2020年12月10日
研究開発情報

報道関係者各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

米国のサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表したトラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ®)のHER2陽性乳がん患者を対象とした第2相臨床試験の最新データについて

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)とアストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ)は、トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ®、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)のHER2陽性乳がん患者を対象としたグローバル第2相臨床試験(試験名:DESTINY-Breast01)の最新データについて、米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2020で発表しましたので、その概要についてお知らせいたします。

有効性については、追跡期間中央値20.5ヶ月の対象患者184名において、主要評価項目である客観的奏効率*2は61.4 %でした。また、奏効期間*3と無増悪生存期間*4は、それぞれ20.8ヶ月と19.4ヶ月でした。

安全性については、対象患者184名において、これまでの臨床試験と同様の傾向が認められました。間質性肺疾患(以下「ILD」)については、ILD外部判定委員会により新規で3名が本剤と関連のあるILDと判定され、内訳はグレード1*5および2がそれぞれ1名、ILDに起因する死亡例は1名でした。

現在、HER2陽性の乳がん患者において、既存の抗HER2療法が抵抗性になった際の治療の選択肢は限られています。当社とアストラゼネカは、本剤によりがん患者さんへ貢献できることを期待しております。

以 上




*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 客観的奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。確定した客観的奏効率を意味します。

*3 奏効期間とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上減少(部分奏効)のどちらかの基準が最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。

*4 無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

*5 米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(CTCAE)で規定された重症度を意味し、グレード1~5に分類されます。


HER2陽性の乳がんについて
乳がんは、世界において2018年に約210万人/年の新規患者が報告されており、女性において主要ながん死亡原因となっています。HER2は、胃がん、乳がん、肺がんなど多くのがん細胞表面に発現しています。HER2の過剰発現は、進行性の疾患や予後の不良と関連しています。

アストラゼネカとの提携について
当社とアストラゼネカは、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)とDS-1062に関し、それぞれ2019年3月と2020年7月に、全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)において共同で開発及び商業化する契約を締結しました。なお、当社は両剤の製造及び供給を担います。

 

 

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