2019年05月15日
研究開発情報

報道関係者各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

ペキシダルチニブに関する米国食品医薬品局(米国FDA)諮問委員会の審議結果について

 第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、5月14日(現地時間)に開催された米国食品医薬品局(以下「米国FDA」)のがん治療薬諮問委員会(Oncologic Drugs Advisory Committee)において、ペキシダルチニブ(CSF-1R阻害剤、以下「本剤」)の腱滑膜巨細胞腫(以下「TGCT」)*1に対する適応について、ベネフィットがリスクを上回るとの肯定的見解(賛成12、反対3)が示されたことをお知らせいたします。

 本剤は、TGCT患者を対象とした欧米での第3相臨床試験(ENLIVEN試験)の結果に基づき、2019年2月に米国にて承認申請が受理されました。現在、優先審査(Priority Review)*2が行われており、審査は2019年8月3日までに終了見込みです。

 米国FDAは、審査の過程において必要な際に諮問委員会から助言を求めることが出来ます。米国FDAは、必ずしも諮問委員会の見解に従う必要はありませんが、当該見解は審査の際に考慮されます。当社は、本承認申請の審査完了に向け、引き続き米国FDAに協力してまいります。

 本剤は、米国FDAよりTGCT治療を対象に画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定*3及び希少疾病用医薬品(Orphan Drug)指定*4を受けております。

 当社は、手術による腫瘍切除ができず他に満足な治療法のないTGCT患者さんへ新たな治療の選択肢を提供できるものと期待しております。 

以 上

 

*1 腱滑膜巨細胞腫(TGCT)とは、痛みや動作の制限を伴う良性の腫瘍です。関節の内側の組織が炎症や異常増殖を起こすことが特徴で、現在は手術による腫瘍の切除以外の有効な全身療法がありません。

*2 優先審査(Priority Review)とは、治療上重要な進歩をもたらす薬剤や、現在適切な治療法がない疾患への治療法を提供する薬剤に対して指定される米国の制度で、申請受理日から通常10ヵ月を要する審査期間の目標が6ヵ月に短縮されます。

*3 画期的治療薬(Breakthrough Therapy)指定とは、重篤な疾患を対象に、既存の治療薬よりも高い治療効果を示す可能性のある薬剤の開発と審査を促進し、患者さんにより早く新薬を届けるために定められた米国における制度です。

*4 米国FDAの希少疾病用医薬品(Orphan Drug)指定とは、患者が20万人未満であること、医療上特にその必要性が高いものなどの条件に合致するものとして指定される制度です。医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより、十分にその研究開発が進んでいない状況を踏まえ、安全かつ良質な医薬品を一日も早く医療の現場に提供することを目的に、開発を支援・促進する制度です。

 

第一三共のがん事業について
当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。
当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2018年から2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。
主要開発品目には、抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201、目標適応:乳がん、胃がん、その他固形がん)、FLT3阻害剤キザルチニブ(目標適応:急性骨髄性白血病)、CSF-1R阻害剤ペキシダルチニブ(目標適応:腱滑膜巨細胞腫)等があります。

 

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