2009年08月10日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 庄田 隆
(コード番号 4568 東証・大証・名証各第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 斎 寿明
(TEL:03-6225-1126)

抗インフルエンザウイルス薬CS-8958の第III相臨床試験について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区)は、抗インフルエンザウイルス薬CS-8958(一般名:laninamivir)の第Ⅲ相臨床試験において、この度試験結果を得ましたので、お知らせします。

 本試験は、A型またはB型のインフルエンザウイルスに感染した20歳以上の成人患者を対象とし、CS-8958の20mg、40mg単回吸入投与群の有効性と安全性について、オセルタミビルリン酸塩(タミフル®カプセル)75mgの1日2回、5日間反復経口投与群(計10回投与)を対照とした二重盲検比較試験として実施しました。その結果、有効性の主要な評価指標であるインフルエンザ関連症状の改善時間について、CS-8958の20mg、40mgの各投与群で、いずれもオセルタミビルリン酸塩投与群に対する非劣性が検証されました。CS-8958の用量間の比較では、20mgより40mgの方が優れた効果が認められました。安全性については、問題となる有害事象は認められませんでした。
 また、小児(9歳以下)を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相試験は、オセルタミビルリン酸塩(タミフル®ドライシロップ)を対照とした二重盲検比較試験として実施しました。その結果、CS-8958の20mg、40mgの各投与群でいずれもオセルタミビルリン酸塩投与群より優れた効果が認められました。安全性については、問題となる有害事象は認められませんでした。

 現在、2009年度中の製造販売承認申請(治療適応)に向けて準備を進めています。また、予防適応に関しましても、今秋から臨床試験を開始できるよう準備を進めています。



(別 紙)

①CS-8958について
 CS-8958(一般名:laninamivir)は、自社創製したインフルエンザ治療薬であり、単回吸入投与で治療効果が期待できる長時間作用型のノイラミニダーゼ阻害剤です。インフルエンザウイルスの感染部位である肺、気管に直接作用する吸入剤として開発中です。本剤は、これまで実施した非臨床試験で、A型、B型の季節性のインフルエンザウイルスのみならず、ブタ由来H1N1型新型インフルエンザウイルスに対する効果についてもin vivoin vitroで確認(Y. Itoh, et al, Nature, 2009)され、またH5N1型鳥インフルエンザウイルスに対する効果も確認されています。

②成人(20歳以上)を対象とした第Ⅲ相臨床試験について
 MARVEL試験(Multinational Asian Clinical Research for Influenza Virus Extermination on Long Acting Neuraminidase-Inhibitor)

デザイン : A型またはB型インフルエンザウイルス感染症患者を対象として、CS-8958の20mgまたは40mgを単回吸入投与したときの
       有効性及び安全性について、オセルタミビルリン酸塩を対照に日本、台湾、香港、韓国における国際共同、無作為化、
       実薬対照、3群並行群間二重盲検比較試験として実施
有効性 : インフルエンザ罹病時間を主要な評価項目としてオセルタミビルリン酸塩に対する非劣性により検証
安全性 : 有害事象の発現率等を投与群間で比較
その他 : CS-8958の20 mgまたは40 mgの有効性および安全性の結果に基づき、至適臨床用量の検討

③小児(9歳以下)を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相試験について
デザイン : A型またはB型インフルエンザウイルス感染症患者を対象として、CS-8958の20mgまたは40mgを単回吸入投与したときの
       有効性及び安全性について、オセルタミビルリン酸塩(タミフル®ドライシロップ)2mg/kg の1日2回、5日間反復経口投与群
       を対照に無作為化、実薬対照、3群並行群間二重盲検比較試験として実施
有効性 : インフルエンザ罹病時間を主要評価項目として検討
安全性 : 有害事象の発現率等を投与群間で比較
その他 : CS-8958の20mgまたは40mgの有効性および安全性の結果に基づき、至適臨床用量の検討

以上

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