2020年09月15日
研究開発情報

報道関係者各位

会社名 第一三共株式会社
代表者 代表取締役社長 眞鍋 淳 
(コード番号 4568 東証第1部)
問合せ先 コーポレートコミュニケーション部長 大沼 純一
TEL 03-6225-1126

U3-1402のHER3発現大腸がんにおける第2相臨床試験開始について

第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、切除不能な大腸がん患者を対象としたU3-1402(HER3に対する抗体薬物複合体(ADC)*1、以下「本剤」)の第2相臨床試験(以下「本試験」)において、最初の患者への投与を開始しましたので、お知らせいたします。

切除不能な大腸がん患者の多くは、複数の前治療を経ても病勢が進行し、予後は不良です。HER3は大腸がん患者の最大83%に過剰発現していると推定されており、標準治療への抵抗性、がん転移の増加及び生存率の低下に関連していると言われています。現在、HER3を標的としたがんの治療薬はありません。

本試験は、前治療歴のある切除不能な大腸がん患者を対象とした第2相臨床試験で、HER3高発現と低発現の2つの患者群に分け、本剤の安全性と有効性を評価します。
 本試験の主要評価項目は客観的奏効率*2であり、副次評価項目には、病勢コントロール率*3、奏効期間*4、無増悪生存期間*5および全生存期間*6等が含まれます。米国、欧州および日本において最大約80名の患者を登録する予定です。

当社は、本剤について、複数の固形がん(非小細胞肺がん、乳がん、大腸がん等)での試験を積極的に進めていくことで製品価値を最大化し、がん患者さんのアンメット・メディカル・ニーズの充足に取り組んでまいります。

以 上

*1  抗体薬物複合体(ADC)とは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤で、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高めています。

*2  客観的奏効率とは、腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合です。

*3  病勢コントロール率とは、腫瘍の完全消失(完全奏効)または30%以上減少(部分奏効)または病勢安定(腫瘍の大きさが変化しない状態)した患者の割合です。

*4  奏効期間とは、完全奏効または部分奏効のどちらかの基準が最初に満たされた時点から、再発または増悪が客観的に確認された最初の日までの期間です。

*5  無増悪生存期間とは、治療中及び治療後に病勢進行せず安定した状態の期間です。

*6  全生存期間とは、原因を問わず死亡するまでの期間です。

大腸がんについて
 大腸がんは、世界で3番目に多いがんであり、がんによる死亡原因の第2位です。2020年において、米国で新たに診断される大腸がんの患者数は約15万人、死亡者数は約5万人と予想されています。患者の約 25%は、診断時にがんが遠隔臓器に転移しており、最終的に約 50%が転移を起こします。切除不能な大腸がん患者のうち、診断後 5 年間の生存率はわずか14%です。

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