第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、α2δリガンド*1「ミロガバリン」(以下「本剤」)の糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)患者を対象とした第3相臨床試験(REDUCER試験)において、主要評価項目を達成したことをお知らせいたします。
REDUCER試験は、糖尿病性末梢神経障害性疼痛(DPNP)患者 約750例を対象とした日本を含むアジア*2における第3相臨床試験です。主要評価項目は平均疼痛スコア*3で、投与前ベースラインから投与開始後14週までの平均疼痛スコアの変化量(改善度)を本剤(1日総投与量20mgまたは30mg)とプラセボで比較したものです。本試験において安全性上の新たな懸念は認められませんでした。本試験結果の詳細は、今後、学会にて公表する予定です。
REDUCER試験は、本年6月に試験結果概要を公表したNEUCOURSE試験(帯状疱疹後神経痛(PHN)患者を対象とした試験)およびALDAY試験(線維筋痛症(FM)患者を対象とした試験)と並び、本剤の重要なグローバル第3相臨床試験の一つです。
REDUCER試験とNEUCOURSE試験での主要評価項目の達成は、ミロガバリンの疼痛領域における有用性を示唆するものであり、当社は、疼痛に苦しむ患者さんへ革新的医薬品を提供できるよう取り組んでまいります。
以 上
*1 α2δ(アルファ2デルタ)リガンド:電位依存性カルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合する物質
*2 日本、台湾、韓国、マレーシア
*3 平均疼痛スコア:痛みの強さを毎日測定した疼痛スコアの1週間の平均値
(参考)
糖尿病性末梢神経障害性疼痛(diabetic peripheral neuropathic pain: DPNP)について
糖尿病性末梢神経障害性疼痛は、神経の損傷によって引き起こされる末梢性神経障害性疼痛の代表的な疾患です。糖尿病性末梢神経障害は、四肢の神経障害や知覚麻痺を引き起こす疾患で、最も一般的で長期化する糖尿病の3大合併症の一つです。症状として、激しい痛み、痛覚過敏、しびれ、平衡および筋肉運動障害、灼熱痛、刺痛などがあり、夜間に痛みが増すことが多く、睡眠障害に至ることもあります。日本で950万人を超えると推測される糖尿病患者のうち、DPNP に罹患している患者の割合は9~22%と報告されています。
帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia: PHN)について
帯状疱疹後神経痛は、神経の損傷によって引き起こされる末梢性神経障害性疼痛の代表的な疾患です。帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節内に潜伏感染し、ウイルスに対する免疫力が低下することで発症します。帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹が治癒した後も焼けるような痛みや電気が走るような痛みが持続し、まれに筋力の低下や麻痺を引き起こす難治性疼痛の一つと考えられています。日本で年間に50~60万人が発症している帯状疱疹患者のうち、PHN に罹患している患者の割合は10~25%と言われています。
線維筋痛症(fibromyalgia: FM)について
線維筋痛症は、身体の広範な部位に原因不明の強い痛みを感じ、こわばり、倦怠感、疲労感、睡眠障害、抑うつなどさまざまな症状を伴う疾患です。厚生労働省研究班の調査によると患者数は人口の1.7%と言われており、女性に多いことが特徴です。痛みが慢性的に続くことから、社会的・経済的支障を含め、患者への負担の大きい疾患です。