2018年05月31日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 小川 晃司
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

DS-8201の非小細胞肺がん患者を対象とした第2相臨床試験の開始について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、HER2過剰発現またはHER2変異のある再発・進行性非小細胞肺がん患者を対象としたDS-8201(HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)*1)の第2相臨床試験において、最初の患者への投与を開始しましたので、お知らせいたします。

非小細胞肺がんの治療成績は、近年の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の登場により大きく改善しましたが、再発・進行性の非小細胞肺がんにおいては、新しい治療法が必要とされています。HER2は非小細胞肺がんの4~35%に過剰発現し、HER2過剰発現は予後不良と全生存期間の短さに関与していると報告されています。またHER2変異は、最近になり、従来のHER2過剰発現とは異なる特徴を持つ標的として特定され、非小細胞肺がんの最大5%に見られると報告されています。現在、HER2過剰発現またはHER2変異のある非小細胞肺がんの治療において、承認されている抗HER2療法はありません。

本試験は、前治療を受けたHER2過剰発現またはHER2変異のある再発・進行性非小細胞肺がん患者を対象とした第2相臨床試験で、本剤の有効性と安全性を評価します。主要評価項目は全奏効率*2で、日米欧において約80名の患者を登録する予定です。

本試験は、DS-8201の乳がん、胃がん及び大腸がん領域に続く第2相臨床試験となります。当社は、他に適切な治療法のない進行性の非小細胞肺がん患者さんにとって、本剤が新しい治療の選択肢となることを期待しております。

以 上

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。

*2 全奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。

 

肺がんについて

肺がんは、世界において2012年に約180万人の新規患者、2015年に約169万人の死亡が報告されており、主要ながん死亡原因となっています。

 

第一三共のがん事業について

当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。

当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。

主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。

 

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