2017年11月15日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 常務執行役員コーポレートコミュニケーション部長 石田 憲昭
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

米国心臓協会(AHA)で発表した抗凝固剤「エドキサバン(製品名:リクシアナⓇ錠)」のENGAGE AF-TIMI 48試験における新規サブグループ解析結果について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、心房細動患者を対象としてエドキサバンの安全性と有効性を評価したグローバル第3相臨床試験ENGAGE AF-TIMI 48試験における、冠動脈疾患を有する心房細動患者を対象としたサブグループ解析結果について、米国カリフォルニア州アナハイムで開催されている米国心臓協会(AHA)学術集会2017で発表しましたので、その概要についてお知らせいたします。 

本サブグループ解析は、冠動脈疾患を有する心房細動患者4,510名のイベント発現率について、エドキサバン(60mgまたは30mg)投与群とワルファリン投与群を比較したものです。

脳卒中および全身性塞栓症の発現率は、冠動脈疾患を有する場合はエドキサバン群で1.4%、ワルファリン群で2.1%(冠動脈疾患を有しない場合はエドキサバン群で1.6%、ワルファリン群で1.7%)でした。心筋梗塞の発現率は、冠動脈疾患を有する場合はエドキサバン群で1.4%、ワルファリン群で2.0%(冠動脈疾患を有しない場合はエドキサバン群で0.5%、ワルファリン群で0.4%)でした。

また、重大な出血の発現率は、冠動脈疾患を有する場合はエドキサバン群で3.6%、ワルファリン群で4.4%(冠動脈疾患を有しない場合はエドキサバン群で2.5%、ワルファリン群で3.2%)となり、エドキサバン群はワルファリン群に対し、冠動脈疾患の有無に係わらず、本試験全体結果と同様の傾向が認められました。

当社は、ENGAGE AF-TIMI 48試験における今回のサブグループ解析結果を通じて、冠動脈疾患を有する心房細動患者さんの治療におけるエドキサバンの使用方法について科学的知見を深めることができました。

 

以 上

ENGAGE AF-TIMI 48試験について

ENGAGE AF-TIMI 48試験は、非弁膜症性心房細動患者21,105名を対象としたエドキサバンのグローバル第3相臨床試験で、本試験の投与期間は2.8年と心房細動患者を対象とした新規抗凝固剤の臨床試験としては、最大かつ最長の試験でした。本試験においてエドキサバンはワルファリンに対して、脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制における有効性で非劣性、重大な出血の発現における安全性において優越性を示したことを2013年に発表しています。

 

心房細動について

心房細動とは、心拍動が速く不規則になる状態のことで、心房室内に血液が溜まって肥厚すると血栓のリスクが高まります。血栓は、血管からはがれて血流と共に脳(場合によっては別の身体部位)に達すると、脳卒中等を招くおそれがあります。

心房細動は最もよく認められるタイプの心拍障害であり、疾病や死亡に関連しています。心房細動を有する人は、そうでない人と比べると、脳卒中のリスクが3~5倍高くなります。全ての脳卒中症例の5分の1は、心房細動が原因です。

 

エドキサバンについて

エドキサバンは、血管内で血液凝固に関与するFXa (活性化血液凝固第X因子) を選択的、可逆的かつ直接的に阻害します。現在、世界20カ国以上で販売されています。

日本では、「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」の適応で、リクシアナ錠15 mg、同錠30 mgを2011年7月から販売しており、2014年9月には「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」及び「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」の両適応で効能追加の承認を取得し、2014年12月からリクシアナ錠60 mgを販売しております。

 

エドキサバンのライフサイクルマネジメントについて

当社は、エドキサバンの科学的知見を継続的に発展させるよう取り組んでいます。

エドキサバンの臨床研究プログラムは、無作為化比較試験およびレジストリーとして知られる観察研究から成り、心房細動や静脈血栓塞栓症の患者におけるエドキサバンの使用について、臨床試験や使用実態下のデータを創出することを目的としています。当社は、エドキサバン臨床研究プログラムに、完了・継続・計画中のものを加えると10万人以上の患者さんが参加されることを見込んでおります。 

本プログラムにおける無作為化比較試験は以下のとおりです。

・電気的除細動を施行予定の心房細動患者を対象としたENSURE-AF試験

・冠動脈インターベンションを受ける予定の心房細動患者を対象としたENTRUST-AF PCI試験

・癌を合併した静脈血栓塞栓症患者を対象としたHokusai-VTE Cancer試験

・非弁膜症性心房細動を有する高齢者を対象としたELDERCARE-AF試験(日本)

・非弁膜症性心房細動を有するカテーテルアブレーション施術後の患者を対象としたELIMINATE-AF試験

・経カテーテル大動脈弁置換術後の患者を対象としたENVISAGE-TAVI AF試験 

また、エドキサバンや他の経口抗凝固剤の重要な使用実態下の実臨床エビデンスを示すデータを創出するためのグローバルおよび地域的レジストリーは以下のとおりです。

・ETNA-AF

・ETNA-VTE

・EMIT-AF/VTE

・Prolongation PREFER in AF

・ANAFIE Registry(日本)

・Cancer-VTE Registry(日本)

 当社は、幅広いAFおよびVTE患者さんにおけるエドキサバンに関連する科学的知見の充実に一層尽力していきます。

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