2018年12月06日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 執行役員コーポレートコミュニケーション部長 小川 晃司
TEL  報道関係者の皆様 03-6225-1126
株式市場関係者の皆様 03-6225-1125

米国のサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表したU3-1402第1/2相臨床試験の最新データについて

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、乳がん患者を対象としたU3-1402(HER3に対する抗体薬物複合体(ADC)*1)の第1/2相臨床試験(以下「本試験」)における安全性と有効性に関する最新データについて、米国テキサス州サンアントニオで開催中のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)2018で発表しましたので、その概要についてお知らせいたします。

安全性については、HER3陽性の乳がん患者42名において、グレード3*2以上の主な有害事象(発現率>10 %)として、血小板数減少(35.7 %)、好中球数減少(28.6 %)、白血球数減少(21.4 %)、貧血(16.7 %)、ALT*3増加(11.9 %)がみられました。また治療に関連した重篤な有害事象がみられた患者は16.7 %でした。

予備的有効性については、前治療を受けたHER3陽性の再発・転移性乳がん患者42名において、全奏効率*4は42.9 %(18名/42名)、病勢コントロール率*5は90.5 %(38名/42名)、奏効期間*6はまだ中央値に達しておらず、無増悪生存期間*7中央値は8.3ヶ月でした。

U3-1402は、trastuzumab deruxtecan*8(DS-8201)に続き当社で2番目に臨床開発入りした抗体薬物複合体(ADC)で、現在、本試験に加え、非小細胞肺がんを対象とした第1相臨床試験を実施中です。本試験の最新データにおいて本剤の有用性および当社ADC技術の応用可能性が示唆されたことから、今後、本剤を含むADCフランチャイズの開発を加速してまいります。

 

以上

 

 

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体医薬と薬物(低分子医薬)を適切なリンカーを介して結合させた医薬群で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体医薬を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めた薬剤です。

*2 米国国立がん研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(CTCAE)で規定された重症度を意味し、グレード1~5に分類されます。

*3 ALTとは、肝機能障害の可能性や程度を測定する血液検査の項目です。

*4 全奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。確定した全奏効率を意味します。

*5 病勢コントロール率とは、全奏効率に、腫瘍が安定している状態(腫瘍が30%未満減少~20%未満増加)の患者の割合を加えたものです。

*6 奏効期間とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上減少(部分奏効)のどちらかの基準が最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。

*7 無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

*8 trastuzumab deruxtecanの参考字訳:トラスツズマブ デルクステカン

 

 

第一三共のがん事業について

当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。

当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。

主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体trastuzumab deruxtecan(DS-8201、目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。

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