2017年12月13日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 常務執行役員コーポレートコミュニケーション部長 石田 憲昭
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

米国血液学会(ASH)年次総会で発表した抗凝固剤「エドキサバン(製品名:リクシアナⓇ錠)」のHokusai-VTE CANCER試験結果について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、経口抗凝固剤エドキサバン(製品名:リクシアナ錠)のライフサイクルマネジメントの一環として実施した、がんを合併した静脈血栓塞栓症(VTE)患者を対象としたHokusai-VTE CANCER試験において、エドキサバンは、欧米の標準治療薬であるダルテパリン(低分子量ヘパリン、国内未承認)に対して有効性および安全性に係わる主要評価項目において非劣性を達成しましたので、お知らせいたします。本試験の結果は、米国ジョージア州アトランタで開催中の第59回米国血液学会(ASH)年次総会のlate breaking sessionで発表されると共に、New England Journal of Medicineにオンライン掲載されました。 

本試験は、欧米を中心とする海外13カ国において、がんを合併したVTE患者1,050名を対象に、1日1回経口投与のエドキサバンまたは1日1回皮下注射のダルテパリンを12ヶ月間投与し、両剤の有効性(VTEの再発)および安全性(重大な出血)を比較したものです。 

本試験の主要評価項目(VTEの再発および重大な出血の複合発現率)において、エドキサバン群は12.8%(522名中67名)、ダルテパリン群は13.5%(524名中71名)、リスク差(エドキサバン群の発現率-ダルテパリン群の発現率)は-0.7%となり、エドキサバンのダルテパリンに対する非劣性が検証されました。リスク差(-0.7%)の内訳は、VTEの再発のリスク差は-3.4%、重大な出血のリスク差は2.9%でした。特に重篤度の高い重大な出血(重篤度カテゴリー3及び4)の発現数はエドキサバン群で12名、ダルテパリン群で12名でした。

VTEは、深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PE)の総称で、がん患者において2番目に多い死亡原因となっています。現在、がんを合併したVTE患者の欧米における治療ガイドラインは、標準治療として低分子量ヘパリン(皮下注射)の6ヶ月以上の投与を推奨していますが、服薬アドヒアランス*上の未充足ニーズがあります。

当社は、エドキサバンのライフサイクルマネジメントの一環としての本試験結果を通じて、がんを合併した静脈血栓塞栓症(VTE)患者さんの治療におけるエドキサバンの使用方法に関する科学的知見を深めることができました。

 

以 上

 

* 服薬アドヒアランスとは、患者さんが積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること。

 

 

静脈血栓塞栓症(VTE)について

VTEは、深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PE)の総称です。DVTは、四肢(通常ふくらはぎまたは大腿)、骨盤などの深部静脈に血栓が形成される疾患です。PEは、深部静脈で形成された血栓の一部が遊離して肺に流れ、肺動脈を閉塞し、致死的状況をもたらすことがある疾患です。

 

エドキサバンについて

エドキサバンは、血管内で血液凝固に関与するFXa (活性化血液凝固第X因子) を選択的、可逆的かつ直接的に阻害します。現在、世界20カ国以上で販売されています。

日本では、「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」の適応で、リクシアナ錠15 mg、同錠30 mgを2011年7月から販売しており、2014年9月には「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」及び「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」の両適応で効能追加の承認を取得し、2014年12月からリクシアナ錠60 mgを販売しております。また2017年11月からリクシアナOD錠を販売しております。

 

エドキサバンのライフサイクルマネジメントについて

当社は、エドキサバンの科学的知見を継続的に発展させるよう取り組んでいます。

エドキサバンの臨床研究プログラムは、無作為化比較試験およびレジストリーとして知られる観察研究から成り、心房細動や静脈血栓塞栓症の患者におけるエドキサバンの使用について、臨床試験や使用実態下のデータを創出することを目的としています。当社は、エドキサバン臨床研究プログラムに、完了・継続・計画中のものを加えると10万人以上の患者さんが参加されることを見込んでおります。

 

本プログラムにおける無作為化比較試験は以下のとおりです。

・電気的除細動を施行予定の心房細動患者を対象としたENSURE-AF試験

・冠動脈インターベンションを受ける予定の心房細動患者を対象としたENTRUST-AF PCI試験

・癌を合併した静脈血栓塞栓症患者を対象としたHokusai-VTE CANCER試験

・非弁膜症性心房細動を有する高齢者を対象としたELDERCARE-AF試験(日本)

・非弁膜症性心房細動を有するカテーテルアブレーション施術後の患者を対象としたELIMINATE-AF試験

・経カテーテル大動脈弁置換術後の患者を対象としたENVISAGE-TAVI AF試験

 

また、エドキサバンや他の経口抗凝固剤の重要な使用実態下の実臨床エビデンスを示すデータを創出するためのグローバルおよび地域的レジストリーは以下のとおりです。

・ETNA-AF

・ETNA-VTE

・EMIT-AF/VTE

・Prolongation PREFER in AF

・ANAFIE Registry(日本)

・Cancer-VTE Registry(日本)

 

当社は、幅広いAFおよびVTE患者さんにおけるエドキサバンに関連する科学的知見の充実に一層尽力していきます。

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