2020年07月02日
研究開発情報

報道関係者各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

DS-1062の第1相臨床試験におけるトリプルネガティブ乳がん患者への投与開始について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、現在実施中のDS-1062(TROP2に対する抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)の第1相臨床試験において、手術不能の進行・転移性トリプルネガティブ乳がん患者への最初の投与を開始しましたので、お知らせいたします。

本試験は、日米において、手術不能の進行・転移性非小細胞肺がんを対象に実施しておりますが、今般、トリプルネガティブ乳がんの患者群を追加し、患者への投与を開始しました。今後、約40名のトリプルネガティブ乳がん患者を登録する予定です。
 安全性の評価項目には、用量制限毒性および重篤な有害事象が含まれ、有効性の評価項目には、客観的奏効率*2、奏効期間*3、病勢コントロール率*4、無増悪生存期間*5や全生存期間*6等が含まれます。

当社は、本剤について、複数の固形がん(非小細胞肺がん、トリプルネガティブ乳がん等)での試験や他剤との併用療法試験も積極的に進めていくことで、本剤の価値を最大化し、がん患者さんのアンメット・メディカル・ニーズの充足に取り組んでまいります。

以 上

*1 抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2 客観的奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。

*3 奏効期間とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上減少(部分奏効)のどちらかの基準が最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。

*4 病勢コントロール率とは、客観的奏効率に腫瘍が安定している状態(腫瘍が30%未満減少~20%未満増加)の患者の割合を加えたものです。

*5 無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

*6 全生存期間とは、原因を問わず死亡するまでの期間です。

トリプルネガティブ乳がんについて
 トリプルネガティブとは、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体及びHER2の3つが陰性であることを意味し、乳がんの約10~20%がトリプルネガティブであると言われています。トリプルネガティブ乳がん患者に対する治療法は限られており、他の乳がんと比べて初回の化学療法後に再発する可能性が高く、より効果的な治療法が必要とされています。
 TROP2は、トリプルネガティブ乳がんを含む複数の固形がんに高発現するたんぱく質の一種で、がんの進行や生存率の低下に関係していると言われています。

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