2018年02月23日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 常務執行役員コーポレートコミュニケーション部長 石田 憲昭
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

抗体薬物複合体DS-1062の非小細胞肺がん患者を対象とした第1相臨床試験開始について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、DS-1062(TROP2を標的とした抗体薬物複合体(ADC)*)の、再発・進行性の非小細胞肺がん患者を対象とした第1相臨床試験において、最初の患者への投与を開始しましたので、お知らせいたします。

TROP2は、肺がんを含む様々ながん細胞の細胞膜上に過剰発現し、がん細胞の増殖促進、転移、薬剤への耐性獲得等に関与することが知られています。DS-1062は、がん細胞膜上のTROP2に結合して細胞内に取り込まれた後、薬物部分がリンカーから切り離され、トポイソメラーゼⅠを阻害することによる殺細胞効果が期待されています。

本試験は、日本と米国における再発・進行性の非小細胞肺がん患者を対象とした第1相臨床試験で、二つのパートからなります。パート1ではDS-1062の投与量を段階的に増やしながら安全性と忍容性を評価し、最大耐用量と推奨用量を決定します。パート2では推奨用量での安全性と忍容性に加え、予備的有効性等も評価し、約40名の患者を登録する予定です。その後、TROP2高発現のその他固形がん患者を対象とした追加的評価も予定しています。

分子標的治療薬の導入により、一部の非小細胞肺がん治療は従来に比べ大幅に改善しましたが、再発・進行性の非小細胞肺がん患者さんへの治療法は未だ十分ではありません。当社は、DS-1062が新たな治療の選択肢となることを期待しております。

 

以 上

 

* 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。

 

DS-1062について

DS-1062は、当社ではDS-8201、U3-1402に続いて、3番目に臨床開発段階に進んだ抗体薬物複合体で、独自のADC技術を使ってリンカーを介して抗TROP2抗体にトポイソメラーゼI阻害剤を結合させた薬剤です。

 

第一三共のがん事業について

当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。

当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)、急性骨髄性白血病(AML)およびブレークスルー・サイエンスをフランチャイズとして、2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。

主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3-ITD阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。

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