2018年10月22日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 小川 晃司
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表したtrastuzumab deruxtecan(DS-8201)第1相臨床試験の最新データについて

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、trastuzumab deruxtecan*1(DS-8201、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)*2、以下「本剤」)の日米共同第1相臨床試験(以下「本試験」)における、安全性と大腸がん患者の有効性に関する最新データについて、ドイツのミュンヘンで開催中の欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2018)で発表しましたので、その概要についてお知らせいたします。

 安全性については、前治療を受けたHER2発現患者259名において、グレード3*3以上の有害事象は54.1%、重篤な有害事象は22.8%、原因を問わず死亡に至った有害事象は4.6%でした。グレード5*3肺臓炎または間質性肺疾患が5名報告され、間質性肺疾患外部判定委員会にて精査中ですが、大腸がん患者においては報告されておりません

 予備的有効性については、前治療を受けた再発・進行性大腸がん患者19名において、全奏効率*4は15.8%(3名/19名)、病勢コントロール率*5は84.2%(16名/19名)、奏効期間*6はまだ中央値に達しておらず、無増悪生存期間*7の中央値は3.9ヶ月でした。なお、対象患者19名のうち6名はHER2発現が確認できない患者であり、腫瘍の縮小は、HER2過剰発現の患者において見られました。

 本剤については、現在、本試験に加え、さまざまながん種における臨床試験の一環として、HER2発現の再発・進行性大腸がんを対象としたグローバル第2相臨床試験を実施中です。

                                                                                                                                                       以 上

 

 

*1 trastuzumab deruxtecanの参考字訳:トラスツズマブ デルクステカン

*2 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。

*3 米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(CTCAE)で規定された重症度を意味し、グレード1~5に分類されます。

*4 全奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。確定した全奏効率を意味します。

*5 病勢コントロール率とは、全奏効率に、腫瘍が安定している状態(腫瘍が30%未満減少~20%未満増加)の患者の割合を加えたものです。

*6 奏効期間とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上減少(部分奏効)のどちらかの基準が最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。

*7 無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

 

 

第一三共のがん事業について

当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。

当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。

主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体trastuzumab deruxtecan(DS-8201、目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。

 

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