2020年12月10日
研究開発情報

報道関係者各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

米国のサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表したHER2発現乳がん患者を対象としたトラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法における第1相臨床試験のデータについて

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)とオプジーボ®(一般名:ニボルマブ)の併用療法におけるHER2発現乳がん患者を対象としたグローバル第1相臨床試験のデータについて、米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2020で発表しましたので、その概要についてお知らせいたします。

安全性については、本剤の単剤療法と類似しており、併用療法による新たな懸念は認められませんでした。間質性肺疾患(以下「ILD」)については、ILD外部判定委員会により5名が本剤と関連のあるILDと判定され、内訳はグレード2*2が4名、ILDに起因する死亡例は1名でした。

予備的有効性については、対象患者48名のうち、HER2 陽性患者(32名)において、客観的奏効率*3は59 %、病勢コントロール率*4は91%でした。一方、HER2低発現患者(16名)において、客観的奏効率は38 %、病勢コントロール率は75%でした。

現在、HER2発現乳がん患者において、既存の抗HER2療法が抵抗性になった際の治療の選択肢は限られています。当社は、本剤と標的の異なる他剤との併用療法により、本剤の価値を最大化し、がん患者さんのアンメット・メディカル・ニーズの充足に取り組んでまいります。

 

以 上

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(CTCAE)で規定された重症度を意味し、グレード1~5に分類されます。

*3 客観的奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。確定した客観的奏効率を意味します。

*4 病勢コントロール率とは、全奏効率(腫瘍が完全に消失または30%以上減少)に、腫瘍が安定している状態(腫瘍が30%未満減少~20%未満増加)の患者の割合を加えたものです。


HER2発現の乳がんについて
乳がんは、世界において2018年に約210万人/年の新規患者が報告されており、女性において主要ながん死亡原因となっています。HER2は、胃がん、乳がん、肺がんなど多くのがん細胞表面に発現しています。HER2の過剰発現は、進行性の疾患や予後の不良と関連しています。
乳がんの約60%はHER2を発現しており、乳がんのうち20%がHER2陽性で、40%がHER2低発現との報告があります。HER2 陽性の転移性乳がん患者さんは治療の選択肢が限られており、現在、HER2低発現を対象に承認されている抗HER2療法は無く、高いアンメット・メディカル・ニーズがあります。

to Page Top