2018年06月05日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 小川 晃司
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表したペキシダルチニブの腱滑膜巨細胞腫(TGCT)患者を対象とした第3相臨床試験(ENLIVEN試験)の結果について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(以下「本剤」)の腱滑膜巨細胞腫(TGCT)*1患者を対象とした欧米での第3相臨床試験(以下「本試験」)の結果について、米国シカゴで開催されているASCO 2018で発表しましたので、その概要についてお知らせいたします。

本試験は、手術による腫瘍切除不能なTGCT患者120名を対象として、本剤を24週間経口投与した患者群と、プラセボを投与した患者群との二重盲検比較試験です。

本試験の有効性について、主要評価項目である全奏効率*2は本剤投与群で39%、プラセボ投与群では0%でした。また、副次評価項目である腫瘍体積スコア、関節可動域、こわばりなどにおいても、本剤はプラセボと比較して統計的有意差を持って改善を示しました。

本試験の安全性について、本剤は肝機能障害に係る検査値の上昇が認められ、肝機能の有害事象による投与中断が8例、非致死性の重篤な肝障害症例が4例報告されております。なお、悪性腫瘍患者を対象とし本剤を投与した別の臨床試験において、死亡例を含む重篤な肝障害症例が2例報告されております。

本剤は米国食品医薬品局(FDA)より「画期的治療薬」(Breakthrough Therapy)指定及び「希少疾病用医薬品」(オーファンドラッグ)指定を受けており、2017年10月31日に本試験の主要評価項目を達成したことを公表しております。今後、当社は本試験結果に基づき、米国において新薬承認申請を行います。

以 上

*1 腱滑膜巨細胞腫(TGCT)とは、痛みや動作の制限を伴う良性の腫瘍です。関節の内側の組織が炎症や異常増殖を起こすことが特徴で、現在は手術による腫瘍の切除以外の有効な全身療法がありません。

*2 全奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。

 

第一三共のがん事業について

当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。

当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。

主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体DS-8201(目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。

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