2017年12月12日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 常務執行役員コーポレートコミュニケーション部長 石田 憲昭
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

米国血液学会(ASH)年次総会で発表したDS-3201第1相臨床試験の中間結果について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、DS-3201(EZH1とEZH2の二重阻害剤)の非ホジキンリンパ腫患者を対象とした第1相臨床試験(以下「本試験」)の中間結果について、米国ジョージア州アトランタで開催中の第59回米国血液学会(ASH)年次総会で発表しましたので、その概要についてお知らせいたします。 

本試験は、再発または難治性の非ホジキンリンパ腫患者を対象とした国内試験で、複数の用量での本剤の安全性、忍容性および薬物動態等を評価し、第2相臨床試験の推奨用量を検討します。今回の発表内容は、本試験の用量漸増パートにおける安全性、忍容性および有効性の予備的データです。 

本試験の安全性については、評価可能な患者18名において200mgまたは300mgを投与された3名に4件の用量制限毒性が認められました。用量制限毒性4件の内訳として、グレード4*1の血小板数減少3例(投与量200mgで1例、300mgで2例)とグレード3*1の貧血1例(投与量300mg)がみられました。 

本試験の予備的有効性については、評価可能な患者17名中10名において完全寛解*2(CR)または部分寛解*3(PR)が認められ、全奏効率*4は58.8%でした。非ホジキンリンパ腫はB細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫に大別され、全奏効率の内訳は、B細胞リンパ腫の患者11名中5名(45.5%)においてPRが認められ、T細胞リンパ腫の患者6名中5名(83.3%)においてCR(1名)またはPR(4名)が認められました。 

DS-3201は、エピジェネティクス*5領域の低分子医薬品で、がん抑制遺伝子の発現を抑制するヒストンメチル化酵素EZH1とEZH2を二重に阻害します。非臨床試験では、EZH2のみを阻害するより、EZH1とEZH2を二重に阻害するほうが様々な血液がんの増殖阻害効果が高いことが示唆されていましたが、本試験の中間結果より、本剤が非ホジキンリンパ腫の治療に対する新規アプローチとなる可能性が示唆されました。 

なお、DS-3201は、現在、非ホジキンリンパ腫の患者を対象とした本試験に加え、急性骨髄性白血病(AML)および急性リンパ性白血病(ALL)患者を対象とした第1相臨床試験を米国で実施中です。

 

以 上

 

*1 米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(CTCAE)で規定された重症度を意味し、グレード1~5に分類されます。

*2 完全寛解(CR)とは、すべての病変(リンパ節の腫大)が消失した状態です。

*3 部分寛解(PR)とは、すべての病変が縮小(測定可能な病変が50%以上縮小)し、かつ新病変がない状態です。

*4 全奏効率(ORR)とは、完全寛解(CR)または部分寛解(PR)の患者の割合です。

*5 DNA配列の変化を伴わない後天的な遺伝子発現変化を誘導する分子メカニズム

 

 

非ホジキンリンパ腫について

非ホジキンリンパ腫は、リンパ球に由来する悪性リンパ腫の一つで、B細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫に大別されます。年間の新規患者数(2012年現在)は世界で40万人弱、日本で2万人強と報告されています。近年は治療法が進歩していますが、再発または難治性の非ホジキンリンパ腫は予後が悪いと言われています。

第一三共のがん事業について

当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。

当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)と急性骨髄性白血病(AML)をフランチャイズとして、合計20以上の新規の低分子医薬、抗体医薬および抗体薬物複合体(ADC)を保有しています。

主要開発品目には、FLT3-ITD阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:固形がん)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫、固形がんにおける抗PD-1抗体との併用試験も実施中)等があります。

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