2019年05月08日
研究開発情報

報道関係者各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)の HER2陽性乳がん第2相臨床試験の結果概要について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)とアストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ)は、HER2陽性の再発・転移性乳がん患者を対象としたトラスツズマブ デルクステカン(DS-8201:HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)の第2相臨床試験(試験名:DESTINY-Breast01、以下「本試験」)において、臨床的意義のある効果が示されたことをお知らせいたします。

本試験は、T-DM1治療を受けたHER2陽性の再発・転移性乳がん患者253名を対象とした北米、欧州及び日本を含むアジアにおけるグローバル第2相臨床試験です。本試験の主要評価項目である客観的奏効率*2は、2019年4月に医学雑誌「The Lancet Oncology」にて公表された本剤の日米共同第1相臨床試験の結果と同様の傾向が認められました。また、本試験において安全性上の新たな懸念は認められませんでした。本試験結果の詳細は、今後、学会にて公表する予定です。

当社とアストラゼネカは、本試験結果に基づき、再発・転移性乳がん患者さんへ本剤を一日でも早く提供できるよう、国内を含むグローバル承認申請に向けた準備を進めてまいります。

本剤は、米国食品医薬品局より、HER2陽性の再発・転移性乳がん治療を対象として画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定*3およびファストトラック指定*4を受けています。また、厚生労働省よりがん化学療法後に増悪したHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する治療として先駆け審査指定*5を受けています。

なお、本剤については、HER2陽性乳がんに加え、HER2低発現乳がんや他のがん種を対象とした臨床試験を実施中です。

以上

*1抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 客観的奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。

*3画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定とは、重篤な疾患を対象に、既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進し、患者さんにより早く新薬を届けるために定められた米国における制度です。

*4ファストトラック指定とは、重篤で未充足の医療ニーズが高い疾患に対し、高い治療効果が期待できる薬剤の開発・審査の迅速化を目的とした米国における制度です。

*5先駆け審査指定制度とは、世界に先駆けて革新的医薬品や医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の日本での早期実用化を目指す「先駆けパッケージ戦略」(平成26年6月17日厚生労働省取りまとめ)の重点施策の1つで、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して極めて高い有効性が期待される医薬品や再生医療等製品等を指定し、日本の患者さんに世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指しています。開発早期の段階から一定の要件を満たす画期的な新薬等が指定され、薬事承認に係る相談・審査において優先的な取扱いがなされることとなっています。

アストラゼネカとの提携について
当社とアストラゼネカは、2019年3月に全世界(当社が独占的権利を有する日本は除く)においてトラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)を共同で開発及び商業化する契約を締結しました。なお、当社は本剤の製造及び供給に責任を持ちます。

第一三共のがん事業について
当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。
当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2018年から2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。
主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201、目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。

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