2018年06月01日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 小川 晃司
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

米国臨床腫瘍学会(ASCO)で初めて発表するU3-1402第1/2相臨床試験のデータについて

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、HER3陽性の再発・転移性乳がん患者を対象としたU3-1402(HER3に対する抗体薬物複合体(ADC)*1)の第1/2相臨床試験(以下「本試験」)における安全性と有効性に関するデータについて、米国シカゴで開催中のASCO 2018において初めて発表しますので、その概要についてお知らせいたします。

安全性については、3週間毎に体重1kg当たり1.6~8.0mgが投与された患者34名において、グレード3*2以上の有害事象として、血小板数減少(29%)、好中球数減少(27%)、白血球数減少(18%)、貧血(12%)等がみられました。また、用量制限毒性としてグレード4*2の血小板数減少(3名)、グレード3のALT*3増加(2名)及びグレード2のAST*3増加(1名)がみられましたが、これまでに最大耐用量には達しておりません。

予備的有効性については、前治療を受けたHER3陽性の再発・転移性乳がん患者32名において、全奏効率*4は47%(15名/32名)、病勢コントロール率*5は94%(30名/32名)でした。

U3-1402については、現在、本試験に加え、非小細胞肺がんを対象とした第1相臨床試験を実施中です。U3-1402は、DS-8201に続き当社で2番目に臨床開発入りした抗体薬物複合体(ADC)ですが、本試験においてU3-1402の有用性が示唆されたことから、今後の開発を加速してまいります。

 

以 上

 

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。

*2 米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(CTCAE)で規定された重症度を意味し、グレード1~5に分類されます。

*3 ALT / ASTとは、肝機能障害の可能性や程度を測定する血液検査の項目です。

*4 全奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。確定した全奏効率を意味します。

*5 病勢コントロール率とは、全奏効率に、腫瘍が安定している状態(腫瘍が30%未満減少~20%未満増加)の患者の割合を加えたものです。

 

U3-1402について

U3-1402は、DS-8201に続いて、当社で2番目に臨床開発段階に入った抗体薬物複合体(ADC)で、当社独自のADC技術を使ってリンカーを介して抗HER3抗体にトポイソメラーゼⅠ阻害剤(以下「DXd」)を結合させた薬剤です。1つの抗体につき約8個のDXdが結合するという特徴を持ちます。

 

第一三共のがん事業について

当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。

当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。

主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。

 

to Page Top