2007年11月04日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 庄田 隆
(コード番号 4568 東証・大証・名証各第1部)
問合せ先 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 高橋 利夫
(TEL:03-6225-1126)

第一三共、イーライリリー 共同でプラスグレルをクロピドグレルと直接比較する 新たな第3相臨床試験開始を発表

~米国デューク大学と共同で実施する多国間臨床試験~(急性冠症候群(ACS)患者10,000人を対象にした薬剤治療試験)




第一三共株式会社(以下、第一三共)とイーライリリー・アンド・カンパニー(以下、イーライリリー、本社:米国、インディアナ州 NYSE: LLY)は、2008年度の第1四半期(4月~6月)から経口抗血小板治療剤プラスグレルとクロピドグレル(Plavi(R)/Iscover(R))の 有効性を比較するため、大規模な第3相臨床試験を開始する予定です。この臨床試験では、不安定性狭心症(胸痛)および心臓発作(注1)などの心疾患症状を 持つ急性冠症候群(ACS: acute coronary syndrome)患者を対象に薬剤治療試験を行います。

本臨床試験TRILOGY ACS (TaRgeted platelet Inhibition to cLarify the Optimal strateGy to medicallY manage Acute Coronary Syndromes)は、35カ国の800以上の施設で約10,000人の患者を対象として行われます。

第一三共とイーライリリーはプラスグレルを共同開発していますが、本臨床試験は、デューク・クリニカル・リサーチ・インスティチュート (DCRI: Duke Clinical Research Institute)と共同で行います。DCRIは世界最大の臨床研究を行う、デューク大学メディカルセンター内の組織です。この臨床試験を率いるのは デューク大学医学部心臓病学科教授E.マグナス オーマンです。

臨床試験TRILOGY ACSについて
TRILOGY ACSは多施設、二重盲検法、無作為の臨床試験で、35カ国、約800施設、10,000人の患者を対象に行われます。本臨床試験では、血行再建術を予定 していない急性冠症候群患者を対象とし、薬剤治療による心血管死、心臓発作、または脳卒中のリスク軽減に関して、プラスグレルの安全性と有効性をクロピド グレルとの比較において評価することです。現在、世界で急性冠症候群の患者の50%以上が緊急インターベンション以外で治療されています。

デューク大学医学部心臓病学科教授であるE.マグナス.オーマン医学博士は、「本試験はこの分野において、最大規模なものとなるため、非常に大きな期待が 寄せられています。なぜなら、過去において急性冠症候群患者における薬剤療法に的を絞って行われたこの規模の研究はないからです。」と語っています。

患者が急性冠症候群を発症すると、プラーク(動脈硬化巣)によって冠動脈の極度な狭窄が生じ、心臓への酸素供給が不十分となり各種症状が現れます。このプ ラークは破裂し、酸素を含んだ血液が心筋に到達するのを妨げる血餅(血栓)を生じる可能性があります。抗血小板剤は、この急性血栓形成の発生を軽減しま す。

第一三共のグローバル研究開発の責任者であるジョン・アレキサンダー博士は「この臨床試験は、プラスグレルの臨床研究における我々のゆるぎない自信を示すものです」と語っています。

心臓血管疾患について
心臓血管疾患は米国および世界の主な死因となっており、毎年1,670万人が亡くなっています。(注2) 毎年アメリカでは84万人が、ヨーロッパでは80万人が(注3, 4)急性冠症候群と呼ばれる急性の心臓発作および不安定性狭心症に苦しんでいます。現行の心血管インターベンションを受けても、30万人が心臓発作を再発 し、50万人が米国において毎年心臓発作で亡くなっています。(注5)
プラスグレルについて
プラスグレルは、第一三共と宇部興産株式会社(コード番号:4208)が発見し、第一三共とイーライリリーが共同開発している経口抗血小板剤であり、まず はPCIを受けている急性冠症候群(ACS)患者への治療法として開発されています。プラスグレルは、血小板表面でP2Y12 アデノシン二リン酸(ADP:adenosine diphosphate)受容体を遮断し、血小板の活性化および凝集を抑制します。抗血小板剤は、動脈硬化および心臓発作、脳卒中を引き起こす可能性のあ る血小板の凝集を防ぎます。

イーライリリーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、技術革新を拠り所とする製薬業界のリーディングカンパニーです。全世界の自社研究所や提携する優れた研究機関から もたらされた最先端の研究成果を応用することで、ファースト・イン・クラス/ベスト・イン・クラスの製品ポートフォリオを構築しています。米国インディア ナ州に本社を構え、医薬品および医薬関連情報の提供を通じて、世界の最も緊急性の高い医療ニーズに応えています。レオプロ(一般名:アブシキシマブ)をは じめ、イーライリリーは心臓血管系の豊富なパイプラインを築き上げています。このパイプラインの中には、前臨床試験、第1相試験からプラスグレルの第3相 試験に至るまであらゆる開発段階の薬が含まれています。

(1) American Heart Association. Heart Disease and Stroke Statistics - 2007 Update. Dallas, TX. American Heart Association. (Pg. 12)
(2) World Health Organization. The Atlas of Heart Disease and Stroke - Types of cardiovascular disease, 2005.
(3)merican Heart Association. Heart Disease and Stroke Statistics - 2006 Update. Dallas, TX. American Heart Association.
(4) Bertrand CURE study
(5)American Heart Association. Heart Disease and Stroke Statistics - 2007 Update. Dallas, TX. American Heart Association. (Pg. 10)

以上

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