2019年10月31日
研究開発情報

報道関係者各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

抗体薬物複合体DS-7300の固形がん患者を対象とした第1/2相臨床試験開始について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、再発・進行性の固形がん患者を対象としたDS-7300(B7-H3を標的とした抗体薬物複合体(以下「ADC」)*1)の第1/2相臨床試験(以下「本試験」)において、最初の患者への投与を開始しましたので、お知らせいたします。

当社は、がん領域パイプラインのグローバル開発の加速を目的として、Sarah Cannon Research Institute(所在地:米国テネシー州)との開発提携を昨年12月に発表しており、本試験は、本提携のもと初めて開始した臨床試験となります。

DS-7300は、当社ADCフランチャイズで4番目に臨床開発段階に入った薬剤で、がん細胞膜上のB7-H3を標的としております。B7-H3は、肺がん、頭頸部がん、食道がん、前立腺がん、子宮内膜がん、乳がんなど様々ながん種において過剰発現しているたんぱく質の一種で、がんの進行や予後の悪化に関係していると言われていますが、現在、がん治療を対象に承認されているB7-H3を標的とした治療薬はありません。

本試験は、日本と米国における再発・進行性の固形がん患者(頭頸部がん、食道がん、非小細胞肺がん等)を対象とした第1/2相臨床試験で、二つのパートからなります。パート1(用量漸増パート)では、約40名の患者を対象に、DS-7300の投与量を段階的に増やしながら安全性と忍容性を評価し、最大耐用量と推奨用量を決定します。パート2(用量展開パート)では、約120名の患者を対象に、推奨用量での安全性と忍容性を評価すると共に、客観的奏効率*2、奏効期間*3、無増悪生存期間*4及び全生存期間*5を含む有効性を評価します。

DS-7300は、幅広いがん種において患者さんに新たな治療の選択肢を提供できる可能性を持っており、当社は、本試験を通じてその価値を評価し、ADCフランチャイズの開発を加速してまいります。

以 上

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた
    薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届ける
    ことで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 客観的奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。

*3 奏効期間とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上減少(部分奏効)のどちらかの基準が
      最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。

*4 無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

*5 全生存期間とは、原因を問わず死亡するまでの期間です。

DS-7300について
 DS-7300は、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)、U3-1402、DS-1062に続いて、当社で4番目に臨床開発段階に入った抗体薬物複合体(ADC)で、当社独自のADC技術を用いて創製されました。当社独自のリンカーを介して新規のトポイソメラーゼⅠ阻害剤(以下「DXd」)を抗B7-H3抗体に結合させた薬剤で、1つの抗体につき約4個のDXdが結合しています。薬物をがん細胞内に直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えるよう設計されています。

Sarah Cannon Research Institute(サラ・キャノン研究所)について
 所在地:米国 テネシー州
 設立:1993年
 事業内容:欧米を中心に活動している世界有数の臨床研究施設。独自のCRO機能を有し、
      新薬の開発戦略立案を含む臨床開発支援を展開。設立以来300以上のFirst in Human試験に
      携わり、過去10年間に米国で承認された大半の新薬の臨床試験をリードした実績をもつ。

第一三共のがん事業について
 当社のがん事業は、世界最先端のサイエンス(科学的知見、技術)を応用し、がん患者さんのための革新的な治療を提供することを使命としています。
 当社は、日本のがん領域ラボラトリー(バイオ・がん免疫・低分子)と米国プレキシコン(低分子)の強力な研究体制を通じて、がん領域の開発パイプラインの拡充を進めており、抗体薬物複合体(ADC)フランチャイズ、急性骨髄性白血病(AML)フランチャイズおよびブレークスルー・サイエンスを3つの柱として、2018年から2025年までの8年間に7つの革新的新薬の上市を目指します。

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