2009年02月04日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 庄田 隆
(コード番号 4568 東証・大証・名証各第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 斎 寿明
(TEL:03-6225-1126)

米国食品医薬品庁(FDA)諮問委員会が満場一致でプラスグレルの承認を勧告

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下、「第一三共」)とイーライリリー・アンド・カンパニー(本社:米国インディアナ州、以下、「イーライリリー」)は、米国食品医薬品庁(FDA)の心・腎疾患諮問委員会(以下、「諮問委員会」)が、経皮的冠動脈形成術(PCI)として知られる動脈拡張術を受けている急性冠症候群(ACS)患者の治療薬として抗血小板剤プラスグレルの承認を勧告することを、2月3日(現地時間)投票により決定いたしましたのでお知らせします。

諮問委員会は、経皮的冠動脈形成術(PCI)を受けている急性冠症候群(ACS)患者の治療薬として、9対0の満場一致でプラスグレルの承認勧告を決定いたしました。FDAの判断は諮問委員会の勧告に拘束されるものではありませんが、諮問委員会の勧告はFDAでの審査の際に考慮されます。

第一三共のグローバル研究開発の責任者であるジョン・アレキサンダー博士は「我々は、諮問委員会で提示したデータを含めて、このようなプラスグレルのデータを提示できたことに対して、大変、誇りに思っております。本日の諮問委員会での議論によって、FDAによるプラスグレルの承認とPCIを受けているACS患者に対して科学的に飛躍的に進歩した治療法の提供に一歩近づきました。」と述べています。

イーライリリーのプラスグレル開発責任者であるJ. アンソニー・ウェア博士は「我々は、FDAがプラスグレルの新薬承認申請に関する手続きを推進する上で、これからも同庁と密接に協力してまいります。患者にとって、複数の治療方法が得られることは重要です。現在、PCIを受けているACS患者にはほとんど治療の選択肢がありません。諮問委員会のメンバーによる本日の投票結果は、患者にとって明るい材料となりました。」と語っています。

TIMIスタディーグループのシニア・インベスティゲーターであり、ボストンにあるブリガム・アンド・ウィメンズ・ホスピタルのサミュエル・A・レバイン心臓部の部長であるエリオット・アントマン博士は「プラスグレルは、PCI後の心虚血イベント予防において、現在の標準治療薬であるクロピドグレルより優れていることが、大規模な直接比較試験として行ったTRITONで明らかとなっております。プラスグレルのベネフィットは、重度出血イベントのリスクを伴うものではあるが、患者と用量を適切に選ぶことにより、このリスクを軽減するのに役立つでしょう。」と述べています。

諮問委員会は、主にTRITON TIMI-38から得られた総合的なデータを審査しました。TRITON試験では、アスピリンとの併用投与で、プラスグレル投与群は、クロピドグレル(Plavix®/Iscover®)投与群に対し、心血管死、非致死性心臓発作、非致死性脳卒中の複合評価項目で、相対リスクが19%減少したことが示されました。これらのベネフィットがもたらされる一方で、プラスグレル投与群全体において、重度出血のリスクが高まり、中には生命に関わるものや死亡につながる出血も含まれていました。この種の出血リスクを心臓発作減少のベネフィットと比べてみると、患者1,000人あたり、クロピドグレル投与群と比較してプラスグレル投与群では心臓発作例が22件少なく、重度のTIMI出血例が5件多いことがわかりましたi)。 心血管死の総合的なリスクと脳卒中増加のリスクは、プラスグレル、クロピドグレル投与群の間で統計的な差異はありませんでした。

FDAの審査官は、諮問委員会の承認勧告を考慮して新薬承認申請の審査を行なうこととなります。プラスグレルの新薬承認申請は、2007年12月26日に第一三共の提携パートナーであるイーライリリーより提出されました。


急性冠症候群の負担
急性冠症候群は、心臓発作や不安定狭心症(胸痛)を含み、米国では毎年140万人以上の人に影響を与えているとされますii)。 急性冠症候群の原因である冠動脈性心疾患は、欧州連合における単独の死因としては第一位となっており、毎年741,000人が死亡していますiii)。冠動脈疾患は、コレステロールや蓄積した脂肪によって動脈の狭窄または閉塞がおき、その結果心臓に十分な血液が供給できなくなると発症します。時には、血餅が部分的に、あるいは、完全に心臓への血液の供給を妨げることもあり、急性冠症候群を発症しますiv)。 多くの急性冠症候群患者は、ステント留置を含むPCIを受けています。

プラスグレルについて
プラスグレルは、第一三共と宇部興産株式会社(TSE:4208)が発見し、第一三共とイーライリリーが共同開発している経口抗血小板剤であり、まずはPCIを受けているACS患者への新しい治療法として開発されています。プラスグレルは、血小板表面でP2Y12アデノシン二リン酸(ADP:adenosine diphosphate)受容体を遮断し、血小板の活性化および凝集を抑制します。抗血小板剤は、動脈硬化および心臓発作、脳卒中を引き起こす可能性のある血小板の凝集を防ぎます。

イーライリリーについて
イーライリリー・アンド・カンパニーは、技術革新を拠り所とする製薬業界のリーディングカンパニーです。全世界の自社研究所や提携する優れた研究機関からもたらされた最先端の研究成果を応用することで、ファースト・イン・クラス/ベスト・イン・クラスの製品ポートフォリオを構築しています。米国インディアナ州に本社を構え、医薬品および医薬関連情報の提供を通じて、世界の最も緊急性の高い医療ニーズに応えています。

Plavix®/Iscover® は、サノフィ・アベンティスの商標です。


i) Wiviott, S, Braunwald, E, et al. Prasugrel versus Clopidogrel in Patients with Acute Coronary Syndromes. New England Journal of Medicine. November 2007; 357: 2001-15.
ii) American Heart Association. Heart Disease and Stroke Statistics - 2008 Update. Dallas, TX. American Heart Association. (Pg. 14)
iii) British Heart Foundation Health Promotion Research Group. European Cardiovascular Disease Statistics 2008, http://www.ehnheart.org/files/statistics%202008%20web-161229A.pdf, Accessed August 13, 2008.
iv) WebMD Medical Reference in Collaboration with the Cleveland Clinic. Heart Disease: Coronary Artery Disease. June 2004.

以上

to Page Top