2016年12月06日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 中山 讓治 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 常務執行役員コーポレートコミュニケーション部長 石田 憲昭
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

米国血液学会(ASH)で発表されたDS-3032の第1相臨床試験結果について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、DS-3032(MDM2阻害剤*1)の第1相臨床試験の結果が第58回 米国血液学会(ASH)で発表されましたので、その概要についてお知らせいたします。

今回の発表内容は、米国内で実施した第1相臨床試験の用量漸増パートにおける安全性および有効性の予備的データです。再発性または難治性の急性骨髄性白血病または高リスクの骨髄異形成症候群を有する38名の患者が本試験に登録され、そのうち37名の患者に対して本剤を1日1回、21日間連続投与した後、7日間休薬する28日間を1サイクルとする投与を行いました。本試験の主要評価項目は安全性、忍容性および第2相臨床試験の推奨用量の検討でした。

安全性については、5名の患者に用量制限毒性が認められました。内訳は1日1回160mgを投与された2名の患者で低カリウム血症(グレード3*2)または下痢(グレード3)がみられ、1日1回210mgを投与された3名の患者で悪心及び嘔吐(グレード3)、食欲不振及び倦怠感(グレード3)またはクレアチニン値上昇及び腎不全(グレード2*2)がみられました。その結果、最大耐用量は1日1回160mgに決定されました。

予備的な有効性については、本剤の初回投与から28日後(最初のサイクル終了後)に骨髄検査を受けた26名の患者のうち15名に、骨髄芽球の減少がみられました。1日1回120mgを4ヶ月間または1日1回160mgを13ヶ月間投与された、再発性または難治性の急性骨髄性白血病を有する患者2名に完全寛解(CR)*3がみられました。また、1日1回120mgを4ヶ月間投与された高リスクの骨髄異形成症候群を有する患者1名に完全寛解(CR)がみられました。

今後の臨床試験を通じて、本剤の至適用法・用量および他剤との併用等について検討してまいります。

 

以 上

*1 MDM2は、がん抑制因子であるp53の作用を制御するたんぱく質です。MDM2阻害 剤は、MDM2とp53の結合を阻害することによってp53を活性化し、p53 を有するがん細胞に細胞死をもたらすことが期待されています。

*2米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(CTCAE)で規定された重症度を意味し、グレード1~5に分類されます。

*3完全寛解(CR)とは、骨髄中のがん細胞が骨髄全体の5%未満に減少し、正常な血液細胞を造ることができるようになる状態です。

 

第一三共のがん事業について

当社は、世界トップ水準のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供していきます。

当社は、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、現在、固形がんと血液がんの両領域で20以上の新規の低分子および抗体医薬を保有しています。主要開発品目には、FLT3-ITD阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病(第3相))、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫(第3相)、固形がんにおける抗PD-1抗体との併用試験(第1/2相)も実施中)、MET阻害剤チバンチニブ(目標適応:肝細胞がん(第3相))、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:固形がん(第1相))等があります。

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