-股関節全置換術施行患者の静脈血栓塞栓症の発現率を対照薬と比べて有意に低減-
第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、米国オーランドにて開催中の第52回米国血液学会(American Society of Hematology:ASH)において、当社が創製した経口FXa阻害薬(抗凝固薬)エドキサバン(JAN: エドキサバントシル酸塩水和物)の股関節全置換術施行患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験のデータが発表されたことをお知らせします。
当社は、610名の患者さんを対象として、エドキサバンの30 mg 1日1回投与群の有効性の検証および安全性の検討を目的に、標準的な治療薬であるエノキサパリンナトリウムの2,000IU(*)1日2回投与(皮下注射)群を対照とした二重盲検比較試験を日本で実施いたしました。その結果、エドキサバンは、有効性の主要な評価指標である静脈血栓塞栓症の発現率をエノキサパリンナトリウムと比べて65.7%低減させ、非劣性が検証されたのみならず、優越性が確認されました。また、安全性の評価指標である重大な出血および臨床的に重要な出血の発現率について、両群間で有意な差は認められませんでした。
当社は、本試験結果ならびに本年7月発表の膝関節全置換術施行患者を対象とした試験結果を申請資料の主要データとして、下肢整形外科手術患者における静脈血栓症の予防適応で国内製造販売承認申請を既に行っております。
なお、現在、グローバル第Ⅲ相臨床試験として、心房細動に伴う血栓塞栓症の予防についての試験(ENGAGE AF-TIMI 48)および深部静脈血栓症、肺塞栓症患者における静脈血栓塞栓症の二次予防についての試験(HOKUSAI VTE)を実施しています。
*IU(International Unit): 薬理学で用いられる生体に対する効力で、その量を示す単位
(別紙)
1.エドキサバンの概要
血管内での血液凝固に関与する活性化第X因子を直接阻害する作用メカニズムを持つ経口抗凝固薬であり、血栓塞栓症の治療および予防を目的とした開発が進んでいます。
2.今回発表した第Ⅲ相臨床試験の概要
①試験概要
目 的 |
股関節全置換術施行患者を対象とし、エドキサバンの30 mg1日1回投与群(経口)の有効性の検証と安全性の検討 |
デザイン |
エノキサパリンナトリウムの2,000IU 1日2回投与(皮下注射)を対照とした二重盲検比較試験 |
症例数 |
610例 |
投与期間 |
11~14日 |
有効性 |
静脈血栓塞栓症(VTE)の発現率 |
安全性 |
重大な出血および臨床的に重要な出血の発現率 |
②発表データの概要
・有効性
VTE発現率はエドキサバン2.4%に対し、エノキサパリンナトリウムは6.9%であり、エドキサバンは、統計学的有意差をもって65.7%低減させた。
・安全性
重大な出血および臨床的に重要な出血の発現率は、両群間で統計学的な有意差は認められなかった。