2016年10月21日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 中山 讓治 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 常務執行役員コーポレートコミュニケーション部長 石田 憲昭
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

抗血小板剤「プラスグレル」の虚血性脳血管障害患者を対象とした第3相臨床試験(PRASTRO-I試験、PRASTRO-II試験)の結果について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、虚血性脳血管障害患者を対象とした抗血小板剤プラスグレル塩酸塩(以下「プラスグレル」)の国内第3相臨床試験(PRASTRO-I試験およびPRASTRO-II試験)を完了しましたので、その結果についてお知らせいたします。

PRASTRO-I試験は、年齢75歳未満および体重50 kg超の虚血性脳血管障害患者(心原性脳塞栓症は除く)3,747例を対象に、プラスグレル3.75 mg 1日1回投与の有効性について、クロピドグレル75 mg 1日1回投与に対する非劣性を検証する試験です。本試験では脳心血管系イベント(脳梗塞症、心筋梗塞症、その他の血管死)の発現の抑制について主要評価項目を達成しませんでした。なお、プラスグレルの新たな安全性上の懸念は認められませんでした。

PRASTRO-II試験は、年齢75歳以上または体重50 kg以下の虚血性脳血管障害患者(心原性脳塞栓症は除く)654例を対象に、プラスグレル3.75 mgまたは2.5 mg 1日1回投与の安全性について、クロピドグレル50 mg 1日1回投与を対照に評価する試験です。本試験では、主要評価項目(臨床上重要な出血性イベントの発現頻度)および副次評価項目(脳心血管系イベントの発現頻度)について評価し、所期の目的を達成しました。

なお、両試験結果の詳細については、今後、学会等で公表する予定です。

 

以 上

プラスグレルについて

プラスグレルは、当社と宇部興産株式会社が創製した国産の経口抗血小板剤で、経皮的冠動脈形成術が適用される虚血性心疾患患者に対し、早期から維持期にかけて安定した抗血小板作用と、優れた心血管イベント抑制効果を示すことが国内及び海外の臨床試験で確認されています。

国内では、2014年3月に虚血性心疾患患者に対する適応を取得し、その用法・用量は、「通常、成人には、投与開始日にプラスグレルとして20 mgを1日1回経口投与し、その後、維持用量として1日1回3.75 mgを経口投与する」こととされています。

海外では、当社とイーライリリー・アンド・カンパニーが共同開発し、2009年に欧米において経皮的冠動脈形成術を施行した急性冠症候群患者のアテローム血栓性イベント抑制を適応症として承認を取得して以来、世界80ヶ国以上で承認されております。

 

虚血性脳血管障害について

虚血性脳血管障害とは、脳梗塞とも称し、何らかの理由で脳の血管(血流)が妨げられ、脳の組織に障害が生じるものです。脳梗塞の発症にはいくつかの原因が指摘されていますが、脳の血管壁に血栓が生じたことによる血管の閉塞も主な発症原因の一つです。

平成27年の死因別死亡総数において、脳血管疾患は全死亡の第4位で11万1,973人(8.7%)を占めます。このうち、出血性脳梗塞やその他の脳血管疾患を除く、脳梗塞による死亡は、6万4,523人で脳血管疾患全体の57.6%でした*1

 

*1 平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei15/index.html

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