2019年04月09日
研究開発情報

各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

Valemetostat(DS-3201)の「先駆け審査指定制度」対象品目指定について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、厚生労働省より、Valemetostat*1(DS-3201:EZH1/2阻害剤、以下「本剤」)が再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫(以下「PTCL」)の治療を対象として、先駆け審査指定制度*2の対象品目に指定されたことをお知らせいたします。

今回の先駆け審査指定は、再発または難治性のPTCLを含む非ホジキンリンパ腫患者を対象に、本剤の安全性と予備的有効性を評価した第1相臨床試験の中間結果に基づくものです。

本剤は、エピジェネティクス*3 領域の低分子医薬品で、遺伝子の発現を抑制するヒストンメチル化酵素であるEZH1及びEZH2を阻害します。EZH1及びEZH2を阻害することで、不活性化された腫瘍抑制遺伝子などを再活性化することにより、がん細胞の増殖が阻害されると考えられています。非臨床試験において、EZH2のみを阻害するより、EZH1とEZH2の両方を阻害するほうが様々な血液がんの増殖阻害効果が高いことが示唆されています。

本剤は、現在、日本及び米国において、PTCLを含む非ホジキンリンパ腫の患者を対象とした第1相臨床試験を実施中です。また、米国において急性骨髄性白血病(AML)及び急性リンパ性白血病(ALL)の患者を対象とした第1相臨床試験を実施しています。

当社は、血液がん患者さんに新しい治療の選択肢を提供できるよう、本剤の開発を加速させてまいります。

以 上

 *1 Valemetostatの参考字訳:バレメトスタット

*2 先駆け審査指定制度とは、世界に先駆けて革新的医薬品や医療機器・体外診断用
医薬品・再生医療等製品の日本での早期実用化を目指す「先駆けパッケージ戦略」(平成26年6月17日厚生労働省取りまとめ)の重点施策の1つで、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して極めて高い有効性が期待される医薬品や再生医療等製品等を指定し、日本の患者さんに世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指しています。開発早期の段階から一定の要件を満たす画期的な新薬等が指定され、薬事承認に係る相談・審査において優先的な取扱いがなされることとなっています。

*3 エピジェネティクスとは、DNA配列の変化を伴わない遺伝子発現変化を誘導する分子メカニズムです。

末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)について
PTCLは、悪性リンパ腫の1つで、リンパ球中のT細胞から発生する疾患です。成人T細胞白血病・リンパ腫を除くリンパ系腫瘍の約10%を占め、日本における発症例数は約2,000名/年と推計される希少疾患です。PTCLに対する治療法は、多剤併用化学療法が中心ですが、再発した場合など未だ効果的な治療法が確立されているとはいえず、新規治療法が求められる疾患です。
非ホジキンリンパ腫(NHL)を含むリンパ腫の症例は世界中で年々増加傾向にあります。2018年の調査において、NHLの新規患者は世界で約50万人/年、死亡数は約25万例/年と推定され、2012年の調査における日本での新規患者数は約2万人/年と推定されています。近年の医療の進歩により、一部のNHL患者の予後や生存率は改善していますが、アグレッシブリンパ腫や再発または難治性のNHL患者の予後は悪く、高いアンメット・メディカル・ニーズがあります。

第一三共のがん事業について
当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。
当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2018年から2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。
主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201、目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。

to Page Top