2005年10月12日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 庄田 隆
(コード番号 4568 東証・大証・名証各第1部)
問合せ先 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 高橋 利夫
(TEL:03-6225-1126)

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬「オルメテック®」による糖尿病性腎症進展抑制試験「ORIENT(オリエント)」の被験者登録が完了

 弊社の100%子会社である三共株式会社(社長、池上康弘)は、血圧降下剤オルメテック®(一般名:オルメサルタンメドキソミル)による糖尿病性腎症進展抑制の臨床試験「ORIENT(オリエント)」を日本と香港の2 カ国で実施しておりますが、この度被験者の登録が9 月末に完了しましたので、お知らせします。


 糖尿病性腎症は糖尿病3大合併症の一つで、微量アルブミン尿が認められる早期腎症から顕性蛋白尿が認められる顕性腎症を経て、腎不全や透析導入へと進展する疾患です。
 日本では2004 年の慢性透析患者数が25 万人弱に達しており、昨年だけでも35 千人もの患者さんが新たに透析導入に到っています。その主要原因となっている疾患が糖尿病性腎症で、新規の透析導入患者の41.3%がそれにあたります。糖尿病性腎症による透析導入者の増加は日本の医療において問題となっており、事実、1994 年の糖尿病性腎症による新規透析導入患者は7,459 人であったのが、2004 年には14,490 人と約2 倍にも増加しています。

 「ORIENT」試験は、顕性蛋白尿を呈する2型糖尿病に伴う日本人を含むアジア人の糖尿病性腎症患者400 人を対象とし、オルメサルタンメドキソミルの糖尿病性腎症の進展抑制を評価するイベント試験です。顕性腎症期の患者に長期間オルメサルタンメドキソミルまたはプラセボを投与し、オルメサルタンメドキソミル群がプラセボ群と比較し、透析導入を予防または遅延させるかどうかを検証します。また本試験では、ACE 阻害薬の併用も認めており、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬とACE 阻害薬との併用の有効性についても検証します。本試験は、日本及び香港において2003 年より開始しており、平均4 年間の追跡期間が終了した2009 年に試験結果を発表する予定です。

 糖尿病性腎症の進行を抑えるためには、糖尿病の治療のみならず、高血圧の治療等の複合的な治療が求められます。オルメサルタンメドキソミルは強力な降圧作用を有することが臨床的に確認されており、またラットを用いた非臨床試験ではオルメサルタンメドキソミルによる糖尿病性腎症の進展抑制が確認されていますので、糖尿病性腎症に対する有効な薬剤となることが期待されます。
 当社は「ORIENT」以外にも、微量アルブミン尿の発症抑制を検証する大規模臨床試験「ROADMAP」を現在欧州で実施しています。「ROADMAP」と「ORIENT」を並行して実施することで、初期から末期に至る糖尿病性腎症の全病態におけるオルメサルタンメドキソミルの有用性を検証してまいります。

 オルメサルタンメドキソミルは、米国、ドイツ、英国、ブラジル等の世界32 ヶ国で既に発売されており、日本においても「オルメテック®」の名称で発売しております。

※ORIENT の概要につきましては下記をご参照願います。

ORIENT の概要


1.試験名
  英文:ORIENT
  (Olmesartan Reducing Incidence of End stage renal stage in diabeticNephropathy Trial)
  和文:オルメサルタン・糖尿病性腎症進展抑制試験

2.試験内容
  2型糖尿病患者で、蛋白尿が発現している軽度・中等度腎障害の糖尿病性腎症患者400人を対象とし、
  オルメサルタンメドキソミル10~40mg あるいはプラセボを投与し、
  腎複合エンドポイント(血清クレアチニン値の2 倍化、末期腎症、死亡)への移行期間を比較するニ重盲検比較試験。

3.実施国       日本、香港

4.試験開始      2003年第2四半期

5.平均追跡期間    4年間(予定)

6.試験終了      2009年予定

 

以上

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