第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、抗体薬物複合体(以下、「ADC」*)の生産体制を拡充するための設備投資を行うことをお知らせいたします。
当社グループの国内3工場においてADCの生産ラインを順次増設し、バイオ医薬品の生産規模を2021年迄に現在の3倍以上に拡大する予定で、初期投資額は約150億円となります。本設備投資により、当社ADCフランチャイズの治験薬安定供給を通じた開発加速と、将来的な製品の安定供給を確保します。
当社のADCフランチャイズには、臨床開発段階に2品目(DS-8201、U3-1402)、前臨床開発段階に4品目(DS-7300、DS-1062、その他2品目)の計6品目があり、いずれも当社独自のADC技術を活用しています。
DS-8201は、現在、複数のHER2発現がん(HER2陽性胃がん、HER2陽性乳がん、HER2低発現乳がん、HER2発現固形がん)の患者を対象に、第1相臨床試験パート2(症例拡大試験)を日本と米国において実施中で、HER2陽性転移性乳がんについて米国FDAからファストトラック(優先承認審査)指定を受けています。
U3-1402は、HER3に対するADCで、HER3陽性の乳がんを対象に現在、第1相臨床試験を実施中です。
以 上
* 抗体薬物複合体(ADC) とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。
第一三共のがん事業について
当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。
当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)と急性骨髄性白血病(AML)をフランチャイズとして、合計20以上の新規の低分子医薬、抗体医薬および抗体薬物複合体(ADC)を保有しています。
主要開発品目には、FLT3-ITD阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:固形がん)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫、固形がんにおける抗PD-1抗体との併用試験も実施中)等があります。