2020年10月22日
研究開発情報

報道関係者各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

がん免疫療法製剤DS-1055の切除不能な固形がん患者を対象とした
第1相臨床試験開始について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、切除不能な固形がん患者を対象としたDS-1055(GARPを標的としたがん免疫療法製剤)の第1相臨床試験(以下「本試験」)において、最初の患者への投与を開始しましたので、お知らせいたします。

免疫チェックポイント阻害剤は、様々ながん治療において生存率の改善に寄与してきましたが、効果がみられない患者も多いのが現状です。GARPは、免疫反応を抑制する活性型制御性T細胞に多く発現することが知られており、今後の有望ながん免疫療法の標的になると期待されています。
DS-1055は、GARPを標的としたモノクローナル抗体で、活性型制御性T細胞を減少させることで、免疫反応を高めるように設計されています。現在、がんを対象に承認されているGARPを標的とした治療薬はありません。

本試験は、切除不能な複数の固形がん患者を対象とした日米第1相臨床試験です。DS-1055の投与量を段階的に増やしながら、安全性、忍容性及び有効性等を評価し、さらなる試験のための最大耐容量と推奨用量を決定します。
本試験における安全性の評価項目は、用量制限毒性や有害事象等で、有効性の評価項目は、客観的奏効率*1、病勢コントロール率*2、奏効期間*3、無増悪生存期間*4及び全生存期間*5等です。日本と米国において約 40 名の患者を登録する予定です。

当社は、DS-1055を通じて、免疫チェックポイント阻害剤に抵抗性のある患者さんに新しいがん免疫療法の選択肢を提供できることを期待しております。

以 上


*1 客観的奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。

*2  病勢コントロール率とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上減少(部分奏効)または病勢安定(腫瘍の大きさが変化しない状態)した患者の割合です。

*3  奏効期間とは、完全奏効または部分奏効のどちらかの基準が最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。

*4  無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

*5  全生存期間とは、原因を問わず死亡するまでの期間です。
 

制御性T細胞について
制御性T細胞は、強い免疫抑制機能を有しており、様々な種類の腫瘍に存在し、がんの予後不良や免疫チェックポイント阻害剤に対する抵抗性に関与することが示唆されています。

 

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