2014年09月03日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 中山 讓治
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 石田 憲昭
TEL 報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

ENGAGE AF-TIMI 48試験に関するサブグループ解析の結果について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、当社が創製した抗凝固剤(経口FXa阻害剤)エドキサバン(一般名: エドキサバントシル酸塩水和物)の、非弁膜症性心房細動に伴う脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制に関する第3相臨床試験(ENGAGE AF-TIMI 48試験)における用量調整に関するサブグループ解析の結果が、9月2日にスペイン・バルセロナで開催中の欧州心臓病学会2014において発表されましたので、その概要をお知らせします。

 

本サブグループ解析では、エドキサバンの高用量群(1日1回60mg、または、用量調整30mg)および低用量群(1日1回30mg、または、用量調整15mg)において、おのおの「用量調整がない患者群」と「用量調整を受けた患者群」におけるエドキサバンの血中濃度、ならびに、ワルファリンと比較した有効性(脳卒中および全身性塞栓症の年間発現率)および安全性(重大な出血の年間発現率)を評価しました。

エドキサバンの高用量群および低用量群双方において、用量調整によりエドキサバンの血中濃度は低下しましたが、ワルファリンに対するエドキサバンの脳卒中および全身性塞栓症における発症抑制効果は同様の傾向を示し、用量調整により重大な出血の発現率は低下しました。

 

エドキサバン高用量群において、用量調整を受けた患者群(30mg投与)におけるエドキサバンの血中濃度は用量調整がない患者群(60mg投与)と比較して29%低下しました。用量調整がない患者群においては、有効性についてのワルファリンに対するハザード比は0.78であり、用量調整を受けた患者群ではハザード比は0.81でした。また、用量調整がない患者群における安全性についてのワルファリンに対するハザード比は0.88であり、用量調整を受けた患者群ではハザード比は0.63でした。

 

エドキサバン低用量群において、用量調整を受けた患者群(15mg投与)の血中濃度は用量調整のない患者群(30mg投与)と比較して35%低下しました。用量調整のない患者群においては、有効性についてのワルファリンに対するハザード比は1.07であり、用量調整を受けた患者群においてもハザード比は1.07でした。また、用量調整のない患者群においては、安全性についてのワルファリンに対するハザード比は0.55であり、用量調整を受けた患者群ではハザード比は0.31でした。

 

ENGAGE AF-TIMI 48試験について

ENGAGE AF-TIMI 48 (Effective aNticoaGulation with factor xA next GEneration in Atrial Fibrillation) 試験は、国際共同、無作為化、二重盲検、第3相臨床試験であり、エドキサバンの2つの臨床用量についてワルファリンと比較し非劣性を検証するための試験です。46カ国の1,393の施設で血栓塞栓症のイベント発症リスクが中等度から重度の非弁膜症性心房細動患者21,105名が登録されました。本試験は、心房細動患者を対象とした新規抗凝固剤の臨床試験では最大規模かつ最長期間の試験です。

本試験では、腎機能障害(クレアチニンクリアランス30-50 mL/min)、低体重(体重60 kg 以下)、および、一部のP-糖タンパク質阻害剤を併用している患者では、エドキサバンは半量に用量調整され、エドキサバン高用量群の患者には30mg(60mgの半量)が、エドキサバン低用量群の患者には15mg(30mgの半量)が投与されました。

 

本試験の全体解析の結果は、米国・ダラスで開催された米国心臓協会学術集会2013において発表され、また、New England Journal of Medicineに掲載されました。本試験の結果に基づき、日・米・欧で申請されました。

 

エドキサバン60 mg群における脳卒中および全身性塞栓症の年間発現率は1.18%、ワルファリン群で1.50%であり、ワルファリンに対して非劣性が検証されました(HR 0.79、97.5% CI 0.63-0.99; p<0.001 [非劣性])。エドキサバン60 mg群における重大な出血の年間発現率は2.75%、ワルファリン群で3.43%であり、ワルファリンと比較して重大な出血のリスクを20%低減させ、優越性が示されました(HR 0.80、95% CI 0.71-0.91; p<0.001 [優越性])。  

エドキサバン30 mg群における脳卒中および全身性塞栓症の年間発現率は1.61%、ワルファリン群で1.50%であり、非劣性が検証されました(HR 1.07、97.5% CI 0.87-1.31; p=0.005 [非劣性])。エドキサバン30 mg群における重大な出血の年間発現率は1.61%、ワルファリン群では3.43%であり、ワルファリンと比較して重大な出血リスクを53%低減させ、優越性が示されました(HR 0.47、95% CI 0.41-0.55; p<0.001 [優越性])。

 

心房細動について

心房細動は、心拍が速く不規則になり、脳卒中を引き起こすことのある病気であり、先進国では、約2.3-3.4% が罹患している疾患です。脳卒中は、世界中で死亡原因の2番目にあげられる疾患であり、毎年、約620万人が死亡します。心房細動に罹患していない患者に比べ、罹患患者では、脳卒中のリスクが3-5倍高くなります。心房細動に伴う脳卒中患者の死亡率は、心房細動を伴わない患者の約2倍であり、予後が悪くなるリスクが50%増加します。

以 上

 

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