2018年02月07日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 常務執行役員コーポレートコミュニケーション部長 石田 憲昭
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

抗体薬物複合体U3-1402の非小細胞肺がん患者を対象とした第1相臨床試験開始について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、U3-1402(HER3に対する抗体薬物複合体(ADC)*)の、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(以下「EGFR TKI」)投与中に病勢進行したEGFR変異のある非小細胞肺がん患者を対象とした第1相臨床試験において、最初の患者への投与を米国にて開始しましたので、お知らせいたします。

EGFR変異のある非小細胞肺がん患者には、現在一次治療としてEGFR TKI(エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ)が投与されますが、多くの患者は同薬剤に抵抗性となります。これらの患者のうち、EGFRの第二変異(T790M変異)が生じた患者には次世代のEGFR TKIであるオシメルチニブが投与されますが、一定割合の患者は治療抵抗性となります。いずれもEGFR TKIに抵抗性となった場合には、現在、限られた治療法しかありませんが、EGFR TKIに抵抗性となった非小細胞肺がんの細胞にはHER3が高発現するとの知見があります。

本試験は、EGFR TKI(エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ)に抵抗性となった再発・転移性の非小細胞肺がん患者を対象に、U3-1402の安全性と忍容性を評価し、推奨用量を決定します。また、薬物動態と予備的有効性も評価します。グローバルに60名以上の患者を登録する予定です。

EGFR変異のある非小細胞肺がん治療は従来に比べ大幅に改善しましたが、EGFR TKIに抵抗性となった患者さんの治療満足度はいまだ低いのが現状です。当社は、U3-1402が既存薬抵抗性となり他に満足な治療法のない患者さんに新たな治療の選択肢を提供できることを期待しております。

以 上

 

* 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。

 

U3-1402について

U3-1402は、当社ではDS-8201に続いて、2番目に臨床開発段階に入った抗体薬物複合体で、独自のADC技術を使ってリンカーを介して抗HER3抗体にトポイソメラーゼⅠ阻害剤(以下「DXd」)を結合させた薬剤です。1つの抗体につき約8個のDXdが結合するという特徴を持ちます。なお、本剤の転移性乳がん患者を対象とした第1/2相臨床試験も実施中です。

 

第一三共のがん事業について

当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。

当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)、急性骨髄性白血病(AML)およびブレークスルー・サイエンスをフランチャイズとして、2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。

主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3-ITD阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。

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