、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)とDS-1062に関し、それぞれ2019年3月と2020年7月に、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)において共同で開発及び商業化する契約を締結しました。なお、当社は両剤の製造及び供給を担います。
 

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